2008年 文庫判 P256
“蛇と猪。なぜ山の神はふたつの異なる神格を持つのか? 日本古来の社の祭神の起源は、祖霊としての蛇神の起源は、祖霊としての蛇神であった。六〜七世紀、中国から将来された易・五行による新たな神々が、原始蛇信仰の神々と混淆し、山の神は複雑な相貌をもつようになる。神島の「ゲーターサイ」、熊野・八木山の「笑い祭り」、御田神社の「鳥喰神事」などの祭りや習俗を渉猟し、山の神にこめられた意味を読み解く。”(カバー裏紹介文)
目次:
はじめに
序章
一 倭建命伝承と日本古代信仰―祖霊の力と女の力
二 山の神の神格 {1 『日本書記』にみられる山の神/2 『古事記』にみられる山の神}
三 山の神の分類 {蛇と猪}
第一章 蛇と山の神
一 世界の原始蛇信仰
二 日本の原始蛇信仰
三 見立ての信仰 {1 山を蛇に見立てること/2 家屋を蛇に見立てること/3 樹木および草木を蛇に見立てること}
四 蛇の古名 {1 「ハハ」と「カカ」/2 「神《カミ》」の原意/3 祭具「カカソ」/4 穀物神「ウカ」}
五 日本創世神話と山の神 {蛇から誕生する山の神}
六 スサノヲ神話と山の神 ―足名椎・手名椎・櫛名田姫・八俣遠呂智の推理 {1 足名椎・手名椎の推理/2 櫛名田姫の推理/3 ヤマタノヲロチ/4 蛇に還元される山の神々/5 山の神の分霊化―祖霊と穀霊/6 古代日本人における想像力の柔軟性}
七 蛇を秘める細小の神々 {1 箸と櫛/2 ミノとカサ/3 カカシ/4 箒/5 荒神}
八 産の神としての山の神
第二章 亥(猪)と山の神
一 山の神の分類
二 易・五行における亥(猪)
三 正倉院御物石板彫刻の戌・亥(犬・猪)
四 陰陽五行思想の概要 {1 十干と十二支/2 五行配当表/3 一年の構造/4 「三合」の理/5 「支合」の理/6 「易」における一年の構造/7 中国古典における「亥」/8 中国古典にみられる亥月の意味}
五 「亥」の全体像とその分類表 ―各「亥」の再構成 {1 「亥」の全体像/2 「亥」の分類表}
六 山の神の本質(その一) {1 十二山の神/2 妻の異称「山の神」/3 オコゼと山の神/4 陽物と山の神/5 招福呪術と山の神/6 山の神の本質(其の一)についての考察}
七 山の神の本質(その二) {1 三合の法則によるその変容/2 支合の法則によるその変容/3 猪が犬にまさる理由}
第三章 山の神祭りとその周辺
一 カラス祭り {1 御田神社の烏喰神事/2 カラス祭り資料/3 各資料の要約と整理/4 「カラス祭り」劇}
二 陰陽五行と迎春呪術 {1 古代中国人の四季推移に対する意識/2 犬の磔}
三 神島のゲーターサイ」 {1 神島/2 ゲーターサイ/3 祭名の推理―迎太歳/4 金気の剋殺(その一)/5 金気の剋殺(その二)/6 ゲーターサイの原型/7 「ゲーターサイ」即「迎太歳」について}
おわりに
本書所収論考初出発表誌・書目一覧表