2001年 文庫判 P457+索引P63 カバーヤケ、汚れ、キズ、端イタミ
“王朝・幕府などの公権力からの抑圧に抗い、流通、金融、商業の自立的な組織を構築・管理・統制した非農業民の世界、中世都市。中世考古学、文献史学などのさまざまな角度から、現代にも通底する市場原理、流通、自治、自由などの中世の諸問題を実証的に追究。また、「無縁」論をめぐる思索活動の全容をあますところなく伝える。都市民による交流と文化の場としての新たな中世社会像を提唱する画期的な論集。”(カバー裏紹介文)
目次:
まえがき
序章 中世都市研究の現状と課題
【第I部 都市的な場】
第一章 中世における「無縁」の意義
第二章 若狭の駆込み寺 ―万徳寺の寺法をめぐって
第三章 「公界」と公界寺
一 「公界」という語
二 公界寺・公界所と無縁所
三 「公界」の源流とその残影
付論 歴史と自然・河海の役割 ―『そしえて21』の発刊によせて
【第II部 都市論】
第四章 中世都市論
はじめに ―中世都市研究の二つの潮流
一 中世都市の形成 {1 「田堵」と「職人」の分化―都市成立の前提/2 「地」について―都市的な場の特質/3 「遊手浮食の輩」と「地主」―都市民の源流/4 地子・在家役と交易上分―都市的課税について/5 検非違使・京職と地奉行―都市政策と都市制度}
二 中世都市の発展 {1 「職人」の定着と「地百姓」の成立/2 地子・地口銭・酒屋土倉役・率分―都市的課税の分化/3 使庁から侍所・地方頭人へ}
三 自治都市の出現 {1 京都の変貌/2 無縁・公界・楽}
むすび 日本中世の「自由」とその結末
第五章 鎌倉の「地」と地奉行
はじめに
一 「地」について
二 保と地奉行
むすび
第六章 西の京と北野社
はじめに
一 平安時代の西京
二 北野社西京神人と西京七保
三 室町・戦国期の西の京
むすび
第七章 伊勢国桑名
序
一 宝治二年十壹月の某申状写
二 益田荘の成立
三 益田荘と鹿取荘の堺相論
四 伊勢・志摩の蔵人所供御人
五 「十楽」の津
結
第八章 近江国堅田
一 はじめに
二 堅田の成立をめぐって
三 中世都市堅田 ―番頭の自治
四 山門大責以後の堅田
五 おわりに
第九章 近江国船木北浜
はじめに
一 琵琶湖周辺の小都市群
二 安曇川御の確立
三 船木供祭人の実態
四 中世後期の御厨と船木関
五 小自治都市船木浜
むすび ―残された問題
第十章 備後国「草戸千軒」
終章 中世都市研究の問題点と展望
一 中世都市とその住人
二 十五世紀初頭の市庭都市と請負代官
三 中世都市論の課題と展望
あとがき
文庫版あとがき
初出一覧
解説「無縁」論―「老マルキスト」の警告(桜井英治)
索引(人名・地名・事項)