文化2年(1805) 15.5×22.5 和綴 199丁 元10分冊のものを1冊に綴じ直し 全体にイタミ、汚れ 虫喰い、濡れ跡、押印、破損部裏打補修 乱丁1ヶ所 落書き2ヶ所
●乱丁について●
本来は巻頭「序」の後にあるはずの「画題」の丁が、巻一目録の後に挿入されています。
●落書きについて●
巻二の挿絵2枚(「高橋清左衛門大膳亮殿問答の図」および「高橋農民を諭す図」)に墨で落書きが見られます。
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速水春暁斎作・画による仇討ものの読本で、文化7年に勝俵蔵(のちの四代目鶴屋南北)が書いた歌舞伎「絵本合法衢」の元にもなった話。
ただし歌舞伎とは人名が異なっていたり、主人公・鬜皃《がっぽう》の出生前のエピソード(武将・小枝慶次郎(モデルは前田慶次郎)の活躍や、じつは鬜皃がその落胤であることが示される)から始まるなど、歌舞伎では割愛・改変された設定・場面も含む。
目次:
序
惣目録
【巻之一】
発端
(挿絵:小枝慶次郎寒中水風呂を設る図/小枝駿馬松風に鞭打て立退く図)
小枝慶次郎漫行の話
(挿絵:囲碁の賭順礼林泉寺を撲つ図/慶次郎脇差を帯して浴室に入る図)
小枝勇武の話
(挿絵:大字の指物諸将を驚す図)
高橋清左衛門小枝が託を受る話
(挿絵:慶次郎妾を高橋に送る図)
【巻之二】
大膳亮暴慢の話
(挿絵:小枝大膳亮殿乱行の図/其二/小枝大膳亮殿放鷹の図/其二)
高橋清左衛門直言の話
(挿絵:高橋清左衛門大膳亮殿問答の図/高橋農民を諭す図)※落書きアリ
小枝敏起公高橋へ内命の話
高橋大長寺に至て内意を述る話
(挿絵:大膳亮殿途中に高橋を避る図)
【巻之三】
小枝敏高高橋が所為を怒り給ふ話
(挿絵:小枝敏通公敏高を警誡給ふ図/小枝敏高近侍の諸士を責詰給ふ図)
農民徳太夫横死の話
(徳太夫妾に戯ふる図/博徒重右衛門徳太夫を殺して銭を奪ふ図)
徳太夫が横死點撿の話
(徳太夫が横死によつて村民馳集まる図)
お蝶山中にて悪少年に遭ふ話
(旅商人悪少年を斬てお蝶を救ふ図)
(お蝶山中にて難儀に遭ふ図)
高橋清左衛門明断の話
【巻之四】
博徒重右衛門出奔の話
(挿絵:重右衛門竊に風説を聞く図)
高橋九郎兵衛お蝶を詰問する話
(挿絵:高橋計って犯人を捕ふ図/高橋明智の図)
高橋仁智疑獄を断ずる話
(挿絵:雪中に死骸を堀出す図)
高橋清左衛門横死の話
(挿絵:大膳亮殿高橋清左衛門を刺給ふ図/小枝孫三郎切腹の図)
【巻之五】
大長寺老臣敏高を警誡話
(挿絵:農民高橋が死を哭する図)
高橋作左衛門嘉津沢へ抱らるる話
(挿絵:高橋作左衛門敏経公に仕ふる図)
高橋無妻の本意を述る話
(挿絵:浪士等婦女子に戯ふる図/西尾蔵人部下の強弱を試す図)
鎌倉におゐて作左衛門凶夢を感ずる話
(挿絵:作左衛門夢中に兄の霊に見る図)
家徒粂八大長寺の密事を探る話
(挿絵:羽田粂八叔母に逢ふ図)
【巻之六】
高橋作左衛門報讐の志を立る話
(挿絵:作左衛門偽て家に籠る図)
高橋作左衛門虚病を構て鎌倉を退く話
(挿絵:敏経公怒て高橋を手討にせんと仕給ふ図/高橋本国を立退く図)
鬜皃大長寺城中を窺ふ話
(挿絵:鬜皃風夜に大膳亮殿を覗ふ図)
若州の小民途中にて鳥を替る話
(挿絵:旅民山中に鳥を得る図/農民羅網に海魚のあるを怪しむ図)
【巻之七】
淫祠霊異を成すの話
(挿絵:霊異神人に託する図)
鬜皃山中に宿して邪神を試みる話
(挿絵:販稍客處女を売る図/少女贄に備へらるる図)
村人鬜皃に従て邪魅を殺す話
(挿絵:鬜皃邪霊を斬て少女を助る図/村民鬜皃を取巻図/村民洞口を薫べて古狸を殺す図)
肥州の處士田代が来歴の話
田代私婦の薄情を憤る話
(挿絵:冨田幸次郎見代女に恋慕の図)
【巻之八】
田代みよ女を殺んと謀て難に遭ふ話
(挿絵:永岡氏が妻女生土神に詣て桜花を見る図/其二/田代弥左衛門永岡氏の帰路を閙す図)
隠士田代に呪詛の法を授る話
田代百生を殺して発心する話
(挿絵:老翁の教によつて田代法を行ふ図/田代母を害せんとする図/其二)
【巻之九】
高橋鬜皃浪華へ赴く話
(挿絵:鬜皃河堤に月を賞する図/蒲生の墓所に農民怪物を見る図/鬜皃怪婦を捕ふる図)
合邦辻にて高橋田代を救ふ話
(挿絵:摂州合邦辻の図/廻国田代盗賊の難に遭ふ図)
高橋柳ケ瀬に足を留る話
(挿絵:鬜皃柳ケ瀬にて粂八に遭ふ図)
【巻之十】
小枝敏高里見善吾へ心事を託し給ふ話
(挿絵:小枝大膳亮殿里見善吾に金を賜ふ図/松ヶ枝自ら折る図)
里見善吾敏高公を諷ずる話
(挿絵:柳ケ瀬鬜皃辻に閻王の像を建る図)
小枝敏高閑居を免され給ふ話
(挿絵:歩卒閻魔堂に休て鬜皃に遇ふ図)
高橋鬜皃大長寺の動静を知る話
(挿絵:鬜皃兄の讐を報ずる図/其二)
高橋鬜皃本意を遂る話
(挿絵:鬜皃命を捨て善を全ふする図)