2012年初版 四六判 ソフトカバー P246 カバー少折れ跡
“「幽霊出現などの怪異現象を種や仕掛けによって人為的に作り出す娯楽」である妖怪手品。奇想天外さや手軽さで人々を喜ばせ、時代とともに大がかりな見世物になっていく江戸享保年間から明治までの過程を描き、同時代の中国やヨーロッパとの比較や、江戸川乱歩と妖怪手品の接点も紹介しながら、怪異を楽しむ日本人の感性に迫る。”(カバー紹介文)
目次:
はじめに
第1章 宴会でおばけを出します
1 不思議な「術」に呆然/2 伝授本の歴史/3 造語「妖怪手品」の意味/4 馬場信武から環中仙へ/5 妖しい光・火を操る手品/6 「神仙秘事睫」の演出/7 啓蒙精神と遊び『放下筌』/8 光学遊戯と妖怪手品/9 妖怪手品の再現/10 『盃席玉手妻』の怪奇味/11 伝授本の読者/12 幽霊蝋燭をめぐって
第2章 プロの技、アマチュアの芸
1 江戸時代以前の「妖怪手品のようなもの」/2 記録が少ない疑問時代/3 歌舞伎と手品/4 元禄時代の不思議なからくり/5 秘術の公開/6 種明かしをした人々/7 プロとアマチュアの違い/8 妖怪手品と見立て/9 仕掛けの工夫と種明かし/10 からくりと女子ども/11 次世代の妖怪手品
第3章 より刺激的に、より大衆的に
1 歌舞伎の怪談物/2 写し絵と化物咄、そして化物蝋燭/3 柳川一蝶斎の妖怪手品/4 竹沢藤次の妖怪手品/5 歌舞伎の怪談物の種明かし/6 第二期の伝授本/7 「秘事百撰」の世界/8 笑いの要素は健在なり/9 伝授屋という仕事/10 生活実用書に見られる妖怪手品/11 文学が読める人と手品
第4章 妖怪手品の同時代性
1 中国の妖怪手品/2 イギリス最古の手品本とシェイクスピアの時代/3 十九世紀ロンドンの妖怪手品/4 一方、フランスでは/5 アメリカ産心霊主義と手品/6 妖怪手品の同時代性と日本の特徴
第5章 手品師は西洋を目指す
1 芸能の輸出入/2 新時代的な題名と江戸時代的な内容/3 スフィンクスがやってくる?/4 ペッパーの幽霊もやってくる?/5 松旭斎天一の怪奇的な芸/6 五代目尾上菊五郎の妖怪手品/7 渋江保と妖怪手品/8 子どもの教育と妖怪手品/9 明治から大正、天一から天勝へ/10 人的妖怪手品から機械的妖怪手品へ
第6章 妖怪手品師・江戸川乱歩
1 少年時代の江戸川乱歩/2 手品と探偵小説/3 怪談と探偵小説の関係/4 『赤い部屋』と『緑衣の鬼』の場合/5 『魔術師』と『人間豹』の場合/6 怪人二十面相の登場/7 手品仲間の共同体/8 二十面相の変装/9 妖怪手品師・江戸川乱歩/10 妖怪手品、万歳
妖怪手品を探してみよう―あとがきに代えて