昭和53年10刷　B６判　P252　カバー少イタミ、少汚れ、内側時代シミ　本体表紙時代シミ多　小口およびページヤケ、時代シミ多

挿絵：岩井泰三

“みなさんは一寸法師というと、すぐに日本のむかし話を思い出すでしょう。おわんの舟に、はしのかい……あのかわいらしいこびとです。この物語にも一寸法師とよばれる怪人があらわれるのですが、いくらなんでも、そんなに小さくはありません。この怪人は、顔や手など上半身はおとなのくせに、ただせいの高さだけが子どものようにひくい、気のどくな男なのです。
この怪人が、ある大金持の家におこったふしぎな殺人事件にからんで、奇々怪々な行動をとるので、事件は深いなぞにつつまれてしまいます。おなじみの名探偵明智小五郎は、この解決にのり出し、するどい推理のさえを見せて、ついに複雑な事件の秘密をつきとめ、怪人一寸法師のおどろくべき正体をあきらかにします。
明智探偵のじっくりとした推理と、怪人一寸法師のふしぎな行動から、かもし出される異様なふんい気が、たがいにからみあって、この物語を発展させてゆくおもしろみを、よくあじわっていただきたいと思います。”（本書「はじめに」）

目次：
深夜の尾行／消えうせた怪人／貴婦人／名探偵登場／消えうせた令嬢／ピアノの中／意外な荷物／デパートの怪事件／人形の手／疑わしい人びと／ぶきみな小包／やみにうごめく男／怪人の正体／夢か、まことか？／証拠の品々／科学捜査／指紋の謎／悪魔のさけび／人形師の家／大捕物／怪物の正体／秘密の通路／意外な告白／いとこどうし／さいごの容疑者／殺されたのはだれか？／キューピー人形／怪物の最後