1991年 B6判 ソフトカバー P335 カバー僅スレ、上角僅折れ跡 P71〜76折れ跡 僅シミ汚れ
巻頭折込:全国妖怪出没地図、日本お化け出現年表
“さて、この本は難しい議論は抜きにして日本のお化けたちの姿をエッセイ風にまとめたものである。どの項目でも気楽に開いてお読みいただければいい。”(『はじめに』より)
目次:
はじめに お化けとはなにか
第一幕 人を襲う
{赤子を抱いて出る濡れ女/美女に変身して誘うアヤカシ/船によじのぼって生き血を吸う磯女/すさまじい吠え声で迫る牛鬼/肉をことごとく吸いとる肉吸い/海女たちの奇怪な幻視・共潜きと海海女/人を大食らいにして精気を抜く河女/二度の怪お決定版・会津の朱の盤/大入道と怪女のコンビ/安達ケ原の鬼婆に似た舌長婆/親子を震え上がらせる人さらいたち/一生笑い声が耳につく笑い男/海に出る大男と変身する海坊主/子をさらって油をとる「油取り」/人心を察する不埒なヒヒ/女性の敵・髪切りの怪/疾風の怪・カマイタチ
妖怪こぼれ話(1) 道具類が妖怪になる}
第二幕 生への執念
{雪隠で睨み負けた女の生首/売られた田を返せという泥田坊/死んだ者たちの恨み「船幽霊」/さまざまな舟幽霊の呼び名と性質/四国・九州の舟幽霊たち/舟幽霊と共通する海坊主/海を彩るいろいろの怪たち/生への執念・産女/殺されたものの恨みの火/二つがもつれあって出る火/夫婦愛の悲しい証・遺念火/油に執心した者たちの怨霊}
妖怪こぼれ話(2) 百物語はお化け話大会
第三幕 いたずら得意
{宮沢賢治の「ざしき童子」/家の人にしか見えない座敷童子/いつの間にか仲間になる座敷童子/いたずら好きの座敷童子/富貴な家に住む座敷童子/座敷童子の仲間たち/首から上だけの巨大な怪/美しさで精気を吸いとる川姫/水中から鉄砲を奪う川熊/風呂場と天井を嘗める怪/人の形をした狸火/「黙っていろ」と脅す一つ目小僧/道に現れる怪しい火/頭の上から脅す妖怪たち/木の上からすくい上げる釣瓶落とし/出会ったら一服すると消える塗壁/道に出ていたずらする怪ども/水辺に出るさまざまの怪/人間に睨み負けて消えた水怪}
第四幕 人間大好き
{凄味のある超美人・山姫/人の生血も吸う山女/洪水を予告した怪女/山で出会う山姥/里に下りてきた山姥/長身で人臭い山男/覚―真の妖怪山男はこれ/人の心を読んで復讐する山童/山人の仲間山爺の哀話/ヒヒの面影・山丈/人を食いたい海女房と優しい海女房/海から来た小妖怪・波小僧/目を借りにくるという婆さん/家で会うおだやかなお化けたち}
妖怪こぼれ話(3) 妖怪とつきあった人々
第五幕 お化けの自己主張
{自己の存在を主張する山の怪たち/山道を飛び交う生首や手首/美女で位の高い山女郎・片足上臈/山中にひびく赤ん坊の声/大猪の亡霊・一本ダタラ/俗説てるてる坊主の元祖/見越し入道という大男の怪/のっぺらぼうは江戸の専売/首が伸びるよ、ろくろっ首/怒ると首が抜ける男の話/本人が自覚しないろくろっ首/体から離れないろくろっ首/水辺で音をさせる代表格の小豆とぎ/火にまつわる道の怪/海にでる怪しい火/道を転がってくる怪たち/道で会う小僧たちの怪/闇と静寂を引き裂く怪しい音/
妖怪こぼれ話(4) 描かれた妖怪たち
第六幕 神仏それともお化け
{死骸を持ち去る火事/罰と情けを与える一つ車/見ればけられる夜行さん/飢餓を招くヒダル神/火車に乗ってくる怪・魍魎/猪苗代城の“城主”亀姫/城妖怪の代表・姫路城の長壁姫/こちらは江戸の怪異「倉坊主」/巨人たちの伝説・ダイダラ坊/悪天候を招く足長/これだけには憑かれたくない窮鬼/貧乏神を追い出す秘法/本所七不思議の一つ、置いてけ堀}
妖怪こぼれ話(5) 妖怪の出る場所
第七幕 雪女と雪の童子
{子どもを抱かせる雪女/米の出来ばえを決める雪女/御存知ハーン版「雪女」の原話/可憐な信州の雪女/杣人を誘惑する雪女/温かくもてなして命を奪う雪女郎/情けない笑い話に下落した雪女たち/各地方の雪女やその仲間/神の使い、男の雪の怪}
妖怪こぼれ話(6) 妖怪の出る時間とその原因
第八幕 天狗、河童、鬼の話
{日本を代表する怪・天狗/つぶてを飛ばす天狗/天狗のたてるいろいろな音/天狗に睨まれたテング男/人の心を読む天狗/温泉で傷の治療をした天狗/河童は童形のオカッパ頭/河童は猿にめっぽう弱い/河童は夜相撲を挑む/馬を水に引き入れる河童/女性の尻をなでにくる河童/さまざまな河童の仲間たち/山に登った河童が山童/鬼の形は時代によって大きく変化/酒の代金をたき木ではらった鬼/美男に化けて女を誘って食った鬼/姿を見せずに女をとった鬼/雷の申し子、鬼退治/財宝に目がくらんで鬼に喰われた女}
妖怪こぼれ話(7)
第九幕 動物の変身・変化
{男と一夜の夢を結ぶ狐/驚かされた仇をうった狐/狐の嫁入りと葬儀/僧に化けて長年学問を積んだ狐/「狐火の元」を取り返した狐/和尚に化けて諸国を巡った狸/狸の腹皷はなんのため/本場阿波狸のゆかいないたずら/自分の命数を知る狸/人語をしゃべる怪猫/赤猫を長年飼うのは御法度/命を捨てて恩に報いた猫/笛の音に魅せられた猩々/美女に化けて男を誘惑した豚/スッポン屋の主人はすスッポン?/家人を病気にする蟇の怪/日本の人魚伝説}
妖怪こぼれ話(8) 現代の妖怪ども
お化け書誌解説
参考とした文献