昭和61年5刷 文庫判 P241 カバーヤケ、少汚れ、端僅イタミ 小口および巻頭・巻末ページ端ヤケ、時代シミ
“古代の人は言葉に精霊が宿ると信じ、霊妙な力が人の幸不幸を左右すると考えた。これらの痕跡を、文献·伝承等に探り、祝詞の言霊・万葉人の言霊・仏教の言霊・名に宿る精霊・近世国学者の言霊観などの諸相に捉え、「言事融即」の観点から精細に考察する。外からの押付け言語政策、民族語のもつ母語固有の言霊、自国憲法に言語規定をもつ諸国、言語不信をかこつ言論、汎言語主義の病弊など、狙上に究明して言霊思想の回帰点に及ぶ。”(カバー裏紹介文)
目次:
はじめに
一 言霊思想の原点
1 言霊とは {コトとタマ/呪文・呪詞/黒呪術/白呪術}
2 コト(言・事)の融即観から {古事記/万葉集/延喜式祝詞/日本書紀/風土記/古今和歌集/その他/コト表記混同の背景}
3 言霊の神がみ {興台産霊神/一言主神/八意思兼神/八重事代主神/太詔戸命}
二 古代人の言霊生活
1 ミコトモチ・ミコトノリ
2 コトアゲ・コトアゲ制禁
3 コトムケ・コトダテ・コトドヒ
三 万葉人の言霊の歌
1 招迎・祓除の歌
2 鎮魂の歌
3 夕占問の歌
4 名前の歌
5 人麿の「事霊」と憶良の「言霊」 {コト観念の分化/人暦の表記/憶良の表記}
四 祝詞の言霊思相
1 祝詞と言霊 {はじめに―大祓詞/ノリトの語義/祝詞とノリト}
2 撰善言詞 {ヨゴト/撰善言詞}
3 ノリトの変化
4 呪術氏族と鎮護詞 {斎部と中臣のノリト/古語拾遺/大殿祭/御門祭/宣命}
五 名にヤドル精霊たち
1 神名・地名
2 古代人・王朝女流の名 {万葉人の名/正倉院残簡戸籍の名/東大寺奴婢関帳の名/王朝女流の名}
3 実名の敬避 {『実名敬避俗研究』/名はすべて美称/名のタブー/名残り}
4 イミナ(諱)とオクリナ(諡) {イミナとは/国諱/オクリナとは/贈賜名/帝諡・元号/悪名・醜名・賜醜名/罪人改名}
六 仏教の言霊思想
1 法語 {神仏習合の潤滑油/カナ法語/真言/道元の愛語/親鸞の聞法}
2 読経 {読経の力/持統・文武・聖武の時代/光仁・桓武の時代/ダラニ(陀羅尼)}
3 念仏 {念仏の言霊/念仏行者たち/物の怪と言霊}
七 近世国学者の言霊思想
1 言霊の発掘
2 三大家 {釈契沖/賀茂真淵/本居宣長}
3 音義言霊説 {平田篤胤/清原道旧/川北丹霊朝弘/鈴木重胤/橘守部/富樫広蔭/堀秀成/鹿持雅澄/林圀雄/高橋残夢/富士谷父子(成彰・御杖)/倒語説/音義説とアイウエオ}
八 近現代の言霊思想の問題
はじめに
1 言霊と異民族の接触 {アイヌ・沖縄/樺太・.南洋群島・満州国/台湾・朝鮮/米・ソ・仏の例}
2 言葉の呪縛 {意味の三角形/戦後の再評価/言葉の魔力/汎言語主義の病弊/現代的言霊思想/言霊思想の回帰点}
参考文献
あとがき