1996年 A5判 P280+索引P6 帯付 カバー僅ヤケ、端僅イタミ
“毒消しの力を持つ一本の優美な角。処女にしか捕まえられない凶暴な性質―ユニコーンとは何ものなのか?
一角獣《ユニコーン》の博物誌!
ヨーロッパ史上最も魅惑的で多面価値的な象徴である一角獣の歴史・イメージの全てを紹介した決定版、待望の翻訳。図版168点。”(帯文)
目次:
序章 存在しない獣?
一角獣の形姿と伝承経路/多義的象徴としての一角獣
第一章 野性の驢馬とカルタゾーン
インドの一角獣/最初の報告者クテーシアス/インド派遣大使メガステネス/仏陀と一角獣/中国の一角獣・麒麟/「一角獣」の伝播者たち/クラウディウス・アエリアヌス―古代ローマからヨーロッパ中世へ/ギリシャ・ローマ時代の一角獣
第二章 七十人訳聖書と教父たち
七十人訳聖書と誤訳「一角獣」/予言者ダニエルの幻視/教父たちと一角獣/フルダの修道院/楽園の一角獣図像/一角獣絶滅の原因?/インド航海者コスマス
第三章 博物学者
『フィシオログス』/ズボルドーネの校訂版/「フィシオログス」とヨーロッパ中世/処女による一角獣捕獲/偽バシリウスの『フィシオログス』
第四章 東方の一角獣
インドの苦行者/日本の一角獣/『バルラームの話』/アラブの一角歌/強大な一角獣・カルカダン/水と一角獣
第五章 怪物―怪獣?
異形の獣たち/ホノリウスと怪物たち/スヴィニー修道院の柱彫刻/フロイデンシュタットの洗礼盤/ホルツキルヒェン教会の一角獣レリーフ/ホルプの礼拝堂
第六章 神秘主義への道
ビンゲンの聖女ヒルデガルトと尼僧たち/神秘主義と一角獣/教父アルベルトゥス/『フィシオログス』ルネサンス/世俗的一角獣?/メーゲンベルクの『自然の書』/母子像/聖女と聖人の表象
七章 狩人ガブリエル
ゲスの女子修道院長クニグンデ/マリア神秘主義と神秘的一角獣狩り/神秘的一角獣狩りの図像構成/『マリアの無傷なる処女性の弁明』/「神秘的一角獣狩り」モチーフの地理学/トリエント公会議と一角獣図像の禁止/一角獣の詩と歌謡
第八章 目撃者
奇跡の水と一角獣/ブライデンバハの『聖地への旅』/一角獣目撃/一角獣の化石/絶滅した古代一角獣―エラスモテリウム
第九章 騎士と貴婦人たちの世界
一角獣の騎士ララン/紋章獣としての一角獣/大英帝国の紋章獣/諸都市の紋章獣/一角獣を連れた貴婦人たち/ピサネロのメダル彫刻
第十章 女の策略と野人
一角獣捕獲のエロティシズム/リシャール『愛の動物物語集』/ミンネの小箱/官能の獣/野人と一角獣/野人の乙女/デューラー『一角獣上の誘拐』
第十一章 わがただひとつの望みに、
ブリュージュの大祝宴/クリュニュー美術館の一角獣連作タピスリーと五感の寓意/タピスリーの依頼主とその制作地/聖ステファヌスのタピスリー/ランコロンスカのテーゼ/フランシス・サレのテーゼと文学者たち
第十二章 捕らわれの身にして自由
メトロボリタン美術館「ザ・クロイスターズ」/「一角獣狩り」連作タピスリー/寡婦の結婚式/モノグラム/一角獣芸術の最高峰
第十三章 高価な角
医薬品としての角/ヨーロッパ中世と角/高価な角と詐欺師たち/医薬品としての角とルター/一角獣薬局/代用角/邪視と娼薬/宗教と医学
第十四章 一角獣薬局の処方愛から:
聖ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(一〇九八年〜一一七九年)の処方箋/コンラート・ゲスナー博士(一五一六年〜一五六五年)、チューリヒ。「一角獣の角の真贋について」
第十五章 北の海の魚
海獣イッカク/一角獣論争/フランス外科学の父アンブロワーズ・パレの戦い/一角獣学者の一族/角の鑑定書
第十六章 現実の一角獣
失われし?一角獣を求めて/象徴としての一角獣/言葉から図像へ/シェイクスピアの一角獣/星の一角獣/デュルフェの十七世紀小説『アストレ』/ドイツ・ロマン主義と一角獣/装飾としての一角獣/リルケ/現代文学の一角獣表象/一角獣、アメリカへ
補遺 二十世紀の一角獣詩
オスカー・レルケ「銀アザミの森」/ヴィルヘルム・レーマン「一角獣上の貴婦人」/エッカルト・クレスマン「一角獣狩り」/ゲルトルート・コルマル「一角獣」三作/ヒルデ・ドミーン「一角獣」/ヴォルフディートリヒ・シュヌレ「悲歌より」/パウル・ツェラーン「シボレート〔合言葉〕」
一角獣研究文献案内
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(二)各章別およびテーマ別文献注および文献案内
図版解説
訳者あとがき
索引