2005年初版 P241 小口からページ端にかけて僅ヤケ
“幽霊は、ほんとうに出るものだろうか―私たちは理屈では否定しながら、わりきれぬ実感を持つ。霊魂信仰からいかさま心霊術まで、豊富な実例をもとに「怪談」の謎に迫る。近代社会の片隅に息づく妖怪、幽霊……名著『日本怪談集』の著者による、他に類のない「怪談学」の必読書、堂々復刊!”(カバー袖紹介文)
目次:
I 幽霊・妖怪の登場
I-1 怪談はなぜもてはやされるか {夏の夜の寵児/四つの特性/その栄枯盛衰}
I-2 怪談の主人公たち {幽霊/妖怪変化/憑きもの}
I-3 幽霊・妖怪出現の背景 {雑音にひしめく都会/ランプにかすむ田舎/カワタレ時・逢魔が時-ネオンに挑む幽霊}
II 幽霊の歴史性
II-1 夏芝居・盆興行と幽霊 {盛況の幽霊ばなし/お盆と幽霊の因縁/ある学者の意見}
II-2 幽霊あ・ら・か・る・と {足のある幽霊・ない幽霊/新旧文化の併存/都会の幽霊(1)/都会の幽霊(2)/田舎の幽霊(1)/田舎の幽霊(2)}
II-3 幽霊の実態 {火の玉と魂のぬけた人間/人魂の色・形・種類/幽霊の現われかた}
II-4 二〇世紀の謎―心霊現象 {心霊術の実験/現代の幽霊現象/近代科学との対決}
III 妖怪変化百態
III-1 「モウ」と出る妖怪変化
III-2 山中に住む妖怪 {生きている仙人/「やまびと」/鬼と天狗}
III-3 家や路傍の妖怪 {路上の怪/すさまじき雪女郎/狐と狸の腕自慢}
III-4 遊泳自在の妖怪 {水神変じて河童/河中の怪物/海の妖怪/濡れ女・磯姫・共潜き/竜宮と人魚}
IV 神がみの零落と霊魂信仰
IV-1 あの世とこの世と {日本人の天国/天国はいずこ/天国への階段}
IV-2 生霊と精霊 {生きている魂/死後の魂と盆行事/成仏しきれぬ魂}
IV-3 祖霊と八百万の神がみ {八百万の正体/すべては守神へ/強い信仰意識}
IV-4 信仰の衰退と芸術の発生 {ご神体の具像化/なぜ偶像化する?芸術の発生/信仰の衰退と怪談}
V 怪談は生きている
V-1 現代人と怪談 {死んでも魂はあると思うか/バケモノ・幽霊は今でもいると思うか/虫のしらせということがあるか/タタリというものがあると思うか/犬神・狐などが人に憑くと思うか}
V-2 現代文明と会談のゆくえ {信仰の娯楽化・慣習化/近代生活の不安/怪談流行の新しい素地}
V-3 エピローグ {幼な子の疑問/常識のエア・ポケット/われわれの立場}
付録 霊魂現象の調査手帖―人生観・思想史を学ぶ人びとのために
付-1 霊魂現象調査の手引
付-2 調査項目
あとがき
解説(小池壮彦)
索引