昭和47年　Ｂ５判　P169　ビニールカバーイタミ、下角一部欠損　地シミ汚れ　ページ端濡れ跡　付録「男女性学雑誌」付

大正11年（1922）に出版されたものを復刻。巻末に解説「反骨と猥褻の人」および年譜。付録に大正七年発行の『男女性学雑誌』第一号の覆刻版。

国内外、古い伝説から近代のものまで、司法に依らない私人または共同体内での制裁、刑罰の例を集める。

目次：
諸言

総説
　私刑の定義
　私刑の起源
　私刑の利害
　私刑の称呼
　私刑の類別

刑例

刑名
　生命刑　｛我日本は言語上の私刑国｝
　身体刑
　自由刑
　労役刑
　追放刑
　財産刑
　恥辱刑
　貶黜刑
　叱責刑　｛当道の刑名｝

天皇御謀反

罪科
　窃盗強盗　｛木曽川の底に沈む／赤木綿青木綿等の頭巾／畠瓜盗人／筍盗人／苛重の打首／藁人形責と足跡に釘／竹槍にて藁人形を刺す／鎌又は籠を没収／柿を盗みし下女／稲穂手向の塚／目隠しをして生理／猫を盗みし者／額へ一文字の入墨／鶏を盗みし者／我田引水の農民／書籍雑誌カッパラヒ／雲南の小盗人／波斯の奇刑状／台湾人の蛮習制裁／物質的の贖罪法／焼火箸と賍物背負｝
　過誤失策　｛火を失せし者／御朱印焼失罪／千両役者のシクジリ／樹上より落ちし小供｝
奸淫情事　｛裸体にて豆を拾はす／腰巻の上より笞つ／羅切と陰門抉去／七両二分の罰金／諸国遍歴の妻敵撃／拘束して川流し／鼻を切るか弁償金か／贖罪に豕二三頭／鼻そぎと髪剃り／眼球を抉り去る／野蛮国人の奸通処罰法／他人の妻に触るゝ罪／共有物と成る駈落女／儀式化の鍋かむり祭／強制的の羽黒染／同族の相婚を禁ず／嫉妬的の婿いぢめ／娘は村中の慰み物／鵜坂神社の尻打祭／穢多と淫交せし者／後妻打／親の許さぬイタヅラ娘／土中に埋めて嘲弄す／男色を挑まるゝ防禦／妾たる遊女の全身墨塗り／秘密教育を偸見する者／私生児の両親／謹慎中に妊娠せし子｝
　間諜密告　｛福島事件の密約書／面皮を剥て便所に捨つ／犬と見て糞を食はす／社会党員中のスパイ／総会の報告書を売りし女／朝鮮結盗の秘密結社｝
　殺人暴行　｛柳倉の名称由来／軽重の殴打創傷／太鼓を負はせて引廻し｝
　誹謗罵詈　｛仏制の苛法／多屋坊の三條目／悪口侮辱の狂言小唄／頬を打ち胸を突く／耳を抓り引く｝
　圧迫虐政　｛年中行事の千葉笑／足利尊氏等の木像梟首／伊藤博文の銅像／殺されし代官の亡霊／極端の人口制限法／村長高慢の演劇／頌徳碑を破毀す／籠に入れて水に投ず｝
　破産不償　｛傘を禁じ羽織を禁ず／人中にて三つ殴る／抑留と絶食｝
　違例反則　｛旅行年限の違反者／無挨拶にて通行／碁将棋の盤／縄張りを犯せし者／漁業中の女と僧侶／金を寄附せざる吝嗇者／他村の男と無断結婚／無尽講の遅参者／鬚髯に手を触るゝ者／白丁独占の事業｝
　諸事雑件　｛桜花梅花の制札／高野山蛇柳の伝説／鷹殺しの童を牛ざき／初鮭密売／博徒のニセ賽行使／放蕩堕落の息子／骨牌賭博のインチキ／処女誘拐の悪漢／親の私刑的育児法／殺生禁断の川に網を入る／獄中の病死、実は毒殺／新平民の唾液／官権濫用の呵責暴行／原勝負の敗者／罰金五厘か白砂一荷／祖先の墓あばき／自殺者の死体／背に毒薬の瓶／ナマケ巡査尻を打たる／有形無形の私刑随筆／台湾蛮族の制裁法／リンチ国としての亜米利加｝

別境
　遊郭　｛おとしといふ制裁／殴打絶食水責等／逃げ損じの釣るし責／桶伏と云ふ拘禁の牢／浮気客に加ふる懲罰／行燈部屋入りの果／附馬マキの罪／私通の里払い／吉原芸妓の売淫罰｝
　牢獄　｛大便をたべさす／密告者及び附人といへる偽囚／衣類を剥ぎ取る／板にて打ち柱に縛す／憎まれ者は殺さる／京都牢内の奇刑｝
　学校　｛延暦寺学寮の禁制式／読経せざる画童／熊本藩時習館の制裁／安井息軒の三計塾学規／米沢藩興譲館の罰則／明治維新前後の寺子屋／寄宿舎のランプ掃除／第一高等学校の罪刑例／琉球八重山島の会所／退校処分は最大私刑／独逸大学の学生監禁室／英国イートン大学の尻打台／新入生に葬式のマネ｝
　軍隊　｛昔の陣中制札／安心ならざる戦場生活／現行陸海軍私刑法　（・罪と認めらるゝ行為　・刑として行はるゝ手段　・其刑の執行一例　・外国の陸海軍隊の私刑　・（附）歯を破りて舌を断つ）｝


余録
　苛歛誅求の酷吏　｛箕巻にして熱湯を注ぐ／水牢に入れ木馬に乗す／松木大明神様／高野山上の石子詰／妻子を人質とす／私税徴収のマルクリーム｝
　此世の活地獄　｛監獄部屋｝
　私刑執行者公罰例

結論

反骨と猥褻の人（青地晨）
年譜（宮西豊也）