1972年初版 四六判 P283 函少クスミ 函帯少ヤケ 本体表紙少汚れ
“美しい時代の書―辛い覚醒の刻に魂の悲傷の翳を燭す詩的乾坤。サルトル、カミュ、ボーヴォワールの翻訳者としても識られる仏文学者が、その青の時代、一高の『向陵時報』にひたすら書き継いだ小説・拾遺草稿詩篇。青春の憧憬と寂寥、幻影と倦怠をを、繊細な感性と明晰な論理によって彫琢し新鮮な衝撃を与えたモニュマン。埋もれた鉱石の虚無の輝きをもつにおやかな作品の数々は、生にも死にもなじまぬ過渡期の時代に、心の呻きや瞋りを鎮めるものとして長くひとの心を領するものとなろう。”(帯文)
1949年に河出書房から刊行された作品集の復刊版。
目次:
I
體驗/伯母/おくみさん/季節について/昇天/小さな話/エテュード/花/瓦斯燈
II
拾遺草稿詩篇 {無為のときには海へ行かう/またこん春/冬に入る夜にうたつた/少年時の夏/秋の歌/少年は死んだ冬の朝/夜明け/祝婚歌/夜の祈り/夕暮のそこ海のおもてに
III
ドビュッシーのためのエスキス/ボードレールの夜/カリエールの絵の回想/はりつけ
あとがき