1981年初版 四六判 P327 カバーヤケ大、汚れ、上端イタミ 小口ヤケ 遊び紙上角少剥がし跡
“ラフカディオ・ハーン、小泉八雲の著作には、懐しい明治の姿が、くっきりと描かれている。明治23年に日本へ渡ってきたハーンは、日本の民間伝承、歌謡などに強く魅かれ、それを美しい文章で作品化していった。これほどまでに日本がハーンをとらえたのは、何故か―多くの資料を渉猟し、ハーンの隠された内的動機に迫る論考。”(宣伝文)
目次:
第一章 小泉八雲の心の眼
ニューオーリーンズの朝/松江の朝/家庭のない人、ある人/「ヘルンさん言葉」/小泉八雲の家庭生活/ハーンとロティ/お地蔵様の微笑/恩に感ずる心/イヴトーの寄宿学校/君子の「無言の愛」/「コノ魚泣ク」
第二章 子供を捨てた父―ハーンの民話と漱石の『夢十夜』―
二人の英文学教授/出雲の民話/『夢十夜』の第三夜/共通性と異質性/親の因果が子に報ゆ/子供を捨てたラフカディオの父/子供を捨てた金之助の父/あとがき
第三章 泉の乙女―ハーンの再話文学の秘密―
帰って来た宣教師/ポリネシアの神話/『異文学異聞』/民俗の伝承から文学の短篇へ/約束を守った女/夏の日の夢/ハーン文学論講義/神話に感じる心
第四章 稲むらの火
日本国民の文化遺産/稲むら火/ジャーナリズムへの関心/詩と真実/広村堤防/恩に感ずる心/激越なる感動
第五章 一異端児の霊の世界―来日以前と以後のハーン―
ミシシッピー河の昼/ミシシッピー河の夜/波止場の牧歌/異人種に共感する心/God, Ghost そしてghost/のっぺらぼう/自己の内なる恐怖/語り手と聞き手の主観/雪女/俗信への興味/最後のヴードゥー教徒/蟹売りの言葉/護国の霊/万物流転/『停車場にて』/詩と真実/父と子の関係/境界を越えること
第六章 草ひばりの歌―ハーンにおける民俗学と文学―
日本行の計画書/民俗学と文学の間/ひどい宿、幸ふかい宿/民俗採訪の旅/旧世代を尊ぶ気持/人柱の噂/人形の墓/達磨の眼、ハーンの眼/チェンバレン、柳田、ハーン/暗々裡の感化/一身二生/草ひばり
あとがき