1991年初版 四六判 通巻P1215+索引P18+目録P56 函ヤケ、少汚れ 本体カバー背ヤケ、糊付け剥がし跡、袖一ヶ所に1センチ程度の破れ ページ上角僅折れ跡
『迷宮としての世界』『文学におけるマニエリスム』などの著作でしられるホッケが、ヨーロッパ各国の、さまざまな時代の日記を多数とりあげ、その形式、動機、自意識の現われ方などを考察する。第1部は評論、第2部は評論で言及されなかったものを中心とした日記アンソロジー。
“日記との出会いは必ずや印象深いものとなるはずである。なぜならヨーロッパの隠れたる人間性の、いまだ文学的に粉飾されていない問題が露呈せずにはおかないからである。ヨーロッパ精神史と文学史の諸テーマに、ヨーロッパ的人間の内面と運命の歴史にかかわる幾多のモチーフが付加されるのだ。”(第1章より)
【第I部 ヨーロッパの日記の基本モチーフ】
意図と方法
第1章 構造と動機
1 形式の多様性/2 動機の多様性/3 日記作者の心理学/ヨーロッパの表現
第2章 自己観察と世界観察
1 自己認識の起源と発展/2 自己観察の発展/3 年代記風事件-記録/自己中心的自我-分析、自我-礼讃
第3章 自己の発揚と解体
1 不死とメランコリー/2 顕微鏡下の心、そして無秩序/3 挫折における深みの体験/4 ナルシシズム的自己-抹殺と/ヨーロッパ的自己-保存
第4章 愛、性愛、性欲
1 理想、不安、そして挫折/2 反逆主義、悪魔主義、そして軽薄さ/3 自己陶酔的過ち/4 半陰陽的混迷
第5章 隣人にたいする不安と外界批判
1 日記における隠蔽と日記の秘匿/2 圧政下の日記文学/3 隠れ家からの告発と時代からの逃避
第6章 証言記録と時代批判
1 政治日記/2 国家にたいする反抗と時代批判/3 日記のスキャンダル/4 誠実性の問題
第7章 日記人間学
1 偉大の分裂/2 時間に魅入られて/3 無と全の中間に在る人間/4 大いなる苦悩とささやかなる楽園
第8章 創造の問題
1 実験室のカイロス/2 フィクションとしての現実/3 作品成立史/4 読書と人間形成
第9章 哲学と自己経験
1 自己と存在のあいだ/2 憂愁と懐疑/3 形而上学的日記/4 現存分析における神の認識
第10章 絶対者の年代記
1 自我と世界からの解放/2 「閉ざされた」人間の突破/3 神秘的な対話/4 隣人への指向
整理 日記の〈神話的意味)
a ヨーロッパ―探し求める創造/b 実存象徴としての神話/c 自我、そして時間の発生/d 愛の地球
原註
人名索引
【第II部 ヨーロッパ日記選】
諸言
第1系列 ルネサンスから古典的絶対主義の終りまで
フランチェスコ・ダ・フィエッソ/ステファーノ・インフェッスラ/シャルル六世・シャルル七世治下におけるパリ一市民の日記/ルカ・ランドゥッチ/クリストフ・コロンブス/ペーター・マイアー/フランソワ一世治下におけるパリ一市民の日記/アルブレヒト・デューラー/イグナティウス・フォン・ロヨラ/フェーリクス・プラッター/ヤーコポ・ダ・ポントルモ/首切り役人フランツ・シュミット親方/ジョン・ディー/マルティーヌス・クルージウス/イザーク・カゾボン/ヤーコプ・レーダー/ジアチント・ジッリ/ガンゴルフ・ハルトゥング/サミュエル・ピープス/アルブレヒト・フォン・ハラー/サミュエル・ジョンソン/ジェイムズ・ボズウェル/ヨハン・ゲオルグ・ハーマン/クリスティアン・フュルヒテゴット・ゲラート/ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー/ヨハン・ガスパール・ラーヴァーター/フランツ・フォン・バーダー/アマーリエ・フォン・ガリツィン/フリードリヒ・フォン・ハルデンベルク[ノヴァーリス]
第2系列 フランス革命から世紀末デカダンスまで
ヴィルヘルム・フォン・フンボルト/フリードリヒ・ゴットロープ・ヴェッツェル/サミュエル・テイラー・コールリッジ/E・T・A・ホフマン/ヨハン・ゴットリープ・フィヒテ/ベンジャミン・ロバート・ヘイドン/バンジャマン・コンスタン/アウグスト・フォン・プラーテン伯/バイロン卿/ヴィルヘルム・ヴァイブリンガー/ニッコロ・トンマゼーオ/アルフレッド・ド・ヴィニー/モーリス・ド・ゲラン/カミロ・ベンソ・ディ・カヴール/セーレン・キルケゴール/アンリ=フレデリック・アミエル/ゴットフリート・ケラー/ヴィルヘルム・ディルタイ/ゴンクール兄弟/ヴィクトリア女王/リヒャルト・ヴァーグナー/シャルル・ボードレール/ジョン・ヘンリー・ニューマン枢機卿/フェルディナント・グレゴローヴィウス/ジェラード・マンリー・ホプキンズ/フリードリヒ・ニーチェ/バイエルン王ルートヴィヒ二世/皇帝フリードリヒ三世/リュシ・クリスティーヌ/マリー・バッシュキルツェフ/ヒルデガルト・フォン・シュピッツェムベルク/ジュール・ルナール/フーゴ・フォン・ホーフマンスタール
第3系列
レオン・ブロワ/ライナー・マリーア・リルケ/レオ・N・トルストイ/イタロ・ズヴェーヴォ/シャルル・ド・フコー/エーミール・フォン・ベーリング/オスカー・レルケ/キャサリン・マンスフィールド/ゲオルク・ハイム/W・N・P・バーベリオン/エルンスト・バルラッハ/エマヌエル・フォン・ボートマン/ルネ・シッケレ/ヨーゼフ・ホーフミラー/ヴァースラフ・ニジンスキー/皇太子ヴィルヘルム・フォン・ホーエンツォレルン/ヘルマン・ヘッセ/シャルル・デュ・ボス/ハリー・グラーフ・ケスラー/ヨッヘン・クレッパー/ジュリアン・グリーン/レオ・トロツキー/ゴットフリート・ベン/アルベール・カミュ/フェーリクス・ハルトラウプ/テーオドール・ヘッカー/ヴァージニア・ウルフ/クラウス・マン/ヨーゼフ・ゲッベルス/アンリ・ド・モンテルラン/シリル・アンソニー・ストラウス/ディートリヒ・ボーンヘッファー/アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ/ベネデット・クローチェ/アンリ・ペラン/ペッター・ムーン/エラスムス・フォン・ヤキモフ/クヌート・ハムスン/エーリヒ・ケストナー/エルンスト・ユンガー/マックス・フリッシュ/エルンスト・ローベルト・クルツィウス/アルフレート・カントーロヴィッチェ/ヴィトルト・ゴムブロヴィッチェ/フランソワ・モーリヤック/レーオ・ヴァイスマンテル/グレアム・グリーン/教皇ヨハネス二十三世[アンジェロ・ジュゼッペ・ロンカルリィ]
訳者あとがき(石丸昭二)
主な翻訳文献
文献目録