昭和50年　四六判　P491　函ヤケ大、シミ汚れ、角イタミ　本体小口少ヤケ

山陰の狐持、四国の犬神、飛騨の牛蒡種、信州の管狐、そのほか蛇、狸、土瓶など……、各地の憑きもの迷信に関する報告と研究論考を集成。

目次：
憑物概説（喜田貞吉）　附　阿波の広筋と狭筋

Ｉ
諸国憑物雑話（宮武省三氏の報告）
　｛茶園のこごしょう／生霊と死霊／風負うと狐の舌／魔性と難語／小豆島の蛇蠱／フィジー島の神オロシ／憐れな犬神憑／ついでに善光寺の開帳について／犬神と狐との話／狐／稲荷下ろしと狐狸／四国に狐の住まぬ理由｝
憑物雑話（井上頼数氏の報告）
　｛ダリ／池の魔／老人／一家を悩ます忠僕の狐憑／般若の息／蒲団と座頭｝
狐神及び狐憑実験談（谷津修生氏の報告）
　｛立石稲荷明神／狐憑と問答せし実験）
三河地方の管狐（加藤厳氏の報告）
狐と特殊民（加藤厳氏の報告）
遠州地方の狐憑（綾廻舎古錦氏の報告）
オサキがつくということ（中尾清太郎氏の報告）
狐ものがたり（長谷川凸津氏の報告）
　｛狐の復讐の話／女化稲荷の伝説／狐憑及び神憑／狐の崇り｝
天狗伝説（長谷川凸津氏の報告）
飛騨の牛蒡種と管狐
　｛飛騨の牛蒡種／狐使い／牛蒡種のこと｝
伯耆大山の狐神伝説（倉光四山氏の報告）
　｛下山神社縁由／神狐、祥を為す／神使白狐｝
山陰西部地方の狐持に関する報告
　｛出雲の恐るべき迷信／思いの外の悲惨／幼い心に映じた狐持の話／狐持に対する伝説／狐持の今昔／狐持と婚姻と詛い／狐持の婚姻が生んだ悲惨な話／狐持の迷信滅すべからず／遠からず一掃されん／「狐憑」の別称を「生霊の崇り」／狐憑の状態／狐憑の悲喜劇／狐持と言われ出した話／狐持と富豪／人狐持にあらざるは一種の誇り／今市附近の人狐／狐の捨て方の話、その他／婆狐の話／江津地方の狐憑の話／狐持だと言い出した人／狐持の話の回顧／トウビョウ狐の話／隠岐の狐持の話／残酷な狐退治｝
山陰西部地方の犬神に関する報告
　｛犬神持とそれに憑かれる人／次第に薄らぐ疎外思想／物持同志間の結婚／犬神持の特徴／神さんがいる家｝
山陰西部地方の外道に関する報告
　｛ゲド持の祭る神／犬神もゲドウも実は同じもの｝
山陰西部地方の憑物雑話（千代延春楊氏の報告）
　｛はしがき／とうびょう／狐蠱／憑狐伝説／犬神／結論｝
石見地方の憑物（下村光氏の報告）
西播の狐憑（高田十郎氏の報告）
美作地方の狐持と狐憑（高田十郎氏の報告）
　｛はしがき／狐持／狐使い　附むじな使い／狐憑かれ｝
備後地方のゲドウとトウビョウ（渡辺芳夢氏の報告）
備後三次地方の外道（後藤捷一氏の報告）
阿波における狸伝説―附「外道」について―（後藤捷一氏の報告）
　｛はしがき／狸合戦／芝右衛門狸／庚申新八／檳榔子狸／稲田の古狸／狸の婚礼／別枝の狸／槌の子狸／津司岳のお夏／大五郎狸／燧の佐古の長吉狸／松兵衛狸／狸使いの善吉／狸の護符／狸の神様／屋島の禿狸／一般の狸憑について／附　外道について｝
阿波の犬神放火裁判
讃岐の犬神（佐光白峯氏の報告）
伊予の赤シャグマ（松風村雨楼氏の報告）
伊予の蛇憑（横田伝松氏の報告）
伊予の猫憑（森本樵作氏の報告）
土佐の犬神筋（浜田重道氏の報告）
豊後の犬神騒ぎ―名誉棄損の告訴―
久留米地方の憑物と崇り（及川儀右衛門の報告）
　｛狐憑／蛇憑／亡霊の憑き崇り／蟇の憑き崇り／その他の憑き崇り｝
狐憑の一例話（梅田雀雄氏の報告）
種子島の犬神憑（田上丸弥氏の報告）
古琉球の憑物と巫祝（佐喜真興英氏の報告）
　｛イチジャマ／ユタ―琉球の巫覡｝
憑物談抄録
　｛狐憑の容態／憑狐の素性／バタバタ／狐の石擲ち／狐の義理／狐の火つけ／餓鬼憑／馬憑／外法の話／四国に狐の無き由来／備前トウビョウの昔話／犬神・狐役は蠱毒の類／人狐は小鼬／人狐の同類／狐憑は種々の病気／法者験者の奸計／晴祈祷／庸医の奸策／人狐の濫觴／狐持の類族／備後の外道とトウビョウ／タニという憑物／伯耆のそんつる／神戸の野施行／お三狐｝
憑物耳袋（倉光清六氏の報告）
　｛諸記／古代人と狐／狐の三種類／憑く狐の形態／野干と狐／トウメ（専）と狐1／稲荷の神と狐／トウメ（専）と狐2／稲荷と狐との関係の起源の考／トウビョウの話／外道及び犬神の話／人狐名称考／七十五匹の眷属／餓鬼憑の話／犬神という名／法華宗の行者と狐／ミサキとオサキ／オサキとクダ／小豆飯と晦日粥／外道という名／天狗の法／天狗の話／外法と髑髏の話／後仏／眼一つ足一つ／狐の石打ち／結論｝

ＩＩ
憑物系統に関する民族的研究―その一例として飛騨の牛蒡種―（喜田貞吉）
　｛序論／飛騨の牛蒡種に関する俗説／牛蒡種の名義／護法祈と護法実／護法と天狗／牛蒡種は護法胤／霊物を使役する憑物系統／結論｝
古代日本住民の恐魔思想に就いて（榊原政職氏の報告）
飯綱考―飯綱の法と管狐―（窪坂豊氏の報告）
憑物系統に対する社会の圧迫―その一例話として出雲の狐持に関する惨話―（喜田貞吉）
　｛巫祝に対する古代の刑罰／出雲の狐持に関する惨話／狐持迷信排除の努力｝

喜田貞吉小伝（山田野理夫）