1974年8版 A5判 P442 函ヤケ、少イタミ 本体表紙少汚れ、背少ヤケ、底部剥がれ 天地小口および両見返し少ヤケ 裏遊び紙押印
“〈マニエリスム〉とは、珍奇なもの、魔術的なもの、自然な現実の彼方、内部に隠されたもの、社会的隔離、貴族的特殊地位への衝動、これら異常なもののなかの自己主張を鋭い才能によって正当化し、創造した西欧文化の反性たる産物である。それらは嵐を告げる発作を伴いつつ、血の気の乏しさという激しい苛酷さ、不毛のメランコリー、死の不安の無意識のフォルム、震撼させられた生命力の不確定性をもって、たえず見る者たちを襲う。
ここでは〈マニエリスム〉を、後期ルネッサンスと初期バロックの間に位する狭義の時代様式とせず、西欧文化全域に拡大。〈マニエリスム〉を、いわば魔術的に喚起される、古典様式への〈相補概念〉とみる。
その殆んどが本邦未紹介の254図という膨大な図版を裏付けに〈マニエリスム〉全史を走査してユニークな芸術史を形成。その驚くべき博引旁証や、統一ヨーロッパ文化を呼びかける一種秘教的な文明観の魅力は類を見ない。
伝統という見えない中心が刻々にくりひろげる〈迷宮〉のなかで、現代芸術がアリアドネの糸をどのように見出し、どのように見失うかについての批評は、優にわたしたちにとっても、危機意識の開示となるであろう。”(函裏紹介文)
目次:
序 ―ヨーロッパ芸術におけるマニエリスムー
【I】
緒言
1 最初の衝撃
2 優美と秘密
3 蛇状曲線的-痙攣的
4 〈イデア〉と魔術的自然
5 綺想異風派
6 没落のヴィジョソ
【II】
7 美と恐怖
8 不安と好奇
9 天使城
10 時間の眼としての時計
11 人工の自然
12 奇妙な神話
【III】
13 迷宮としての世界
14 抽象的隱喻法
15 キュービスムの先達と後裔
16 イメージ機械
17 古今の構成主義
18 円と楕円
【IV】
19 ルドルフ二世時代のプラーハ
20 アルチンボルドとアルチンボルド派
21 擬人化された風景と二重の顔
22 夢の世界
23 装飾癖
24 狂気
【V】
25 汎性愛主義
26 倒錯と歪曲
27 一角獣・レダ・ナルシス
28 ヘルマフロディトゥス
29 マニエリスムと街奇性《マニリールハイト》
30 神の隠喩
あとがき
著者紹介・文献解題
訳者あとがき
索引 ―人物・事項・図版