2003年2刷 文庫判 P233 小口少時代シミ
“訪日五度、滞日延ベ十年余―ケルン東洋美術館の生みの親フリーダ・フィッシャー。彼女は、竹内栖鳳、黒田清輝、井上馨、田中光顕、住友吉左衛門、根津嘉一郎、原三渓ら美術家・蒐集家と交流して日本美術への認識を深め、それらを育んだ日本人の気息に触れんと努めた。
本書は彼女の日本日記であり、近代日本美術界の消息を伝える貴重な資料でもある。待望の書、初の全訳成る。”(カバ(裏紹介文)
目次:
まえがき
一八九八(明治三十一)年
一月一日 京都(正月の民俗、巨勢小石邸、竹内栖鳳邸)/一月二日 京都(望月玉泉邸)/一月三日 京都(前田玉英邸)/一月 京都(京都ホテル、日本画家を招待、和田英作)/五月(逗子、黒田清輝、白馬会、R・コラン)
一八九九(明治三十二)年
三月三日 東京(高嶺秀夫邸、浮世絵コレクション、武内桂舟邸
一九〇二(明治三十五)年
一九〇二年(日本の美術研究、博物館と美術館)/五月 高野山(空海、奥の院、久保田鼎、密教美術)/夏 奈良(仏教伝来、奈良帝室博物館、山高信離
一九〇五(明治三十八)年
一九〇五年 京都(京都帝室博物館、J・コンドル)/八月(プロイセン号、伊藤博文の養嗣子、有栖川宮)/八月末(日比谷焼打ち事件、帝都騒乱)/九月六日 東京(戒厳令下の帝都、井上馨邸、井上コレクション)/九月十四日 東京(田中光顕邸、刀装具コレクション)/十一月六、九日 奈良(正倉院)
一九○六(明治三十九)年
十二月 日本(高野山)
一九〇七(明治四十)年
一月―四月 京都、奈良(寺院建築、東アジア美術の展開)/九月 京都(京都帝室博物館、絵巻物、西本願寺、狩野派)
一九〇九(明治四十二)年
六月二十一日 ケルン(ケルン市議会、美術館建設計画案)
一九一〇(明治四十三)年
一月 京都 (日本のオークシ ョン、掛物、絵画修理、贋作)/一月二十七日 大阪(住友吉左衛門邸、住友コレクション)/一月二十九日 大阪(住友邸、青銅器コレクション、『泉屋清賞』)/二月二十二日 京都(「柳橋図屏風」)/二月 奈良(北畠治房、中宮寺と弥勒菩薩像)/五月二十七日 神戸(旧ケルン東洋美術館展示用の日本間)/六月 東京(堀切菖蒲園、蛍の乱舞、生け花)/六月 東京(東京美術学校、「国華」)/六月 東京(東京帝室博物館、今泉雄作、漆工芸、陶磁器)/六月 東京(美術の庇護者、実業家コレクション)/六月二十二日 東京(根津嘉一郎邸、「衣桁図」)/七月十四日 東京(松浦伯爵邸、松浦コレクションと庭園)/七月十五日 東京(黒田侯爵邸、黒田コレクションと庭園)/七月二十五日 東京(原三渓邸、「孔雀明王」、C・フリーア)
一九一一(明治四十四)年
一月二十四日 ケルン(旧ケルン東洋美術館の定礎式)/八月十二日 奈良(贋作師)/八月 奈良(大徳寺、禅宗と水墨画、牧谿「美蓉図」)/九月 奈良(東大寺宝物庫)/九月 東京(東京帝室博物館、審美書院)/十一月十四日 京都(秋篠寺伎芸天立像の修補、仏師田中文弥)/十二月三十一日 京都(大晦日の八坂神社、おけら詣り)
一九一二(明治四十五)年
一月二十四日(離日)/二月十七日 ケルン(旧ケルン東洋美術館の完成)
一九一三(大正一)年
十月二十五日 ケルン(旧ケルン東洋美術館の開館)
訳注
フィッシャー夫妻と近代日本の諸相(安藤勉)
フィッシャー夫妻略年譜
主要参考文献