
2024年 B5変型判(ページ部分18.7×22.6) ソフトカバー P159 帯付
“これは何だ!?
諸葛孔明の曲芸
弁慶と大蛸の力くらべ
蟹にはさまれた雷神など
文学・美術史・歴史学の研究者10名が絵巻に秘められた謎を読み解く”(帯文)
“狩野派が描き、 暁斎が愛した
神仏・賢人・鳥獣たちの諧謔に満ちたコラボレーションの数々
それは江戸時代の教養・機智の結晶だった!
主要場面の解説、絵巻の真相に迫る論文・コラムを収録”(帯裏紹介文)
“江戸時代前期、十七世紀の狩野派の絵師たちの手で「戯画図巻」は描かれた。古今和漢の故事人物や異類たちが時空を超え、絶妙な取り合わせで集い、競い、戯れており、時にはその勝敗さえも読み取れる。
〈略〉
「戯画図巻」は本文(詞書)こそ持たないが、教養に裏打ちされた機智を存分に発揮して、〈異代同戯〉の楽土を描き出してみせる。背景には、実は豊かなことばの世界が広がっているのだ。「戯画図巻」という一連の作品は、 これを制作享受した人々の素養と画学、ひいては中近世日本の表象文化の一つの達成を示す佳品である。
〈略〉
十七世紀に初めて登場した「戯画図巻」は、明治の世に入ってなお人々の関心を集め、命脈を保ち続けた。それほどに「戯画図巻」の懐は深く、一見分かりやすい諧謔の向こう側に、高い教養と機智、時代性が横溢し、観る者を惹きつけてやまない。
そこで本書は日本文学、美術史、歴史学の研究者を迎え、「戯画図巻」の読み解きに挑戦した。時に深読みを恐れつつ、新たな発見に心を躍らせて歩を進めた。…”(本書巻頭「はじめに」より)
目次:
はじめに
凡例
【第I部 「戯画図巻」をひらく】
全図解説 狩野昌運筆『異代同戯図』(福岡市美術館蔵・國學院大學図書館蔵)
コラム 江戸の武士と釣りブーム(黒田智)
全図掲載 狩野為信筆『戯画図巻』(フランス国立ギメ東洋美術館蔵)
コラム 「戯画図巻」をめぐる狩野派の絵師たち(加藤祥平)
全図掲載 伝狩野探幽筆『戯画図巻』(香雪美術館蔵)
コラム 河鍋暁斎が愛した『探幽狂画』―香雪本(勝盛典子)
【第II部 「戯画図巻」をよむ】
第一章 構想と方法
「戯画図巻」のこころ 文脈・文体・圏城(齋藤真麻理)
清明の田鼠、尻鞘の河豚 「動画」のなかの歳時(黒田智)
「狂画」とその周辺(井田太郎)
コラム 英一蝶と江戸狩野派(井田太郎)
第二章 素材と背景
仁王と地蔵の相撲を読む 『曾我物語』『武家相模絵巻』を手がかりに(粂汐里)
「戯画図巻」をとりまく老荘思想 林象の後詩文に見る風神と七福神(山本嘉孝)
カニが雷神を挟む、カマキリが雷神に挑む 話で読む「画図巻」(斉藤研一)
第三章系譜と展開
「戯画図巻」の誕生 絵師・加納探幽をめぐって(門脇むつみ)
加筆される機智 異本「戯画図巻」の生成(大谷節子)
「戯画図巻」を再考する 徳川本を中心に(加藤祥平)
コラム 狩野派がつなぐ「戯画図巻」の系譜(勝盛典子)
諸本リスト
場面一覧表
主要参考文献
編者・執筆者略歴