
昭和48年 B6判 ソフトカバー P302 全体に経年によるヤケ、少汚れ 帯・カバースレ、少イタミ 天地小口シミ汚れ、イタミ
“1973年夏、ここに妖怪学誕生!!
正史から見すごされがちな事件や記録を通して、妖怪の誕生から跳梁、消滅までを系統的にさぐる本格的妖怪研究の決定版!”(帯文)
記紀や風土記にはじまり、『日本霊異記』『今昔物語』『古今著聞集』といった説話集、『伊勢物語』『平家物語』などの文芸、江戸の奇談……と、古代から近世までの書物にみられる怪異のエピソードを抜き出し、時代を下ってゆくかたちで紹介する。
目次:
まえがき
第一章 草木ものいいし時
1 妖異の背景 {(1)謎をとく鍵/(2)古老の言えらく/(3)黄泉の国}
2 建国物語 {(1)女王卑弥呼/(2)建国神話/(3)目一つの鬼}
第二章 撃ちて奪るべし
1 教化の名のもとに {(1)神武帝と崇神帝/(2)日本武尊}
2 殺戮の記録 {(1)茨棘をもちて/(2)三種の神器}
3 泣ち吟う《いさちのどよう》 {(1)生口と殉葬/(2)仁徳帝の仁愛/(3)悪虐の王}
第三章 妖異の兆し
1 薄暮の訪れ {(1)茨田《まむた》の堤/(2)化身と呪い}
2 憧憬と絶望 {(1)浦の島子/(2)常世の国の神の虫
3 妖異の兆し {(1)混濁する社会/(2)妖異は続く/(3)朝倉山の怪}
第四章 妖怪誕生
1 鬼の出現 {(1)奈良あむち村/(2)元興寺の鬼/(3)歴史を通して}
2 天狗登場 {(1)天狗に浚われた春舜坊/(2)あこ法師の失踪/(3)海を渡って/(4)役の小角}
3 妖の出没 {(1)かりそめの恋/(2)一夜の契り/(3)二人妻}
4 奇々怪々 {(1)印南野の夜/(2)水無瀬山中の古池/(3)僧形の変化}
5 髑髏の嘆き {(1)竹藪の殺人/(2)髑髏の報酬
第五章 百鬼夜行
1 闇の中 {(1)ある公卿の日記/(2)京都あわわの辻/(3)秘められたもの}
2 洛中秘聞 {(1)承和の変/(2)妖魔の恋/(3)校倉の鬼/(4)月下の惨/(5)院中の怪/(6)二条の狐/(7)陰竄言う}
第六章 妖怪の受難
1 迫り来るもの {(1)人を招く手/(2)渡りの産女/(3)橋の上の女/(4)天井桟敷の声}
2 歴史との訣別 {(1)武士の登場/(2)戦乱の渦/(3)徒然草の眼/(4)あやしきものの変質/流れ流れて}
第七章 いずこへ
1 信じがたきこと {(1)火車切の太刀/(2)手もとの狂い/(3)南無三宝/(4)侍女の筆跡/(5)夢の朝顔/(6)惣八の訪れ/(7)射殺した母親/(8)ものの怪の濡れぎぬ/(9)ある手紙}
2 極めがたきこと {(1)子をおいて/(2)役人狐/(3)床下の女/(4)びいどろの笛/(5)二階座敷/(6)河童の塩漬け/(7)下女の首/(8)馬子の駄賃/(9)蝶と武士/(10)墓の怪/(11)鬼女}
第八章 闇のあけぼの ―むすびにかえて―
あとがき
主要引用文献・参考文献