1990年4刷 A5判 P332+索引P20 函背から端にかけてヤケ
“「現代の最大の詩人であり、英語の詩人として最大の詩人であることはまちがいない。どの言語の詩人のなかでも最大である」(T.S.エリオット)と目せられ、1923年のノーベル文学賞に輝くW.B.イェイツの1950年決定版全詩集による386篇の詩の全訳である。
五十数年間、途中、数年のブランクがあったにせよ、終始、詩を書きつづけた詩人は、文学史上でも稀有の存在であろう。 しかも、 イェイツは最後まで不死鳥のように旺盛な闘志と創作意欲を失わず、いや、ますます高め、熱狂的な「鷲の精神」で貫き通した偉大な詩魂の持ち主であった。
五十数年間の成果を更に改削した1933年版「全詩集」に、その後の詩を加えた1950年版が最終決定版になった。この決定版は12の詩集からの「抒情詩」と、6篇の「物語詩と劇詩」とによって構成されており、イェイツが後世に遺したいと願った詩作品のすべてを含む。
神秘的な幽愁の美を湛え、夢幻に包まれた詩、象徴詩、ラファエロ前派に近い詩などから出発して、劇的な苦悶の道をいくつも通りぬけながら、しだいに硬質の現代詩にゆきつく行程が、この一冊の全詩集のなかに煮つめられた形で集結している。孤高な詩人の歩んだ峻烈な精神的闘争の軌跡を通して、私たちは時代の変遷や、危機に立つ20世紀の抱える意味を深く新しく認識しなおすことができるであろう。”(函裏紹介文)
目次:
【抒情詩】
十字路(一八八九)
薔薇(一八九三)
葦間の風(一八九九)
七ツの森にて(一九〇四)
みどりのヘルメットと、その他の詩(一九一〇)から
責任(一九一四)
クール湖の野生の白鳥(一九一九)
マイケル・ロバーツと踊り子(一九二一)
塔(一九二八)
螺旋階段と、その他の詩(一九三三)
三月の満月(一九三五)から
最後の詩集(一九三六―一九三九)
【物語詩と劇詩】
アシーンの放浪(一八八九)
メイヴ女王の老年(一九〇三)
ボイラとアイリン(一九〇三)
影なす海(一九〇六)
二人の王(一九一四)
ハールーン・アルラシードの贈り物(一九二三)
注(イェイツ)
注(訳者)
参考文献
訳者あとがき
固有名詞索引
原詩題名索引