昭和56年 四六判 P253 カバー少ヤケ、少汚れ、端僅イタミ、袖角折れ跡 小口少ヤケ、汚れ
山仕事に従事する「山師」と呼ばれる人々や猟師、漁師といった古老たちから著者が直接聞き取った証言と、先行研究、文献資料などから、山と海の民俗について考察する。
目次:
【山地の貌】
I 山師たち ―その縄文的痕跡
{(1)自在鉤をつくる老山師/(2)雑木林の生活サイクル/(3)サク小屋と焼畑/(4)山との親和「木おろし唄」/(5)味覚のなかの「縄文」}
II シシ狩りのはなし ―狩猟と伝承
{(1)不可解な狩りことば/(2)「鉄砲で撃った肉がうめぇ」/(3)解体儀礼/(4)シシ肉の配分法}
III 再生の力と山の神
{(1)タブーと再生/(2)夜神楽にみる狩猟儀礼/(3)忌ことばと他界観/(4)変幻するヤマンタロ/(5)オコゼ伝承/(6)山の神のふるさと}
IV 山の神のたどった道
{「山の神」と南方の神々/(2)神話のなかの粟と米/(3)焼畑雑穀民の神話/(4)海とつらなる山の民/(5)東亜半月弧のなぞ/(6)生きる原理}
【海の貌】
I 海女 ―海底労働の世界
{(1)曲海女トメばあさん/(2)ハツコ縄の魔力/(3)ハエとウネ/(4)海女のケイコ/(5)ドンブリ海女/(6)「はあ、せめきった」}
II 島社会と海女部落
{(1)鐘崎から曲へ/(2)“間借り”の象徴論/(3)海と山の蜜月時代}
III 漂泊移動の日々
{(1)曲船の構造/(2)豊への道/(3)「マレビト」のように/(4)ハルばあさんの一年}
IV 伝承のなかの曲海女
{(1)ゴトリン節/(2)海女と 「赤不浄」/(3)安徳天皇伝説/(4)「言葉じゃ、いわれんも」}
V 海士と海人族
{(1)壱岐島・小崎の海士/(2)磯をとるか、山をとるか/(3)漂泊の民と定住民}
VI 海が生んだ共有感覚
{(1)風は海の中から出てくる/(2)老人と海の親和/(3)海女と海士の潜水能力/(4)岩がおらぶ海底/(5)夜と昼のある龍宮/漂漁の旅}
VII アワビと伝承
{(1)古文献のなかの「アワビ」/(2)「御両家」の支配と没落/(3)フシ制度/(4)「ヒチゴサン」と水神}
VIII 玄界灘と南西諸島 ―黒潮がつなぐもの
{(1)海の秩序「コザー」/(2)潜りと網漁/(3)糸満漁法の痕跡/(4)共同漁の配分法}
IX 黒潮文化の根っこ
{(1)玄界から南西諸島へ/(2)波照間のアマカラ伝説/(3)糸満人の由来と伝説/(4)亀一じいさんの足跡/(5)フカとの闘い}
X 糸満漁師 ―海を歩く日々
{(1)「海の子」のしつけ/(2)雇子制度/(3)糸満売り/(4)海を歩く/(5)辺土名の潜水漁/(6)一人前と半人前/(7)丸木舟―海が創った形}
XI 海洋民の女たち
{(1)糸満の女たち/(2)魚の行商《イユアキネー》と私財《ワタクサー》/(3)女たちが支える魚市場/(4)ヘソクリ制度「ワタクサー」}
参考文献
あとがき