1990年、91年 B5判 各巻カバー僅汚れ、背僅ヤケ、内側僅時代シミ(第12巻は他の巻に比べ若干汚れ・時代シミが多め) 本体小口および両見返し・遊び紙少時代シミ
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荒俣宏が東西の文献から集めた博物学的図譜をテーマ別に掲載。
“「すべては目のために、目と心の娯しみのために」
―そう書き綴ったのは、17世紀に驚異の図像を世に送りだしたイエズス会の万能学者A.キルヒャーの弟子ブオナンニである。彼は目の喜びのために望遠鏡、顕微鏡を、そしてさまざまな光学器械を用いつつ、自然物の驚異を伝える銅板図を刊行しつづけた。
目の娯しみ!
たしかに、人間はこのときから叡知と娯楽と驚異とが分かちがたく結びついた新たなエンターテイメントを開発することになった。そして、17〜19世紀に至る300年間は、図像の黄金時代となった。目を喜ばせ、啓発し、興奮させる新しい図像の創成期であった。しかも、さらに驚くべきは、写真や映画を通じてリアルな映像に慣れすぎた現代人の目をも、これらの驚異図像は、歓喜させ、啓発し、刺激する事実であろう。
記号よりも図像。
観念よりも表現。
写生よりも図解。
図像とは、目と心の結合が生み出した、自然には絶対に存在しない大脳の内側のパノラマである。図像のもつ、このような肥沃な表現力と想像力を、現代に解き放つことを目的に、本コレクションは刊行される。この本の娯しみ方はただひとつ、全身を目玉にして、次々にあらわれる人口図像のパノラマに歓喜し、そこからさまざまな叡智を読み解くことである。これは目玉の大冒険である。”(巻頭文)
【第1巻 水中の驚異】1990年初版 P157 カバー端僅イタミ
目次:
水中の生活が描かれるまで
世界初、海中の眺め/海底山脈に咲く海のアネモネ/暗黒に漂う浮遊体/漆黒に映える極彩色の精密機械/幻想の腔腸動物と青い水圧/室内装飾になぞらえた水中生物/踊りまわる透明レースの美/透明浮遊感覚の固定/南太平洋の水中宝石箱/究極のリアリズムと水の標本/想像力の逸脱と自然の逆襲/クラゲたちのフラダンス/運ばれてきた水中生物のささやき/水中に秘められた〈小さな動物〉/顕微鏡下の小宇宙/学術世界にあそぶ/ゴッスを追って、19世紀イギリスの海中へ/固体としての水を描く/科学精神の収穫/妖しい銅版画的淡彩/ゆらめくケヤリムン/華麗な海中花/黒い海を白い線で切りとった木版画
出典解説
【第2巻 神聖自然学】1990年初版 P189 ページ角僅イタミ
目次:
旧約聖書 創世記/ 〃 出エジプト記/ 〃 レビ記/ 〃 民数記/ 〃 申命記/ 〃 ヨシュア記/ 〃 士師記/ 〃 サムエル記/ 〃 列王記/ 〃 歴代志/ 〃 ヨブ記/ 〃 詩篇/ 〃 箴言/ 〃 伝道の書/ 〃 雅歌/ 〃 イザヤ書/ 〃 エレミヤ書/ 〃 エゼキエル書/ 〃 ダニエル書/ 〃 ヨナ書/新約聖書 マタイによる福音書/ 〃 ルカによる福音書/ 〃 ヨハネによる福音書/ 〃 使徒行伝/ 〃 ローマ人への手紙/ 〃 ヨハネの黙示録
【第3巻 エジプト大遺蹟】1990年初版 P157
目次:
口絵(カラー) {古代エジプト遺蹟の幻想/デンデラ―ローマ時代の円柱/テーベ西岸―ラムセウム/フィラエ島―大神殿柱廊/テーベ西岸―メディネット・ハブ宮殿の浮彫り/王家の谷―ラムセスVI世の墓の装飾画/王家の谷―王墓装飾/王家の谷―王墓の床に描かれた画/鉱物(1)/(2)/(3)/鳥(1)/(2)―トキのなかま/(3)―タマシギほか}
『エジプト誌』―ナポレオンと古代の復活
考古学篇 アスワン周辺(上エジプト南部) {エレファンティネ島とアスワン/フィラエ島/コム・オンボ/ゲベル・シルシラ/エドフ/エル・カブ/エスナ}
考古学篇 テーベ周辺 {ルクソール(テーベ)/カルナック/テーベ西岸/クルナ/王家の谷}
考古学篇 デンデラ周辺(上エジプト北部) {デンデラ/アンタエオポリス}
考古学篇 ベニ・ハッサン周辺(中部エジプト) {アシュート/アンティノポリス/ヘルモポリス/ベニ・ハッサン/ファイユーム}
考古学篇 メンフィス周辺(下エジプト) {メンフィス/ギザ/アレクサンドリア}
考古学篇 古代遺物
博物学篇 哺乳類/博物学篇 両生・爬虫類/博物学篇 魚類/博物学篇 水生無脊椎動物/博物学篇 植物
【第4巻 民族博覧会】1990年初版 P157 カバー端僅イタミ
目次:
摩擦と共感の原点―一八〜一九世紀人類誌の世界
アジア {土爾格(とるこ)/クルド族/トルクメン族/ペルシア人/アラブ人/アルメニア人/莫臥爾(まうる)/インド人/セイロン人/加拂里(かぶり)/亜瓦的革(あがれか)/蘇門答刺(そもんたら)/セレベス島住民/馬加播爾(まかさる)/槃朶(はんだ)/暹羅(しゃむる)/羅烏(らう)/東京(とんきん)/フィリピン人/チベット人/大明(だいみん)/中国人/琉球人/答加沙谷(たかさご)/日本人/朝鮮人/タタール人/韃靼/キルギス人/カムチャツカ原住民/ツングース/コサック}
アフリカ {エジプト人/モロッコ人/アルジェリア人/テネリフェ島民/カファ族/ハウザ族/ジョロフ人/アンディンゴ族/ヒジ族/ダホメー人/マダガスカル人/ナマカ族/ブッシュマン/ホッテントット/ナマクアランド原住民}
南北アメリカ {エスキモー/グリーンランド人/北アメリカ・インディアン/カナダ・インディアン/ウナラスカ島住民/ノートン湾原住民/プリンス・ウィリアムズ湾原住民/ヌートカ湾原住民/クリーク族/バージニア・インディアン/フロリダ・インディアン/メキシコ・インディアン/ギアナ人/カライベン族/ボドクド族/アマゾン・インディアン/パタチョ族/ブラジル人/キトー人/ペルー人/パタゴニア人}
オセアニア {ポリネシア―サンドウィッチ諸島民/イースター島民/タヒチ島民/マルケサス諸島民/フレンドリー諸島の王/トンガタプ島民/マンガイア島民/ニュージーランド原住民/ミクロネシア―グァム島民/パラオ諸島民/カロリン諸島民/メラネシア―フィジー諸島民/ニューヘブリデス諸島民/ニューカレドニア島民/ボータンボープレ島民/アドミラルティ諸島民/ニューアイルランド島民/ソロル島の王/チモール島民/オーストラリア原住民/タスマニア島原住民}
ヨーロッパ {アイスランド人/ラップ人/フィンランド人/ロシア人/莫斯哥米亜(もすこびあ)/斉爾瑪尼亜(ぜるまにあ)/諳厄利亜(あんぎりあ)/阿蘭陀(おらんだ)/スイス人/拂郎察(ふらんす)/以西把尼亜(いすぱにあ)/意太里亜(いたりあ)}
【第5巻 地球の驚異】1991年初版 P157 裏遊び紙ヤケ、時代シミ
目次:
驚異の巨大物崇拝者《メガロマニア》たち―大地の博物学とその図譜
大地の威容 {火山/山の景観/奇岩/洞窟/気象}
水の変幻 {氷河/河川/湧水/滝}
地球改造計画 {古代遺跡/都市/橋/生物観光}
【第6巻 悪夢の猿たち】1991年初版 P157
目次:
ある悪夢の源泉―西洋における猿の図像成立史
ビュフォンの猿 {アフリカ篇/アジア篇/南アメリカ篇}
シュレーバーの猿 {アフリカ篇/アジア篇/南アメリカ篇}
【第7巻 熱帯幻想】1991年初版 P165
目次:
楽園の発見者たち―一八、一九世紀世界探検航海がもたらしたもの
楽園ポリネシアの発見/楽園幻想への批判/メラネシアへの憧憬/オーストラリアの科学的探検/メラネシアのロマチシズム/自然への畏敬/楽園への挽歌/南米の高貴な野蛮/やさしき熱帯/静かな熱帯景観/熱帯の地獄絵
【第8巻 昆虫の劇場】1991年初版 P144 カバー裏僅キズ、端僅イタミ
目次:
蝶の舞―18世紀の三大蝶譜について
エーレント『花蝶珍種図録』/メーリアン『スリナム産昆虫の変態』/ハリス『オーレリアン』
【第9巻 極楽の魚たち】1991年初版 P141 カバー少汚れ
目次:
真実を目の前にした幻想
『モルッカ諸島産彩色魚類図譜』
第一部 コワイエト写本
第二部 ファン・デル・ステル写本
第三部 ジョン・ベア写本
【第10巻 バロック科学の驚異】1991年初版 P173
目次:
普遍叡智をきわめた超人―A.キルヒャーとその業績
ノアの方舟
支那図説
地下世界
キルヒャー博物館自然史標本目録
【第11巻 解剖の美学】1991年初版 P165 カバー上端2ミリ程度の破れ
目次:
第二の『解体新書』をめざして―解剖図譜を見る目とその焦点
出典解説
第一部 彩色解剖図譜の驚異
{理想の死体が演じるストリップショー/初の色刷り解剖図/解剖学的エロティシズムの極致/幻想画に変じた医学図譜/バロックの奇怪な骨格解剖図譜/卵の中の大宇宙/機械的感覚の横溢/苦悶の表情をうかべる解剖モデル/手彩色石版によるやさしい解剖図/病変器官のファンタスティック・ワールド}
第二部 諧謔と鮮烈の江戸腑分け図
{吊るし切りによる人体の解体作業/芸用解剖図の嚆矢/酒飲みの五臓六腑探訪/花魁の体内遊覧}
第三部 幻想の一八世紀解剖図譜
{ゾンビとして跳梁する解剖人間/臓器博物館の名作展示物/一八世紀解剖学教室の情景/幼児解剖の名作図譜/科学精神の下僕へと降下した医学図譜}
【第12巻 怪物誌】1991年初版 P141 カバー少汚れ、僅キズ、端僅イタミ、内側時代シミ
目次:
怪物誌の復活
出典解説
真実と幻想のブレンド ゲスナー『怪物誌』/少年百科に踊る怪物たち ベルトゥーフ『少年絵本』/珍奇博物館のカタログ セバ『博物宝典』/畸型動物の殿堂 マイヤー『陸海川動物細密骨格図譜』/中国怪物誌の傑作 邊景昭『百獣図』/奇想天外な半人半獣のオンパレード レチフ『南半球の発見』/ユートピア系空想航海記 ボルドロン『ムッシュー・ウフルの物語』/百科全書派的博物学の集成 アルドロヴァンディ『怪物誌』/シェイクスピアも愛読した中世イギリスの動物学書 トプセル『四足獣の歴史』/江戸期日本の本草学者垂涎の博物学書 ヨンストン『禽獣虫魚図譜』