昭和53年 A5判 P606 元パラ破れ、汚れ 函背少汚れ、少イタミ 月報付
“国家権力の一翼を〈兵士〉として担わされることによって民衆は、はじめて異国を体験し、人を殺し、殺され、また生きて帰ってきた。苛酷な現実生活から切り離された兵営と戦場は彼らに非人間的な秩序の陰湿な痛苦を味わわせる一方、日常での身分・階級がいったんは解き放たれるという時間と空間を経験せしめた。大日本帝国の軍隊は民衆の鞭(ママ)と貧困を狡猾に利用したアジア侵略のための権力機構であった。本書は日清・日露からシベリア戦争に至る近代の皇軍兵士創出過程に綴られた兵士の記録をとおして民衆の戦争体験の種々相を語らせ、それによって天皇の軍隊の本質を追求する。”(帯文)
目次:
鉄の軛に囚われしもの―解説・兵士の世界―(大濱徹也)
【第一部】
遠征日記(片桐鯉之助)
日誌大略(佐川友吉)
軍隊日誌(熊沢宗一)
特務曹長日誌(稲垣光太郎)
負傷兵往復書簡(水村森蔵ほか)
陣中日記(塚本正一郎)
西伯利亜守備日誌(川北市郎)
【第二部】
徴兵遁法 {免役に属する戸主/免役に属する実養嗣子実養承祖の孫及相続人}
憲兵検閲報告
第九師団従軍僧見聞記(佐藤巌栄) {宗教上より見たる旅順の要塞戦/従軍余禄}
明治三十七年 下士兵卒家族救助願(東京府下谷区)
入営の準備(軍事普及会) {第一節 決定後の処身/第二節 送別会/第三節 入営準備/第四節 にゅえいの注意及景況/第五節 壮丁家庭の心得/第六節 父兄としての注意}
在郷軍人心得(第三師団司令部) {第一章/第二章 服従/第三章 服役ニ関スル部/第四章 諸招集に関スル部/第五章 戦時応召ノ為メ平素ヨリ心懸クヘキ/第六章 勤務演習ニ関スル部/第七章 服装/第八章 勲章ノ種類及佩用法/第九章 帯勲者身上移動ニ関スル心得/第十章 陸軍礼式ノ摘要/第十一章 賀表書式及捧呈ニ関スル部/第十二章 恩給及扶助料ニ係ル大要及之レニ関スル手続ノ概況/第十三章 勲章年金及恩給扶助料受領手続ノ大要/第十四章 陸軍刑法ノ大要}
海軍兵学校 生徒志願者心得
海軍経理学校 生徒志願者案内
【第三部】
明治二十七八年戦役に関スル 東京府兵事々務始末
陸軍戦病死者統計
兵士論考一 近代戦争指導の展開(雨宮昭一)
兵士論考二 虫の視点(高橋治)
兵士論考三 軍隊は官費の人生道場!?(大牟羅良)
解題(大濱徹也)