1990〜93年 A5判 月報揃 第5巻帯欠 各巻の状態は以下をご覧ください。
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【第1巻 パラオの社会と生活】
1990年初版 P338 帯破れ 函角僅スレ、僅汚れ
“太平洋民族学・不滅の遺産
ミクロネシア島民とともに15年―
同じ棲家に住み、同じ食べ物を食べ、同じ南の時の流れに身を委ね、絶大な信頼を承りながら、調査・研究された習俗、親族構造、禁忘、神話伝説などの民族学上の業績を集成。”(帯文)
“昭和四年三月、パラオに渡った土方久功は、七年間のサテワヌ島滞在を間にはさんで、六年の間、パラオ諸島に住することになる。東寺、日本政府の南洋庁のあったパラオには、軍人、軍属、役人など、多くの日本人が映ってきていたが、それらとは離れて、原住島民に身を寄せながら、民族誌を深めていく。パラオ人の起源と変遷を究明しようとした「伝説遺物より見たるパラオ人」。パラオ島民の基層社会を克明に調査した「パラオ島民の部落組織」「パラオ島民の結婚離婚」の民族誌の主要論考をはじめ貴重な報告を集成。”(帯裏紹介文)
目次:
伝説遺物より見たるパラオ人 {一 伝説口碑的分類/二 文化的分類/三 居住地帯的分類}
パラオ島民の部落組織 {パラオ島民の部落組織/〔附〕結婚/モゴル(Mongor)及びブロロブル(Brorobul)/伝承に就いて/親族縁族/部落実例}
パラオ島民の結婚・離婚
パラオ島民の遊戯
パラオの踊り
パラオ島民の暦 {ホゴス前半年/ゲバルヅ後半年}
パラオ島貨
パラオの重要断片的地方誌 {ペリリヨウ/ゲヤウル/ア・イライ/ンカイサル/ホレヨル口碑断片/ガラカベサンに関する口碑断片/ア・イミリーキ/ガツパン/ガルムルグイ/ガルヅマオ/ガラルヅ/ガルホロン/ンカヤンガル/ウギワル/三太夫/各地古名別名/禁忌断片―ムクルル/ハルデベヘル/ドロゴッヅ(モロゴッヅ)―黥/雲占、其他/タガデッキ占Tangadik(かわせみ)/初度月経/変りゆく一面―土地/コムルディール(葬儀)断片/ア・イベヅールの葬儀}
解説 パラオの社会と生活について(青柳まちこ)
地図/地名対照表/編集付記
月報:土方久功の足跡1(土方敬子)
【第2巻 パラオの神と信仰】
1991年初版 P349 帯背下端少破れ 函角少破れ 本体元パラ端僅イタミ
“太平洋考古学の成果
ミクロネシア島民とともに15年― 〈略〉 信仰形態、石神石像・土器文様採集報告などの考古学・民族学上の業績を集成。”(帯文)
“本巻では、ドイツ・日本の統治によって失われつつあったパラオの古い信仰・神観念を、古老をはじめ多くの島民の記憶の中からたんねんに掘り起こした膨大な採集記録を収録した。また「パラオにおける信仰的新結社に就いて」では、ドイツ領事時代からはじまった新興宗教運動を通じて、パラオの信仰世界がいかなる変質を遂げたかが論述されている。さらに、当時パラオに豊富に残っていた石神および石製遺物を忠実な模写を添えて収集した太平洋考古学上の成果を収録した。”(帯裏紹介文)
目次:
パラオ石神並に石製遺物報告 {一 ゴレヨル/二 ア・イミリーキ/三 ガツパン/四 ガルムルグイ(ガルムヌグイ)/五 ガルヅマオ/六 ガラルヅ/七 ガルゴロン/八 ウギワル/九 メレケヨク/十 ンカイサル/十一 ア・イライ/十二 ベリリヨウ/十三 ゲヤウル/後記/パラオ本島コンレイの石棺に就いて/土方氏の「パラオ発掘石棺の報告」に追加す(清野謙次)}
過去に於けるパラオ人の宗教と信仰 {序/一 信仰の基礎としての霊魂観念/二 パラオの神々/三 宮祠及び祭事、行事/〔附〕パラオに於ける信仰的新結社に就いて}
パラオの歌謡
パラオ島民の自然観
パラオ文様土器片採集記
〔解説〕パラオの神と信仰について(青柳まちこ)
地図/地名対照表/初出一覧
月報:土方久功の足跡2(土方敬子)
【第3巻 南の島の神話】
1993年初版 P285 本体元パラ袖少折れ跡
“南の島の神話
ミクロネシア島民とともに15年― 〈略〉 太平洋神話学史上の代表的な傑作”(帯文)
“「私はヤップの歌謡伝説に関するミュルレルの著述と共に我が南洋群島民伝説集の双璧たる不滅の業績として推奨するものである」(長谷部言人)とされる代表作の一つ「パラオの神話伝説」を収録。ここでは話者の個性を失うことなく忠実に写音、採録し、多くの異伝を併録して、南洋神話伝説の素朴にして力強い世界を詳細に再現している。その後の急激な変化によって既に失われてしまった貴重な遺産の集積である。”(帯裏紹介文)
目次:
序(長谷部言人)
凡例
第一部 {創成神話/ムデヒー・ベラウ/ティプティプフミーユフ/ミラヅ神話/オラカル神話/ア・ウヘル・スンの伝説/ホダル・メレクの石/ア・ウヘル・ンケクラオの渡来/オルワンガルの沈没/メレケョクのサハルリヨンの伝説
第二部 {パラオの勇者/ウギワルの勇者/太陽探し/ンヘヤンガルの悪神退治/ガラヅマオの悪神退治/ガシヤスの悪神退治/ハネクイの蛇退治/ダガシッキの一族/女竹(リルヅ)の子/天の土産/ガラガサンの大墓/ガルスールの女酋長/ゲミングルの最後/鬼婆の島/間抜けの悪神/テーデーブヌグツ/悪神(メレッキ)像の由来/カブイ(きんま)のはじめ/猫のはじめ/山彦魚/家神と村神の戦い/海蛇の父/凧乗り/親不孝のテバイ/ア・イガスの二人娘/或る兄弟の話/精霊(デレブ)の贈物/天の大綱/石母子/ペリリョウの五人勇者/成金物語/鳥の組合/グルムハイスの鼠/オボハヅ女神とテリーヅ鳥/敵を走らせた子供達の話/蝿になった弟の話/孝行になった男の話/養老の水/蟹と鼠/大蛇退治/人魚の話/やどかりの歌/天の村の出来事/親鼠と仔鼠/釣奇談/エイとシャコ貝の喧嘩/月に行った夫婦の話/バラバルとリミップ
〔附録〕ア・バイ/ア・バイの絵/パラオ語の発音と写音に就いて/対訳・ディラ・ヘマルタルル/同・善心と悪心
〔解説〕パラオの神話伝説について(大林太良)
編集付記
月報:パラオの立石柱を考える(八幡一郎)/土方久功の彫刻(矢内原伊作)
【第4巻 サテワヌの神と社会】
1992年初版 P300
“南の島の神と人間
ミクロネシア島民とともに15年― 〈略〉 太平洋民族学史上の草分け的な業績”(帯文)
“サテワヌ島における七年間は、日本人の一人もいない全くの孤絶した世界だった。三百人に満たない島民の中、ヤシの葉をふいた家の下で裸の生活を続けながら、未だ文明の洗礼を受けないサテワヌの生活と文化を克明に誌し続けた。母系氏族制の社会組織が生みだす固有の原理と特異な習俗。島民の生活を律するさまざまの神がみ。日本の太平洋民族学史上草分け的な業績を集成する。”(帯裏紹介文)
目次:
サトワル島々民の慣習
サテワヌ島の神と神事
序/〔総説〕ヤップ離島サテワヌ島の神「ヤニュー」/〔各説〕{一 神/二 天国/三 悪神と病/四 狂気神/五 悪神/六 サウサウ/七 呪儀、呪式/八 からくりのヤニュー/九 ヤニューの失敗/十 予言/十一 サフェインとロン}
サトワヌ島の神憑り
ヤップ及びパラオの離島に於ける財産並びに職権の相続に就て
サテワヌ島における結婚・離婚・姦通
女系社会に於ける「父」
サテワヌ島に於ける子の養育と性的秩序―パラオと比較しつつ {序/妊娠、出産/離乳/生活への初歩/思春期}
サタワル島に於ける「穢れ屋」に就いて
サタワル島に於ける葬儀―並に死及び葬儀に関連する呪儀禁忌等
サテワヌ島民の自然観
サタワル島に於ける漁法―並に漁魚乃至魚に関する呪儀・禁忌其他
サテワヌ島における航海術伝授
ミクロネシア人の食物慣習 {一 主食物/二 副食物/三 菓子(クリヨウ)}
〔解説〕土方久功とサタワヌ島(牛島巌)
編集付記
月報:土方久功の足跡6(土方敬子)
【第5巻 サテワヌの民話】
1991年初版 P549 帯欠 函少汚れ、端少剥がれ、函口少凹み
目次:
サテワヌ島民話 {序(金田一京助)/まえがき/覆刻の序/邦語の部/サテワヌ語の発音と写音/あとがき/対訳の部}
〔解説〕サテワヌの民話について(鳥羽修郎)
地図
編集付記
月報:土方久功の足跡3(土方敬子)
【第6巻 青蜥蜴の夢・文化の果にて】
1991年初版 P467
“南海の孤島に生きる
ミクロネシア島民とともに15年― 〈略〉 日本人として稀有な体験をつづけた芸術家であり詩人である自由人の全貌。”(帯文)
“土方久功はまた詩人でもあった。純粋な精神と魂に反響した南海の世界を、平易な語り口で素直に表現して特異な作品を多く遺した。「鵯と共に」などの詩集、紀行・散文集「青蜥蜴の夢」「文化の果にて」、パラオ、サテワヌをめぐるさまざまの随想、そして、パラオの地で出会った作家・中島敦との交友記など、終世かわらぬ浪漫者であった一面を浮彫りにする。”(帯裏紹介文)
目次:
青蜥蜴の夢―お砂糖のように甘い南島の…… {青蜥蜴の夢/ガルミヅ行/月夜/ブキタン/カヤンガル島のゆうべ/そのなんでもない……/サカビヅ/黄色い月/ガルドック湖/ポナペ/ヤルート/アギーガン島/サイパンにて/オルメレル・ア・ウルル(うつぼかづら)/マンゴー/鶏/断片/孤島/黒い海}
文化の果にて {序(高村光太郎)/森/六つの彫像/工人サマクによする/島/霧/丘/月}
南洋の詩 {眠れぬ夜/夜道/無題/あの頃は/今思えば}
わが青春のとき
僕のミクロネシア
サテワヌ島雑記―信仰と踊りの珊瑚礁島
南方離島記
ロタ日記
トンちゃんとの旅 {敦ちゃん/「トン」/パラオでのトンと私/トンちゃんとの旅}
南洋随想 {南方土民彫刻に生き抜く/パラオ島の彫り絵/チチリカ/南島の鳥景色/鳥取り/南洋の花/南の島で悪口が踊る/南洋のトイレ/エラツタカオの猫/「浜に題す」/南洋島民の裸体周辺/加工された人間の顔/原始芸術のみなもと/パラオ島民の伝説口碑と「教え」}
〔解説〕全人としての土方久功(谷川健一)
編集付記
月報:土方久功の足跡4(土方敬子)
【第7巻 流木―孤島に生きて】
1992年初版 P404
“絶海の孤島の記録
ミクロネシア島民とともに15年― 〈略〉 サテワヌ(サトワヌ)島民の生活を克明に記録した不滅の遺産”(帯文)
“土方久功は、東京美術学校在学中より死の直前まで日記を綴ることを止めなかった。「流木1」は、昭和六年九月、パラオをあとにしてサテワヌ島に向かって出帆するところから翌年十月のまでのサテワヌ滞在日記として、昭和十八年に刊行された(のち復刊)。「流木2」は、刊行に向けて清書された昭和七年十月から翌年七月までの原稿である。島民の日常生活を詳細に再現した記述は、民族学的にも貴重なものとして高く評価されている。”(帯裏紹介文)
目次:
はしがき
流木1 {サテワヌ島へ/黄永三の変死/島の禁食・禁区/雨止め呪祷/風邪呪祓/パニバヌ人形/踊りじまい/手紙/近親禁言/大漁踊り/初潮/玉の緒/水葬/悪神の「やらい」/入船/嵐/子供の遊び/鰹/「ポ」=航海術秘儀/無人島プケノ/暦/「バーイ」=踊りと歌詞/ロン呪文/制裁/近親呼称ならびに禁事/自己制裁/財産/女系氏族/活躍する巫/活躍する悪神/拾遺}
流木2 {椰子の儀式・毛の民俗/分配・供出/島語の発音(一)/島語の発音(二)/宇宙/自殺/氏族の系譜・父系関係/交易/アヌーの儀式/森/時の流れ}
〔解説〕民族誌家土方久功と『流木』(須藤健一)
編集付記
月報:土方久功の足跡5(土方敬子)
【第8巻 サテワヌ島日記/ノート】
1993年初版 P448 帯および函少汚れ 月報少破れ
“「流木1」「流木2」のあとにつづくサテワヌ島での日記、および世界の学界からも貴重視されているサテワヌ島民の克明な戸籍ノート。蒐集品、年譜、著作一覧を収録。太平洋民族誌の豊饒なる記録全八巻完結”(帯裏紹介文)
目次:
サテワヌ島日記 {昭和八年八月―昭和九年十一月/昭和九年十一月―昭和十一年二月/昭和十一年三月―昭和十三年三月/昭和十三年四月―昭和十三年十二月}
サトワル戸籍簿
土方久功蒐集品
土方久功年譜/著作一覧
〔解説〕土方久功の彫刻(宇佐美英治)
編集付記
月報:パラオの土方先生(丸木俊)/俳優座の浮彫(千田是也)/南海の孤島への情熱(羽根田弥太)/南洋の歌(安川加壽子)/異色作家 土方久功(中村傳三郎)/高村光太郎先生との因縁(村田勝四郎)