
2010年2刷 四六判 P269 カバー僅スレ 帯付
メアリー・シェリー作「フランケンシュタイン」をはじめ、「ジキルとハイド」「透明人間」「吸血鬼ドラキュラ」など、19世紀に登場したホラー小説の舞台設定、登場人物の関係性、行動原理といった描写から、近代以降の社会に生まれた問題や個人が抱える不安、科学と倫理といったテーマを抽出する。
目次:
はじめに 「ブラックボックス時代の怪物」
第1部 扉を開けた「フランケンシュタイン」
第1章 「怪物を生みだしたフランケンシュタイン」
{1 発明と発見をもとめた若者たち/2 怪物はなぜ暴走したか/3 たがいの共感と同情のもつれ/4 怪物がもつ言葉の力/5 あらかじめ失われた家族/6 現代のプロメテウス}
第2章 「フランケンシュタインの呪縛」
{1 さまざまな問いかけの出発点/2 怪物はなぜ暴走したか/3 たがいの共感と同情のもつれ/4 フランケンシュタイン・コンプレックス/5 ロボットの共存/6 人間を模倣すること}
第2部 怪物になることへの恐怖
第3章 「自らが怪物化するジーキル博士」
{1 二重人格のおびえ/2 ジーキル博士の二重生活/3 ジーキルの告白の嘘/4 ジーキルとハイドが隠しているもの/5 時代が作りあげたハイド/6 ジーキルの自己責任}
第4章 「透明人間がもつ欲望と不安」
{1 透明人間になる快楽/2 不可視の発想の由来/3 自分の身体が自分を裏切る/4 現代科学と資金調達のつらさ/5 ネットワークとテロリズム/6 外へ広がるイギリス社会}
第5章 「ドラキュラと同化することへの拒絶」
{1 ドラキュラが活躍する世界/2 ドラキュラがもつ文化的なずれ/3 怪物が求める共感と合法性/4 集団による戦い/5 ドラキュラ化への抵抗/6 ドラキュラを判別し排除する}
第3部 怪物を生みだすことへの恐怖
第6章 「二十世紀に生みだされた怪物たち」
{1 車椅子に乗ったチャタレイ卿/2 変貌していく森のなかで/3 新世界はすばらしいか/4 フォード対野蛮人/5 第二のプロメテウスの火/6 世界の終末の渚にて}
第7章 「怪物にとりつかれたスピルバーグ」
{1 原爆にとりつかれたスピルバーグ/2 ジョーズという怪物/3 暴走するジュラ紀の怪物/4 苦悩する人工知能/5 監視システムのネットワーク/6 苦悩するユダヤ人として}
おわりに 「パンドラの箱を開ける」
あとがき
参考文献
年譜