2004年7刷 四六判 P363
“日本の神話はどのように成立したか。それは世界各地の神話とどのように比較されるのか。日本神話の主要な筋道をたどり、登場する神々や物語りの意味を明快に解き明かして、神話のヴァリアントともいうべき昔話や伝説にも目を配った、現在望み得る最良の日本神話ガイド。”(宣伝文)
目次:
はじめに(吉田敦彦)
【第一部 日本の神話伝説の意味を考える(古川のり子)】
I 世界と神々の誕生
1 はじめのとき {アメノミナカヌシ、生成力、泥中の葦、トヨクモノ、ウヒジニ・スヒジニ、ツノクヒ・イククヒ、オホトノヂ・オホトノベ、オモダル・アヤカシコネ、イザナキ・イザナミ、国土、海山川草木、火の神、文化の神}
2 生者の国と死者の国―人間の誕生 {死の女神イザナミ、ツキタツフナト、トキハカシ、オキザカル・ヘザカル、ワズラヒノウシ・アキグヒノウシ、アマテラス、ツクヨミ、スサノヲ、ウケモチ、オホゲツヒメ}
II 天上世界の確立―神々の女王アマテラス
{泣きわめくスサノヲ、ホムツワケ、天つ神・国つ神、ワカヒルメ、オモヒカネ、イシコリドメ、タマノオヤ、フトダマ、タヂカラヲ、アメノウズメ}
III 地上世界の秩序化
1 地上への一歩―スサノヲのヲロチ退治 {アシナヅチ・テナヅチ、クシナダヒメ、ヤマタノヲロチ、スサノヲとタケミカヅチ}
2 中つ国の主へ―オホクニヌシの成長 {オホナムチ、兄弟八十神、因幡の白兎、サシクニワカヒメ、カムムスヒ、キサカヒヒメ・ウムカヒヒメ、オホヤビコ、根の国のスサノヲ、スセリビメ}
3 中つ国の完成―国作り {ヤチホコの神、ヌナカハヒメ、スクナヒコナ、ヒキガエルとクエビコ、オホモノヌシ、ヤマトトトビモモソヒメ、オホトシの神}
IV 地上の王権をめぐる争い
1 天つ神の裏切り {オシホミミ、タカミムスヒとカムムスヒ、アメノホヒ、アメワカヒコ、アメノサグメ、アマンジャク、葬儀を営む鳥たち、オホサザキ=仁徳、アジシキタカヒコネ、島コーダ国コーダ}
2 天つ神と国つ神の和解―国譲り {イツノヲハバリ、タケミカヅチ、コトシロヌシ、タケミナカタ、星の神カガセヲ、倭文神タケハツチ、緒方三郎、イクタマヨリビメ、クシヤタマ}
V 王家の誕生
1 地上の王家の到来 {ホノニニギ、五伴緒、アメノオシヒ・アマツクメ、オホクハ・ヲクハ、アメノホアカリ、ニギハヤヒ}
2 山神との出会い―可死の存在へ {オホヤマツミ、コノハナサクヤビメ、イハナガヒメ、山の神=山姥=イザナミ}
3 海神との出会い―海と陸の分離 {海幸彦、山幸彦、シホツチ、ワタツミ、トヨタマビメ、浦島子、隼人、鵜、タマヨリビメ、ウガヤフキアヘズ、蟹・鹿、カムヤマトイワレビコ}
【第二部 日本の神話伝説のなりたちを考える(吉田敦彦)】
I 日本神話とよく似たところがあるギリシア神話
{オルペウスとイザナキ、ペルセポネとイザナミ、バウボとアメノウズメ、デメテルとアマテラス、ポセイドンとスサノヲ、アドニスとオホクニヌシ}
II 日本神話とギリシア神話が似ているわけ
{ギリシア・スキタイと朝鮮、王の宝物と三種の神器、大神と水の女神の結婚、オセット人の英雄伝説、ゼラヒとトヨタマビメ・柳花、デメテルとゼラセ、オルペウスとソスラン}
III 縄文時代からわが国にあった神話
{オホゲツヒメ・ウケモチとハイヌウェレ、殺害の儀礼と土偶の破壊、母神を表した土器で料理された食物}
VI 神話が変化してできた昔話や伝説
{体から宝を出す山姥、「天道さん金の鎖」と作物の起源、山姥の乳房と土偶、「食わず女房」と深鉢形の土器の口、「龍宮小犬」と「花咲かじいさん」の犬、瓜子姫とハイヌウェレ}
註