昭和15年初版　四六判　P363　全体に経年によるヤケ、シミ　表紙背および端イタミ　ページ上端濡れ跡　目次ページ少汚れ

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医師であり、風俗猟奇への関心も高い著者が、医学・病・身体風俗にまつわる逸話や奇談を紹介するほか、本邦の妖異譚などについて考察した文章も収める。

目次：
猫化の話　｛狐妖狸怪／猫の妖獣視せらるゝ理由／怪話の製造／猫化の種々相／附記｝
我国に於ける霊魂恐怖と幽霊　｛霊魂恐怖と怨念／遊魂と生霊／死霊と幽霊／幽霊の芸術化｝
鬼筋　｛鬼の子孫と称する特殊部落民／鬼の本来の意義／我が国に於ける鬼／支那及び印度思想の影響／異種族の子孫｝
髪切りの話　｛戴髷漢／髪切りに関する迷信と錯誤／実例／結末｝
耶蘇復活説の起源　｛「ヒステリー」性婦人の幻覚｝
王子の狐火
印度行者入定の奇蹟　｛入定と其現象／聖者ハリダースの入定｝
聖者の空中飛揚／蟇仙人の話／人面瘡と人面犬／楊貴妃の血汗／十四世紀に於ける「ペスト」流行に対する迷信
文化民族に於ける人肉食　｛人肉の味／人肉嗜好に因る人肉食／飢餓に因る人肉食／治療的迷信に因る人肉食／変態性欲に因る人肉食｝
舎利の正体／疫神送り／密書／女嫌ひ
死と安死　｛死に対する恐怖／死の恐怖は祖先動物よりの遺伝に非ず／死は果して苦痛か／死に於ける苦痛の有無／安死術／不治の重症病人に対する無益無意義の医療｝
文士芥川龍之介の死
知死期　｛古文献に見ゆる知死期／夢による知死期／近代に於ける実例｝
死刑囚人の死に対する態度／天候感覚／女の二布と赤の蹴出し／臓器に関する薬効的迷信と犯罪／赤児の香気／女性ホルモンと関西婦人の立小便／江戸と放尿／江戸時代の歯磨き／豊臣秀吉の英雄らしくもない最期／徳川家光は躁鬱病者か／蓄財利殖家としての名医土生玄碩／唐人お吉／邪教の教主に成り下った秀才の医学博士／ルイ第十四世の多病
去勢雑話　｛宮刑と宦官／去勢と原始基督教／去勢者の性欲／去勢者の精神状態｝
切羅の刑
文身　｛江戸時代以前の文身／江戸時代に於ける最初の文身／文身の発達／文身技術の精巧となった時代／彫り物師／江戸末期の文身｝
異嗜（いか物喰ひ）／笑ひ薬／　よい／＼病
昔の女形俳優　｛一　変態人としての女形／二　女形の始まり／三　女形の開祖／四　寛文頃の女形／五　元禄頃の女形／六　女形と男色／七　色子上りの女形／八　女形の生活／九　女形の立役への進出／十　異端の女形｝
突発脱疽で手足を失った澤村田之助の話／女性的男子（アンドロギニー　Androgyrie）の話／支那の男色
江戸時代に於ける自体毀傷及び自殺としての心中　｛心中の意義／自体毀傷／指切と入墨との由来／自体毀損より情死へ／情死／情死の方法｝
蕃山礼讃／家柄と血統／テレゴニーの話／悪魔除けの護呪としての腹帯
切腹　｛一　切腹の起源／二　形式的になった切腹／三　有名無実の切腹｝
寺院に於ける酒の醸造／田沼主殿頭意次と薮医者／我国に於ける最初の検黴／安産神／売笑婦の妊娠

【附録　江戸時代の邪宗門】
諸言
第一篇　吉利支丹　｛一　天主教と侵略主義／二　宣教師は侵略主義実行の手先／三　豊臣秀吉の天主教禁止／四　天主教の復活公認／五　天主教厳禁の理由／六　幕府顛覆金鉱占有の陰謀に関する史説／七　耶蘇教に対する邪教観の変更｝
第二篇　不受不施派及三烏派　｛一　不受不施派と受不施派／二　不受不施派の分裂／三　不受不施派及悲田派の禁止／四　三烏派｝
第三篇　隠念仏　｛一　隠念仏の全貌／二　隠念仏は一念義の亜流／三　隠念仏の秘行｝