1996年 四六判 P268 カバー少シミ汚れ、上端僅イタミ 天少時代シミ ページ僅凹み
魔女の信仰を汎世界的な太母神信仰と関連づけ、ヨーロッパの伝説はもとより、日本の山姥伝承、インドのカーリー女神、アステカ、エジプトの神話、吸血鬼、ヴァギナ・デンタータ(歯のある膣)の伝承、その他さまざまな例を引いて、「カニバリズム」とそれに近しい信仰・儀礼について考察する。
目次:
I 魔女はなぜ人を喰うか
{人肉はうまいか/佐川一政と宮崎勤の人喰い/人身御供としての人喰い/タヒチ・アステカ・日本の人喰い儀礼/「神を喰う」ということ/人を喰う「野蛮」と聖餐という「文化」/「子供を喰う」といわれた聖餐/魔女はなぜ子供を喰うか}
II 魔女と吸血鬼
{「吸血鬼ドラキュラ」について/吸血鬼・食人鬼としての魔女《ストリゴイ》/吸血・食人のカーリー女神/吸血伝承と血と女性/血をなぜ吸血鬼は求めるか/死と再生のための血の儀礼/ルーマニアの吸血鬼伝承とアイルランド/吸血鬼としての日本の山姥・鬼女}
III 魔女と人を喰う山姥・鬼女
{魔女と山姥の共通性/鬼子母神の食人と産育/子供を「喰う」と「生む」が一体の山姥伝承/なぜ嬰児を喰い胎児を薬として用いるか/「喰う」は生かすために殺すこと/山姥の二面性・両義性と魔女/箒の二面性・両義性と魔女/箒と産婆と魔女/山の女としての魔女と人喰い}
IV 魔女と「歯のある膣《ヴァギナ・デンタータ》
{下の口としての陰唇/「歯のある膣」の伝承/箱舟漂着譚と死と再生/ギリシア神話の箱舟漂着譚と「歯のある膣」/人を喰い自らも喰われるディオニューソス/「歯のある膣」をもつマイナデス/「歯のある膣」をもつマイナデス・魔女と性交/乱交と食人と「歯のある膣」/女人国の歯のある膣」をもつ女と魔女}
V 喰う女と喰われる男
{牡山羊にまたがる魔女/牡山羊=男根を喰う女たち/「直立する者《オルトス》」としてのディオニューソス/魔女の性交体位の女上位/能動的な力を与える太母/太母に捧げられる切られた男根/パレドロス、カームテフとしての男根/飛翔力の根源としての太母の「カー」/女上位と魔女と「太母の祭祀」/男根を求める山の神・山姥/両性具有の太母像と魔女/男根=生首と「男を喰う」こと/断首と性交とカニバリズム/喰う女と喰われる男}
あとがき
引用図版・写真出典一覧