2005年6刷 文庫判 P392 カバー少折れ跡、袖および内側セロテープ跡 ページ数ヶ所に薄く鉛筆引き線消し跡
“日本民衆史の地下水脈をたどる
山の民・サンカはいかに生まれ、消えていったか”(帯文)
“一所不住、一畝不耕。山野河川で天幕暮し。竹細工や川魚漁を生業とし、’60年代に列島から姿を消した自由の民・サンカ。「定住・所有」の枠を軽々と超えた彼らは、原日本人の末裔なのか。中世から続く漂泊民なのか。従来の虚構を解体し、聖と賤、浄と穢から〈日本文化〉の基層を見据える沖浦民俗学の新たな成果。”(カバー裏紹介文)
目次:
序章 サンカとは何者だったのか
一 一九五〇年代にはその姿が消えた
二 サンカは回遊型の技能集団
三 遠い日のサンカ残像
四 明治初期からのサンカ論の系譜
第1章 近世末・明治初期のサンカ資料を探る
一 幕末期広島藩の「サンカ」
二 維新直後に出されたサンカ取締令
三 実在した明治八年の島根県邏卒文書
四 「山陽山陰の一大通患」 ―官側の報告書
第二章 柳田國男のサンカ民俗誌
一 柳田民俗学の出発点 ―「山人」と「特殊民」
二 先駆的な研究『「イタカ」及び「サンカ」』
三 実像を活写した民俗誌『ポンの行方』
四 サンカ=犯罪者集団説に柳田は賛成しなかった
五 すぐれたルポ・後藤與善『又鬼と山窩』
第三章 サンカの起源論をめぐって
一 被差別民に深い関心を寄せた六人の碩学
二 起原論についての三つの仮説
三 柳田國男の傀儡子源流説
四 喜田貞吉の『サンカ者名義考』
第四章 サンカの原義は「山家」だった
一 差別された少数派集団のネーミング
二 近世賤民の諸系列とサンカ
三 貧窟民は山に逃げた
四 山の漂泊民「山家」と海の漂泊民「家船」 ―なぜサンカは由緒書を作成しなかったのか
第五章 発生期は近世末の危機の時代か
一 近世後期の社会的危機と「無宿非人」の増大
二 幕藩体制下の賤民制度と「サンカト唱無宿非人」
三 天明〜天保期の大飢饉と農山村の荒廃
四 漂泊民となった人びと ―「帳外れとなり、出家・山伏・無宿となり」
第六章 三角寛『サンカ社会の研究』を読み解く
一 山窩小説の登場とその社会的影響
二 異能・三角寛の少年期と記者時代
三 虚実ないまぜの博士論文 ―サンカ民俗の信憑性
第七章 今日まで残ったサンカ民俗をたずねる
一 漂泊から定住へ
二 「あるおばあさんの半生」 ―半漂泊の暮らし
三 「サンカ」「サンカホイト」と呼ばれて
四 中国山地に伝わるサンカ民俗 ―川魚漁・スッポン捕り・竹細工・棕櫚箒つくり・遊芸
五 まとめ ―サンカ民俗の基本的類型
まとめ
解説(佐藤健二)