1997年3刷 文庫判 P203 カバースレ、ヤケ、汚れ、内側ヤケ大
“人体の視知覚形式を、「見る」に徹する「目の視覚」と、共通感覚に訴える「脳の視覚」の二種類に分け、写真・映画・マンガ・美術作品など、古今東西の視覚作品を解剖してみると……。さまざまな視覚作品を、5万年前から変わらない人体による視覚レポートとしてとらえ、科学から美学へアプローチしたまったく新しい視座を提示する。”(カバー裏紹介文)
目次:
序章 「目の視覚」と「脳の視覚」
第1章 脳の中の美術館
1 「現代人」の美術
2 美術と脳
3 ヒトの視知覚形式 {脳について/大脳の機能局在/視覚の脳内機構/ヒトの視知覚形式}
第2章 写真
1 「目の視覚」の写真 {クローズ アップ/厳格なピント/「瞬間」をとらえる/リアリズム/「目の視覚」写真の典型、この一枚}
2 「脳の視覚」の写真 {絵画主義的写真/コンストラクティッド・フォト/マン・レイのソラリゼーション/ホックニーのフォト・モンタージュ/藤原新也の写真にみる「あの世」/ウィリアム・ハーベイと血液循環の発見}
第3章 映画
1 「目の視覚」の映画 {リアリズム/モンタージュ/クローズ・アップ/他の「目の視覚」的要素}
2 「脳の視覚」の映画 {『旅芸人の記録』/『ノスタルジア』}
3 「脳の視覚」の映像 ―ビデオ・アートから現代美術まで {ズピッグ・リプチンスキーの『ステップス』/森村泰昌のハイパー活人画/『9つの顔』/電子的変身}
第4章 マンガ
1 「脳の視覚」
2 「目の視覚」 {テレビを壊す/『武器よさらば』の画像実験/「目の視覚」と「脳の視覚」/『AKIRA』の視覚/近未来都市の光景}
第5章 アニメーション
1 「脳の視覚」 ―ウォルト・ディズニー
2 「目の視覚」 ―手塚治虫のアニメ
第6章 絵画
1 「脳の視覚」 {エジプト絵画/中世の絵画/ルネサンス初期/セザンヌの絵画/名画とはどういうものか/ピカソ/デュシャン/クリスト/東洋の線画/光琳の絵画/ナム・ジュン・パイクの『テレビ山水画』/テレビモニターの光とチベット仏教の光}
2 「目の視覚」 ―写真以前の「写真」「現代人」の美術 {ローマ絵画/カラバッジョ/レンブラント/近代絵画と写真}
3 「網膜の視覚」 {「網膜の視覚」としてのモネの絵画/裸の目/そこに脳はない/網膜のスパーク}
4 「目の視覚」と「脳の視覚」の間に
文庫版あとがき
解説(中村桂子)