1991年 B5判 ソフトカバー P91 帯・カバー端少イタミ、背少ヤケ
“中世ヨーロッパで、なぜか盛んに流行した図像のひとつに「死の舞踏」と呼ばれるものがある。あたかも死神に魅入られた人々が、ダンスを踊り出すように、上は皇帝、国王、教皇から、農夫、行商人等まで、あらゆる階層の人々が、描き出される。本書は、ホルバインによる傑作版画44点と、珍らしい「死の舞踏イニシアル」を中心に、「旧約聖書挿絵」等版画144点を収めた。”(帯文)
“1538年にフランスのリヨンで、トレクセル兄弟の印刷工房が『絵と物語 死神の像(Les simulachres & historiees faces de la mort)』という小型の本を出版した。この本は、ハンス・ホルバイン(Hans Holbein) の41点の小さな木版画(それぞれ縦 6.5 cm。横5cm)を挿絵にしている。「ホルバインの『死の舞踏』」と呼ばれるのは、これらの木版画である。なお、ハンス・ホルバインは父子ともに同名の画家であるから、父・子 をつけなければ区別ができない。本書で取り上げるのは子ハンスである。…(本書巻頭「はじめに―新版に寄せて―」より)
目次:
はじめに
図版
『死の舞踏』
『死の舞踏』フレロン版の増補
死の舞踏イニシアル
子供のイニシアル
イタリア風の子供のイニシアル
トリトンの行進のある飾り枠
洗礼者ヨハネの斬首のある飾り枠
ポルセンナの前で自分の手を焼くムティウス・スカエウォラのいる飾り枠
自害するルクレチアのいる飾り枠
子供たちの凱旋行進のある飾り枠
生命の泉のある飾り枠
ヘラクレスの物語のある飾り枠
タンタロスの物語のある飾り枠
タンタロスの物語のある飾り枠
「テバイのケベスの絵」のある飾り枠B
「テバイのケベスの絵」のある飾り枠D
ペテロとパウロのいる飾り枠
死神と運命の女神のいる飾り枠
クレオパトラとディオニュシオスのいる飾り枠
クレオパトラとディオニュシオスのいる飾り枠
口に金を注がれるマルクス・クラッススのいる飾り枠・
マルクス・クルティウスの犠牲の死のある飾り枠
フライブルク市の守護聖人、聖ゲオルギウスと聖ランベルトゥスを ともなう聖母子
十字架の下に倒れたキリスト
派遣される使徒たち
信仰者を福音の光に導くキリスト [または福音の光としてのキリスト]
真実の罪の赦しと偽りの罪の赦し
エヴァの創造と讃美する天使の環
最後の審判
ウェヌスとアモールのいる短剣の箱のデザイン
運命の女神フォルトゥーナのいる短剣の箱のデザイン
建物の中のエラスムスの肖像
「ヨハネの黙示録」
天文学者たち
『旧約聖書挿絵』
解説
1 物語と時間
2 壁画と版画
3 印刷工房への貢献
4 教訓としての「死の舞踏」
5 「死の舞踏」のテキスト
年表