2003年3刷 文庫判 P264 天僅汚れ
“「一夜妻」「一時女郎」「女のよばい」「いざいほう」等々、わが国には、古来特色ある性にまっわる民俗が存在し、さまざまな形で各地に伝承されてきた。こうした性風俗の実態は、部外者へ明らかにされることはない。『伊勢物語』等の古典文学、『日本書紀』等の史書から民謡までもあまた渉猟し、日本人の性への意識と習俗の伝統を、民俗学的見地からたどり返す。”(カバー裏紹介文)
目次:
一 おまつり {関係―神の嫁―いもり酒の台詞―いもり―木の根祭り―花祭りの歌}
二 一生一度のほててんご
{誰のつび―弁慶上使―一交の男女―飯豊天皇一}
三 寝殿 {宰予昼寝―寝殿造り―やすむ―御息所―やすみしし―安見児―神との結婚}
四 一夜妻 {沖縄処女―宇佐使―まれびとと女―衣通郎姫―娘子を奉らん―帳台の試み}
五 一時女郎 {一夜妻―臼が住む―織女星―たなばたつめ―一夜官女}
六 夜妻・朝妻 {妻をいう語―方言―文学語―あさけの姿―いかにせん―朝妻山―朝妻舟}
七 神の嫁の選定 {袴を投げる―まむだの堤―八岐大蛇―野宮―いざいほう―鍋かぶり祭り}
八 初夜の権利 {初夜にあう者―一夜にしてはらむ―木花咲耶姫―童女君―鳴戸中将}
九 気のさび {ねいろとすれば―人目も草も―なりもならずも―またく心―歌のあぶな絵}
一〇 東枕の窓の下 {類例―東枕―枕―新枕―仇枕―東窓をふさぐ里―東ふさがり}
一一 よばい {よばいぐち―よぶ―錦木―夜這い―よばい星―下女―片月見―ぬれる・しげる}
一二 かよう男 {通い小町―猫の妻―秘密の妻―公然の忍び妻―殿移り―覆面の男―丹塗矢―川屋}
一三 男を待つ文学 {足入れ―あかいのこ―女の優位―焦れる女―内省の歌―切なる願い―前じらせ}
一四 鐘に恨みは {鐘一つ―歌謡曲の鐘―別れの鐘―明けの鐘―鐘つき―鐘の文学―鳥の声}
一五 女のよばい {丹波よいとこ―水汲み―通う女―柘校伝―さげ重―夜のおまし―死者の書}
一六 色好み {いろ―このむ―色―まめ―豆男―老女にあう―色好みの発生―結婚と戦争}
一七 うわなりねたみ {妬婦伝―前妻後妻―六条御息所―恨みの向き―三年目―後妻打ち―騒動打ち}
一八 いなみ妻 {かつぐ―嫁かたぎ―沖縄ののろ―男をいなむ―処女塚―伊勢の斎宮―在原業平}
一九 遊女の発生 {末の珠名―神の嫁―和泉式部―遊女―駅の長―あそび―くぐつ―異名}
二〇 情死 {谷中の塔―あの世の幸せ―金より大事な―恋愛至上主義―お前とならば―夫婦心中―武士は死なず}
二一 心中死まで(1) {不心中―心中立て―死なぬが心中―誓詞―三枚起請―断髪―放爪}
二二 心中死まで(2) {黥―切指―貫肉―形見の水櫛―心中箱―相対死―全国女性街・ガイド}
二三 密通 {その方言―姦通への感情―刑罰―私刑―間男―七両二分―まぶ}
二四 妻敵討ち {鑓の権三―近松の作劇術―作者の感覚―浦の苫屋―須磨の浦}
二五 伊勢の留守 {性の解放―つと入り―女の家―訪れる神―伊勢参り}
三六 ぼんがま {ぼんがま―磯遊び―家にいられぬ―ひよどり―市―歌垣―花妻}
二七 性教育 {紀州の性教育― 数人の親子―みられの式―落選のまじない―髪上げ―恥かしい経験―仲人}
二八 ふんどし {亀の頭―ふんどしの形―ふんどし親―おばくれふんどし―玉依姫―お湯殿―湯坐―一人前の女}
二九 田の巫女 {成女戒―田植え―田と子ども―猥雑な芸能―すさのお―ほとたち田―田で死ぬ女―のたうち―白石噺}
三〇 赤不浄 {不浄―血のけがれ―手なし―みやずひめ―三重の采女―田屋―初出祝い}
三一 私生児 {父親のわからない子―私生児政策―よばい子―稲つけば―おとし子―不比等―清盛}
三一 くなどの神 {男岩―道祖神―<など―まぐなぎ―御神体―かゆの木―百太夫}
三三 中棒 {ちんぽこの語原―ちうほう―おやす―まつだけ四題―同音異義―まら―健全娯楽は}
三四 くぼの名は {伊勢男・筑紫女―ひも―きたない話―まらが来る―くぼの名―内はほらほら―ほと問答―ちょいとの違い}
三五 女に笑われぬ男 {人に笑われる―見辛いこと―男の評判―女とは―迷いをあるじとして}
あとがき(原本)