昭和50年19刷 P216 カバー少スレ、少イタミ 小口ヤケ 末尾ページ剥がし跡
“現在のように文明が高度に発達し、生活が化学化されているという時代に怪談のようなものが、なぜ、もてはやされるのか。
このようなことは、きわめて素朴、低級なる疑問として、しばしば一笑に付されてしまいがちなのだが、適当な解答が与えられないのならば、やはり、だれかがこれに必要があるだろう。”(カバー裏紹介文)
“「幽霊って、ほんとうに出るものだろうか」
「狐や狸は、実際に化けたり化かしたりするだろう」
こうした素朴な疑問に、私たちは理屈では否定しながらなにかわりきれぬ実感を持つにちがいない。
本書は、豊富な実例と著者の民俗学的立場から、興味深くこれらの疑問を解き明かしていく。”(カバー袖紹介文)
目次:
I 幽霊・妖怪の登場
一 怪談はなぜもてはやされるか {夏の夜の寵児-四つの特性-その栄枯盛衰}
二 怪談の主人公たち {幽霊-妖怪変化-憑きもの}
三 幽霊・妖怪出現の背景 {雑音にひしめく都会-ランプにかすむ田舎-カワタレ時・逢魔が時-ネオンに挑む幽霊}
II 幽霊の歴史性
一 夏芝居・盆興行と幽霊 {盛況の幽霊ばなし-お盆と幽霊の因縁-ある学者の意見}
二 幽霊あ・ら・か・る・と {足のある幽霊・ない幽霊-新旧文化の併存-都会の幽霊(1)-都会の幽霊(2)-田舎の幽霊(1)-田舎の幽霊(2)}
三 幽霊の実態 {火の玉と魂のぬけた人間-人魂の色・形・種類-幽霊の現われかた}
四 二〇世紀の謎―心霊現象 {心霊術の実験-現代の幽霊現象-近代科学との対決}
III 妖怪変化百態
一 「モウ」と出る妖怪変化
二 山中に住む妖怪 {生きている仙人-「やまびと」-鬼と天狗}
三 家や路傍の妖怪 {路上の怪-すさまじき雪女郎-狐と狸の腕自慢}
四 遊泳自在の妖怪 {水神変じて河童-河中の怪物-海の妖怪-濡れ女・磯姫・共潜き-竜宮と人魚}
IV 神がみの零落と霊魂信仰
一 あの世とこの世と {日本人の天国-天国はいずこ-天国への階段}
二 生霊と精霊 {生きている魂-死後の魂と盆行事-成仏しきれぬ魂}
三 祖霊と八百万の神がみ {八百万の正体-すべては守神へ-強い信仰意識}
四 信仰の衰退と芸術の発生 {ご神体の具像化-なぜ具像化される?芸術の発生-信仰の衰退と怪談}
V 怪談は生きている
一 現代人と怪談
二 現代文明と会談のゆくえ {信仰の娯楽化・慣習化-近代生活の不安-怪談流行の新しい素地}
三 エピローグ {幼な子の疑問-常識のエア・ポケット-われわれの立場}
付録 霊魂現象の調査手帖
参考文献紹介