リリカル・クライ 批評集1983―2020 林浩平 論創社

2020年 四六判 P516 帯端少汚れ カバー僅スレ

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国内文学評論・エッセイ



2020年 四六判 P516 帯端少汚れ カバー僅スレ

“現代を生きる詩人の縦横無尽な思索のキ・セ・キ
詩、文学、美術、舞踊、ロック……
70年代から2010年代まで
文化の最先端を論じてきた批評の集大成!”(帯文)

目次:
第一章 暮らしのなかの詩
 {縄文遺跡の街に暮らす/座右の書/佐藤春夫と熊野/まちのうた/汽水の町の記憶/芝不器男の町を訪ねて/「小さな旅」と「世界の車窓から」/思い出の本/朔太郎が暮らした街下北沢を歩く/仙川は日想観の地?/「プネウマの詩学」と「日想観」思想/詩魂を抱いた学匠詩人/追想・北村太郎さん/北村太郎と「いいにおい」の死/入沢康夫氏を悼む/如月小春追想/冬の日/開店一周年のころ/和歌浦・玉津島神社}

第二章 現代詩とその周辺
 {「詩人」とは誰だろう/『麒麟』創刊をめぐって/なお生きる詩魂/虚子と三好達治・その文学的交点/新公開資料・三好達治の卒業論文/西脇順三郎の『詩学』のこと/瀧口修造晩年の「諺」について/小樽文学館に瀧口修造展を訪ねる/宮沢賢治『銀河鉄道の夜』再読/歩行しながら思索するモダニスト 田村隆一/郷里の亡霊たちへの祈り/郷土史の裂目を生きる/液晶画面のなかの「永遠」/峯澤典子さんのこと/革命前夜の詩的言語/批評装置としての「装丁」/金時鐘/〈文人〉精神の現代的展開/石川淳の『諸国崎人伝』を薦める

第三章 俳句のポエジー・短歌のポエジー
 {詩的言語としての芭蕉俳句/ジャーナリスト正岡子規/高浜虚子を読む/虚子的なるものの系譜/現代俳句管見/海の主題とストレンジャー/歌ことばの光学/ピュアな歌ごころの墓標/結い直された〈みだれ髪〉/短歌定型の窮屈さについて/「木を見て森を見ず」ではないか

第四章 書評―小説を読む
 {優雅で的確に四囲を写しとるペンの運び 堀江敏幸『ゼラニウム』/市井の暮しへの静蓋なまなざし 堀江敏幸『雪沼とその周辺』/詩は空への眼差しから始まる ジャック・レダ『パリの廃墟』/終末を生きる自意識が経験した夢魔と官能の物語 松浦寿輝『あやめ 蝶 ひかがみ』/ポエジーに触れた後の深々とした余韻 平田俊子『ピアノ・サンド』/等身大の秩序を食い破った異貌の物語 小池昌代『ことば汁』/凶暴な反「家族小説」の誕生 清水博子『ぐずべり』/鏡に映った等身大の作家像 岩阪恵子『わたしの木下至太郎』/ひとりの女性作家の日常を主題とした私小説 金井美恵子『待つこと、忘れること?』/現在に召喚されるべき「テロルの作家」の評伝 陣野俊史『テロルの伝説 桐山襲烈伝』/末期の眼がとらえた〈南部〉的人間劇を描く フラナリー・オコナー『善人はなかなかいない』/人生の廃品のなかに見つけた詩 チャールズ・ブコウスキー『ありきたりの狂気の物語』/彼を「パンク」で括れるのか チャールズ・ブコウスキー『オールドパンク、供笑する』/ドラッグカルチャーの落し子による「他者の国」の産物 デニス・ジョンソン『ジーザス・サン』/ポップ・カルチャーの寵児による「純文学」 テリー・サザーン『レッド・ダート・マリファナ』/本邦初紹介のバスク文学 ベルナルド・アチャーガ『オババコアック』/スラヴ的なるものの力 セルゲイ・ドブラートフ『わが家の人びと ドブラートフ家年代記』/南部的想像力とマジック・リアリズムの賜物 バリー・ハナ『地獄のコウモリ軍団』}

第五章 書評―詩集・詩書を読む
 {剥き出された自然 吉増剛造詩集『裸のメモ』/詩が〈何処にもない〉現在への危機感 吉増剛造『何処にもない木』/俊敏なジャーナリスト感覚と端的な措辞 大岡信『精選 折々のうた 上・中・下』/記号が棄損されモノとなった言葉 吉岡 実『薬玉』/シュルレアリスムにおける写真の重要性 瀧口修造『白と黒の断想』/孤独の相の底無しの深さ 北村太郎『すてきな人生』/霊的な交流を希求したリルケの書簡を読む 志村ふくみ『薔薇のことぶれリルケ書簡』/大切な十五人の詩人たちの肖像 白石かずこ『詩の風景・詩人の肖像』/沸騰した六〇年代を象徴する詩篇 『白石かずこ詩集成I』/器用仕事《ブリコラージュ》としての「詩歌の現場報告」 岡井隆『詩の点滅 詩と短歌のあひだ』/注解詩という新様式の創造 岡井隆『注解する者』/語りの本質の探求を国語学的アプローチで試みる 藤井貞和『文法的詩学』/まっすぐな「文学」愛を語る 荒川洋治『文学の空気のあるところ』/現代詩の諸問題を対話形式で討議 稲川方人・瀬尾育生『詩的間伐対話2002―2009』/徹頭徹尾隠喩で書かれた詩篇 松本邦吉『発熱頒』/「生きる」ことへの寛容な思いやり 松本邦吉『しずかな人 春の海』/現代詩の外部を対象とした啓蒙の書 松浦寿輝『詩の波 詩の岸辺』/詩人としてのブルトンを丁寧に論じる 朝吹亮二『アンドレ・ブルトンの詩的世界』/詩《ポエジー》への強いこだわり 四方田犬彦『わが煉獄』/自らの詩業を回顧しつつ詩と哲学の接近を検証 野村喜和夫『哲学の骨、詩の肉』/現代詩の地層にある未解決の問題を指摘 矢野静明『日本モダニズムの未帰還状態』/暗喩を捨てた文体による画期的な達成 高橋順子『時の雨』/息遣いの確かな「声」を伴った「わたし」の物語 峯澤典子 『あのときの子どもたち』/本説取りの方法による劇的想像力の発露 森井マスミ歌集『ちろりに過ぐる』/フェミニンな抒情の世界 浦川聡子句集『眠れる木』}

第六章 書評―批評を読む
 自由闊達に語られた古今の美術と文学の世界 芳賀徹『藝術の国日本』/あらゆる知見を動員したタウトをめぐる大著 長谷川章『ブルーノ・タウト研究』/室内のアウラ喪失をめぐる現象学的思弁 柏木博『探偵小説の室内』/鬱然たる学殖すら粉砕する詩的癇癪の力 阿部良雄『シャルル・ボードレール〈現代性の成立〉』/安楽のファシズムを蹴っとばせ 藤田省三『全体主義の時代経験』/地上最強の母子家庭を活写 秋山祐徳太子『秋山祐徳太子の母』/コンテンポラリーダンス愛好家が綴る哲学的思考 多木浩二『思想の舞台』/隣人の息子の手になる作家の小伝 萩原朔美『死んだら何を書いてもいいわ ―母・萩原葉子との百八十六日』/ロードエッセイストが導く「世界の響き」との遭遇 管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』/文献考古学の方法を駆使し霊的なネットワークに注目 安藤礼二『場所と産霊 近代日本思想史』/折口学の新しいスタートラインを引く大仕事 安藤礼二『折口信夫』/最も純粋な旧制高校的精神の産物 原口統三『二十歳のエチュード』/分析主体のラディカルなデジタル感覚 高橋世織『感覚のモダン ―朔太郎・潤一郎・賢治・乱歩』/回文という過激な言語実験の試みの書 福田尚代『ひかり挨のきみ ―美術と回文』/書物の外の文学領域の考察 守安敏久『メディア横断芸術論』/同時代のパラダイムを超えた過激なマイナー文学の実践 可能涼介『圧縮文学集成』/革命の詩的意味を問う オクタビオ・パス『もうひとつの声』/デジタルテクノロジー批判と神秘主義思想 ジェイムズ・メリル『ミラベルの数の書』/戦争詩の朗読の問題と声との親和性を批判 坪井秀人『声の祝祭 日本近代詩と戦争』/小さな虫たちへの小さくない著者の愛情 安富和男『害虫博物館 昆虫たちの「小進化」』/ロックギタリストが少年時代を回想した物語 キース・リチャーズ『ガス・アンド・ミー ガスじいさんとはじめてのギターの物語』/ロックシーンの生き証人による貴重な回顧録 『キャロル・キング自伝 ナチュラルウーマン』/人生を語る言葉のリズムはロックそのもの 『スティーヴン・タイラー自伝』/女性たちの人生の手応えが胸に残る 蘇芳のり子『モンパルナスの少女』/稀な観察眼と文体を持ったエッセイスト/ダンサー 室野井洋子『ダンサーは消える」

第七章 美術・映画・ダンスのなかの詩
 {森堯茂さんのこと ―そのモダニズムとダンディズム/造形思考の魅力 ―森堯茂彫刻展に寄せて/抽象彫刻とともに歩む ―森堯茂物語/「楽天」という友愛の磁場 ―伊丹万作と中村草田男の文学的青春/なぜわたしは〈撮る〉か ―萱原里砂・笹岡啓子・高橋あい 写真家の肖像/寓意としての原初的なるものの痕跡 ―版画家柳澤紀子の世界/人間の消えた空き地に物たちはいる ―展覧会「空き地」のために/「2であること」の神秘 ―岡崎和郎/大西伸明「OBJECT2」展のために/地上に稀なひとつのミクロコスモス 世田谷美術館「瀧口修造夢の還流」展を訪ねて/東京都写真美術館「森山大道展」によせて/ふたりの中国人監督 ―陳凱歌と侯孝賢/光と影の山水画 ―侯孝賢『戯夢人生』にふれて/慈悲悪と残酷 ピナ・バウシュの舞台の神々しさ/ピナ、舞台のポエジー ―ヴッパタール舞踊団『天地 TENCHI』公演/劇的想像力の祝祭 ―ヤン・ファーブル『わたしは血〜中世妖精物語』/遊戯の暴力 DV8フィジカル・シアター『エンター・アキレス』/崩壊のカタルシス ―ローザス『ビッチェズ・ブリュー/タコマ・ナロウズ』/アヴァンギャルドなキャバレー空間を現出 ―フィリップ・ドゥクフレ『CONTACT ―コンタクト』/眠りの神が運ぶ夢のなかの身体表象 勅使川原三郎&KARAS『睡眠 Sleep』/ムイシュキンの無声の叫び ―勅使川原三郎&KARAS『白痴』/猥雑な表現、崇高な余韻 ―ダンサー山崎広太/吉増剛造+笠井叡『足裏の律動』公演を観て/ダンスとポエジーの明日のために/大野一雄さんの思い出}

あとがき
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