1997年、98年　A５判　P525、501　各巻カバー少汚れ、背および端少ヤケ

【上巻】
“ベニート・ペレス・ガルドスは歴史小説『国史挿話』などで知られる十九世紀スペイン最大の小説家／劇作家である。
しかし、バルザック、ディケンズ、トルストイらと並び称されるリアリズム文学の大家でありながら、これまで本邦では紹介されることは少なかった。
『フォルトゥナータとハシンタ』は、そのガルドスの代表作にして最高傑作である。
……裕福な商人の家に育った放蕩息子フアニートは、下層階級の美しい娘フォルトゥナータを見初め恋に落ちるが、やがて彼女を捨てて、良家の貞淑な娘ハシンタと結婚する。
一方、傷心のフォルトゥナ-タに一目惚れした、風采の上がらない薬学生マクシは、周囲の反対を押し切って彼女と結婚する。しかし、〈人妻〉となったフォルトゥナ-タに、ふたたび興味を抱いたフアニートが近付いてくる……。”（帯文）

目次：
第一部
　第一章　ファニート・サンタ・クルース
　第二章　サンタ・クルース家とアルナーイス家　―マドリッドの商業界の歴史的概観
　第三章　エストゥピニャ
　第四章　御曹司の堕落と更生
　第五章 新婚旅行
　第六章　この著名な家族に関するいっそうの詳細
　第七章　聖処女にして孤児院創設者たるギリェルミーナ
　第八章　家庭生活の情景
　第九章　貧民街訪問
　第十章　続、家庭生活の情景
　第十一章　始まりとなった結末

第二部
　第一章　マクシミリアーノ・ルビーン
　第二章　救済者の刻苦と挫折
　第三章　七面鳥夫人ことドーニャ・ルーペ
　第四章　ルビーン家のニコラスとファン・パブロによる救済の新技法と新方式の提議
　第五章　外から見たミカエーラス修道尼院
　第六章　ミカエーラス修道尼院の内部
　第七章　結婚式と蜜月の日々

訳註
主な登場人物
十九世紀末頃のマドリッド街路図
ベニート・ペレス・ガルドスについて

【下巻】
十九世紀スペイン最大の文豪ガルドス。
本邦においては、僅かな翻訳以外にほとんど紹介されていなかった《幻の巨匠》の最高傑作たる本作は、世界各国で翻訳され、スペイン・リアリズム文学の頂点として高い評価を確立している。
……またもフアニートに裏切られ、路頭に迷うフォルトゥナータに、富裕な独身の老人ドン・エバリスト・フェイホオが手を差し伸べる。
やがてフェイホオの計らいにより、一度はマクシとよリを戻したフォルトゥナータだが、みたびファニートの誘惑に負けづいにはファニートの子を宿す。一方フォルトゥナータに裏切られ続けるマクシは、しだいに精神に異状をきたし始める……。”（帯文）

目次：
第三部
　第一章　コーヒー愛飲の風習
　第二章　輝かしき再生
　第三章　革命の敗北
　第四章　実用的哲学の課程
　第五章　再度の再生
　第六章　精神的自然主義
　第七章　思い込み　―危険な思い込み

第四部
　第一章　アベ・マリーア通りにて
　第二章　不眠症
　第三章　崩壊
　第四章　新しい生活
　第五章　不条理の条理
　第六章　結末

訳註
主な登場人物
十九世紀末頃のマドリッド街路図
フォルトゥナータとハシンタ紀行　―あとがきにかえて