昭和42年　四六判　P446　函カバーヤケ、汚れ、スレ、少イタミ　本体ビニールカバー少イタミ

“第2次大戦末期の数ヵ月を、少年の目を通して描く、新しいハンガリー文学！
ナチの手で、天国へ煙となって消えようとする少年。そして追いつめられた人間たちの愛と憎しみ。音と色彩豊かな文体でつづる異色作”（函カバー紹介文）

“この小説は極限状況におかれたユダヤ人の宿命と心理と独特の人生哲学が何よりも濃い色に描かれている。ギュリ少年が憲兵に拉致されてユダヤ人集団のなかに組みこまれ、転々と送られる途上での苦痛や不安やそのときどきの夢想やはかない願望などは、綿密に描きこまれている。作者が相当大きな情熱をもって書いていることが私にも伝わってくる……最後のシーンははるかにモルナールの傑作「リリオム」の終幕とつながっているように思われる。幻想的なハンガリー文学の母斑が作品の終りまぎわにはっきりあらわれたのである　―杉浦明平《わたしの作品論》より―”（函裏文）

目次：
ケシの人と文学（桑島健一）
エリジウムの子供たち（ケシ　訳：桑島カタリン）
わたしの作品論（杉浦明平）