平成26年 A4判 P166 表紙少キズ、角僅イタミ
「平成二五年度・変容の危機にある無形の民俗文化財の記録作成の推進事業」調査報告書。
青森県の氣比神社で開かれる絵馬市について、その歴史と変遷、絵馬師の仕事、畜産農家と絵馬の関わり、馬の守護神である蒼前様の伝承・信仰、絵柄の系統などを調査・研究する。
目次:
口絵
まえがき
【第一章】絵馬市今昔
一 現在の絵馬市 ―平成二五年(二〇一三)の絵馬市
(一)絵馬市見聞記/(二)絵馬購入と参詣の順路/(三)絵馬市を訪れる人々/(四(「絵馬殿」に奉納されている絵馬
二 昔の絵馬市
(一)昭和三〇年頃の絵馬市〈三浦家の聞書ほか〉/(二)戦前の絵馬市〈百石町誌より)/(三)明治初期の絵馬市〈新撰陸奥国誌の記載から〉
三 南部地方の絵馬市
(一)絵馬市が開かれていた神社/(二)七戸町・花松神社/(三)盛岡市・駒形神社
【第二章】絵馬師とその仕事
一 絵馬師の系譜と生業
(一)神社の絵馬から見た絵馬師の姿/(二)三浦家・絵馬師の家系から
二 絵馬師の技術と道具立て、運営の工夫
(一)現在の絵馬と販売枚数など/(二)技術の現状と伝承/(三)露店の設営/(四)集客の工夫と伝承の問題点
【第三章】絵馬と畜産農家
一 絵馬市での間取り調査
(一)質問の内容と回答の概要
二 農家をたずねて
(一)【馬・一】岩手県九戸郡軽米町長倉の事例/(二)【馬・二】青森県上北郡東北町才市田の事例/(三)【馬・三】八戸市の競走馬繁殖の事例/(四)【牛・一】久慈市山県町の「踏ん込みマヤ」/(五)【牛・二】青森県三戸郡三戸町の事例/(六)【牛・三】青森県十和田市奥瀬の事例
【第四章】絵馬市の背景 ―木崎野牧の村々
一 放牧と眠と絵馬、十一の藩牧
(一)舍飼の厩と立て場の仕様/(二)小絵馬の中の馬屋の変容/(三)南部藩・十一の藩牧の野馬と農家による里馬飼育
二 近世・木崎野牧の本村と枝村
(一)江戸後期・木崎野牧絵図から
三 近代を迎えた木崎野牧と村々
(一)大正六年・旧木崎野牧一帯の変容状況/(二)旧木崎野藩牧地帯の近代的な変容について
【第五章】氣比神社と木ノ下の蒼前様 ―その伝承と由来
一 氣比神社と木ノ下の集落景観
(一)社叢・美田・疏水道/(二)下田村と大地にある木ノ下
二 氣比神社と木ノ下の正善様 ―その伝承と由来
(一)氣比神社の由緒について/(二)『新撰陸奥国誌』から/(三)「氣比神社の縁起」あらまし/(四)「木崎野馬護神祠堂記」より/(五)「書上帳」などに見る蒼前様の名称/(六)「正善由来記」にみる木下の蒼前様/(七)鶉も海に斃れた駿馬も蒼前様に/(八)蒼前信仰について
三 付 資料
(一)氣比神社の縁起『下田町誌』より/(二)木崎野馬護神祠堂記(氣比神社・絵馬殿)/(三)正善由来記『下田町誌』より
【第六章】馬を巡る行事と祭
一 様々な馬の伝説
(一)四つの伝説
二 南部藩領の馬を巡る民俗行事
(一)仕事始めと山の神/(二)小正月とエンブリ/(三)エンプリ(百石町の場合)/(四)春と夏/(五)百石祭と駒踊(百石町の場合)/(六)秋と冬/(七)馬形と祈願のかたち
【第七章】南部地方における馬の絵馬について ―その特徴と分類 付・絵馬年表
一 絵馬の絵柄による年表づくり
(一)調査範囲と資料数/(二)絵馬年表の項目設定/(三)形状・材質、板と紙
二 絵柄の類型と馬の事情・系統分け一覧表
(一)[1]藤右エ門系(鎌倉時代から江戸時代中頃まで)/(二)[2]素描風小絵馬系(文政年間から明治中頃)/(三)[3]大和絵系(文政年間から明治中頃)/(四)[4]一筆画系/(五)[5]多頭系(幕末から明治大正期)/(六)5 多頭系・A・使役・繁殖型の絵馬(明治一〇年から四○年頃が盛期)/(七)5 多頭系・B・乗馬型(明治三〇年代から大正一〇年頃)/(八)[6]現代写実系/(九)牛絵馬と馬以外の絵馬/(十)[7]写真額系/(十一)叶・裏面から見た絵馬
三 絵馬年表
氣比神社絵馬の絵馬一覧表/氣比神社・絵馬の神像一覧表/参考文献