2003年初版　四六判　P355＋参考文献P17　帯付　帯僅シミ汚れ　カバー少キズ

“「健康は義務である」と、反タバコ運動や食生活改善運動を強力に推進した第三帝国が目指した《ユートピア》とは？”（帯文）

“ナチス・ドイツの科学史は……大量虐殺による「淘汰」の歴史であると同時に公共の場所での禁煙の歴史である。メンゲレの犯罪は忘れられないが、と同時にダッハウの囚人に有機農法のハチミツを作らせていたことや親衛隊がヨーロッパのミネラルウォーターを買い占めていたことも忘れてはならないと思う。残虐と凡庸と、この両方がカギである。（本書より）”（帯裏紹介文）

目次：
序文
第一章　ヒューパーの隠された過去
　｛知の勝利／国家の大敵／エルヴィン・リークと予防のイデオロギー／早期発見・集団検診｝
第二章　ガン研究、組織化される
　｛ユダヤ人研究者たちのその後／ガン患者登録制度とガンの精密調査始まる／ガン研究と流行語／自然回帰とガン増加の問題｝
第三章　遺伝と民族に関する学説
　｛ガンとユダヤ人問題／選別と断種｝
第四章　職業病としてのガン
　｛第三帝国での健康と労働／Ｘ線・放射線の殉教者／ラジウムとウラニウム／砒素、クロミウム、石英その他の粉塵／王の死装束―アスベスト／化学工業のガン｝
第五章　ナチス・ドイツの食生活
　｛人工的生活への反発／肉か野菜か／ヒトラーの食生活／禁酒運動／能率向上食品・薬品／抗ガン食品／バター着色を禁止する／イデオロギーと現実｝
第六章　タバコ撲滅運動
　｛初期の反タバコの動き／ガンとの関連に行き着くまで／「タバコ業界の敵」フリッツ・リキント／ナチス医学のモラリズム／フランツ・Ｈ・ミューラー―忘れられた実験疫学の父／タバコ規制の開始／カール・アステルとタバコ害毒研究所／健康はすべてに勝る／レームツマの「禁断の果実」／タバコ業界の反響／タバコの衰退｝
第七章　残虐と凡庸と
　｛ファシズム下の科学／似非医学にまつわる複雑な事情／仮面をかぶった生物兵器研究／自然回帰主義の記念碑／ナチスの政策はガンの予防になったか？／ナチスという切り札／ナチスのガン研究は穢れているか？／ファシズムの裏面｝

原注
訳者あとがき
人名索引
参考文献