2008年 文庫判 P275 カバー端ごく僅イタミ
“ありうべき最高の美学は虚無―生涯徹底した反リアリズム、芸術至上の立場を貫いた塚本邦雄。藤原定家等中世の歌人を理想とする塚本にとり俳諧は、近世という暗黒時代に咲く「異次元の巨花」であった。その輝かしい裔である現代俳人、石田波郷、西東三鬼、下村槐太、寺山修司、飯田蛇笏等、六九人の秀句一〇〇を選び、斬新かつ創造的評釈を展開。
稀代のアンソロジストによって招喚された現代俳諧頌!！”（カバー裏紹介文）
一章 森森
石田波郷 金糸雀や／下村槐太 河べりに／西東三鬼 みどり子の／加藤楸邨 雉子の眸／齋藤空華 轉生を／秋元不死男 子を毆ちし／佐藤鬼房 ひばり野に／寺山修司 目つむりて／高柳重信 まなこ荒れ／野澤節子 火傷して／島津亮 父醉ひて／飯田蛇笏 流燈や／天野莫秋子 枯菊の／金子明彦 君はきのふ／鷹羽狩行 みちのくの／森澄雄 山の冷／松本たかし 金魚大鱗／若山幸央 いま/俺を ／小金まさ魚 人の名を／大峯あきら 水涸れて
二章 シュウ《さんずい＋蕭》シュウ
下村槐太 百日紅／西東三鬼 緑蔭に／中村草田男 むらさきに／鈴木六林男 嬰兒の赤き／加藤楸邨 かなしめば／金子兜太 鶴の本讀む／秋元不死男 まぼろしの／橋本多佳子 罌粟ひらく／寺山修司 父を嗅ぐ／島津亮 怒らぬから／林田紀音夫 滞る／赤尾兜子 音楽漂う／飴山實 釘箱から／八木三日女 例ふれば／桂信子 大き掌に／楠本憲吉 胡麻をはたくは／大野林火 ねむりても／富安風生 袈裟がけに／小川双々子 月蝕や／平畑靜塔 うす繭の
三章 炯炯
西東三鬼 赤き火事／中村草田男 晝寐の後の／富澤赤黄男 寒梅に／神生彩史 貞操や／鈴木徳林男 天上も／加藤楸邨 雄蘂相逢ふ／金子兜太 朝顔が／藤田湘子 髪刈って／火渡周平 水泡より／山口誓子 夏雲の／赤尾兜子 「花は戀」／川端茅舎 白露に／加倉井秋を 或る晴れた／阿波野�慇Α／紊罎譴董身�田木枯 洗ひ髪／堀井春一郎 山百合や／小宮山遠 縊死もよし／三谷昭 暗がりに／日野草城 新緑や／塚本邦雄 ほととぎす
四章 エン《火が三つ》エン
中村草田男 父となりしか／富澤赤黄男 眼に古典／石田波郷 蝶死にて／飯田龍太 紺絣／神生彩史 抽斗の／永田耕衣 朝顔や／加藤郁乎 あゝ 亜麻色の／火渡周平 セレベスに／藤田湘子 音楽を／橋本多佳子 昏ければ／林田紀音夫 鉛筆の／能村登四郎 青蚊帳に／上月章 やわらかい／石川雷兒 冬の馬／大原テルカズ からだなき／松村蒼石 唐辛子／淺井久子 眉目なき／三橋鷹女 囀や／加藤けい あひびきや／河原枇杷男 晝顔や
五章 ビョウ《水が三つ》ビョウ
富澤赤黄男 蝶墜ちて／石田波郷 勿忘草／下村槐太 死にたれば／齋藤空華 十藥の／飯田龍太 緑蔭を／佐藤鬼房 繩とびの／永田耕衣 男老いて／高柳重信 月下の宿帳／山口誓子 パンツ脱ぐ／飯田蛇笏 寒を盈つ／野澤節子 芝焼いて／本郷昭雄 かなしみさだか／飯島晴子 さるすべり／原石鼎 秋風や／榎本冬一郎 凍蝶の／坪内稔典 鬼百合が／馬場駿吉 娼婦の日傘／星野石雀 鶏頭に／伊丹三樹彦 夜の洋傘に／芝不器男 向日葵の
【参考資料】餘響凛凛 跋に代へて
解説（橋本治）
年譜（島内景二）
著書目録（島内景二）
