昭和54年 A5判 P357 函ヤケ、汚れ 本体元パライタミ 小口時代シミ 裏遊び紙ラベル剥がし跡
明治初期に登場した人力車について、発明、普及から衰退まで、生産・改良、車夫の暮らし、社会情勢との関わりなど、さまざまな資料をもとにその歩みを辿る。
目次:
人力車を考える(青木国夫)
序文(今津健治)
第一章 前史
一 西欧 {フランスの人力車/阿蘭陀人巡見之図}
二 日本 {自家用の車/営業用の車}
三 坐型の人力車 {腰掛け型と坐型(乗合人力車)/日除け人力車/六人乗人力車/加納夏雄一家の東京転住/九人乗人力車/東海道筋水口駅の家台車}
第二章 人力車の発明
一 発明者はだれか {発明人ハ沢山アル/アメリカ人宣教師ゴーブル/人力車発明者に関する授書/発明人を正す/福沢諭吉の乳母車/仏師掃部と曲録}
二 三人の発明者グループ {風俗画報―和泉要助聞き書―/鈴木徳次郎の手記―人力車発明日記―/二者の比較/東京府庁に出願/営業加入者の続出と発明の確利の保全/発明者たちの営業/車税と総行事廃止/その後の発明者たち}
三 年金請願運動と記念碑 {二つの新聞記事/年金請願運動/賞金下賜/二つの人力車発明記念碑}
第三章 各地にのびる人力車
一 反響と普及 {黒山の人だかり/商売仇/明治のカーキチ/反感と苦情/人力車営業の奨励/天皇巡幸と道路改修}
二 各地にのびる人力車 {東京から各地へ/大阪から各地へ}
第四章 人びとの暮らしと人力車
一 生活圏の拡大 {好奇心/コミュニケーションの拡大/時間の迅速を貴重と考える/人力車は便利}
二 長距離輸送と人力車 {馬車と鉄道/長距離輸送と人力車/継ぎ立の組織/活躍する長距離路線の人力車}
三 人力車批判 {人力車むだづかい論/人力車廃止論}
四 外国人の人力車観 {人力車初乗りの感想/博覧会をつぶせ/便利さと蔑視}
第五章 人力車の生産
一 爆発的な人力車の生産 {激増する人力車/維新前後の車輛生産}
二 秋葉大助父子 {初代・秋葉大助/二代・秋葉大助/秋葉大助の先祖}
三 車体の改良 {人力車箱/一人乗りと二人乗り/三輪形人力車/蒔絵(絵入り)人力車/車輪/梶棒/泥除/ばね/幌(母衣)}
四 人力車の生産形態 {初期の生産形態/部分品メーカーの出現/秋葉大助商店の製造工程と生産規模/伊東竹三郎とその生産体制/生産形態の発展}
五 地方における生産 {全国に誕生した生産業者/地方の人力車の構造}
六 輸出 {清国視察旅行/人力車輸出統計/輸出の始め/輸出人力車メーカー/横浜の中国商/輸出先/移出}
第六章 人力車夫の暮らし
一 車夫社会のしくみ {お抱え車夫/挽子(車宿の車夫)/所有人力車夫と「番」/借人力車夫と「もうろう」車夫}
二 失業者の吸収 {簡単になれた車夫/流動する借人力車夫層/車夫たちの出身階層/戦争と人力車夫}
三 新しい交通機関の登場と抵抗運動 {追われる車夫たち/抵抗する車夫たち}
四 新しい交通機関が与えた影響 {鉄道の影響/市内電車の影響}
第七章 人力車の衰退
一 タクシーの影響 {行く末案じる車夫たち/バスからタクシーへ/円タクの流行}
二 自転車の影響 {人力車の敵/大衆化した自転車}
三 人力車 夫たちの転廃業 {タクシーへの転業/同情すべき老車夫}
四 輪タクの登場 {人力車と自転車の結合/敗戦後の仇花}
五 なお生き残る人力車 {日本/海外}
付録
営業人力車取締規則標準
人力車全国保有台数
人力車年表
参考文献
索引
あとがき