2000年初版 P212
“頭に皿を載せ、背中に甲羅を背負った河童。人を川に引き込んだり、相撲を挑む一方、秘薬を伝え、洪水の復興に尽力するなど、この想像上の動物には様々な意味が託されてきた。民話の主人公となり、時に妖怪変化の類にも扱われる河童とは何者なのか。河童の実在を信じて各地に伝承・伝説を訪ね、史料を読み解く著者の前に、歴史のなかで虐げられ、無視され、巧妙に隠匿された弱者たちの姿がおぼろにたち現れてくる。”(カバー袖紹介文)
目次:
第一章 目撃された河童たち
一 遠野の河童は赤い {河童はいるよ/河童に引かれて死んだ/河童を見た/また、二匹で歩いているのか/かっぱ村誕生/一週間まえに見た/河童と相撲/里芋の葉を被れば河童が見える/沖縄のブナガヤ/触られると熱い/心のきれいなひとに姿を見せる}
二 捕えられた河童 {捕獲された河童/哀れ撲殺・塩漬けの受難/シーボルトと河童/河童の肉を売る/河童の頭蓋骨?/本物のミイラ}
三 河童の姿形 {頭上の皿がある/日本最初の大百科事典}
第二章 河童たちの履歴書
一 河童の誕生 {名称の系譜/ワニと河童/中国の河童/河童の渡来}
二 河童の経歴 {1 歴史の裏の読み方 (本当に河童の子か・河伯とミズチの登場・生贄を求める河伯・悪事を働くミズチ)/2 伝承の正体 (川童の姓・平家の落人伝説・三浦半島と鉄・水と闘う江戸・大江戸の洪水・河童橋の由来・おいてけ堀・被差別部落の誕生)}
三 河童の特技と賞罰 {1 稲作文化の伝承 (デス・マッチの相撲/相撲の神事)/2 疫病追儺と福徳招来 (祇園祭は河童の祭?/須佐之男命と牛頭天王/牛頭天王の解釈/河童相伝の妙薬まじない)/3 河童の嗜好 (河童とキュウリ/鉄を嫌う河童/猿と河童/神猿ハヌマン/『西遊記』/河童と馬/名馬「池月」の秘密/古代王朝の発祥地/征服者と河童/被征服者の河童)}
第三章 河童に秘めた親書
1 小川芋銭 (批判精神の萌芽/河童の芋銭)/2 芥川龍之介 (究極のエゴイズム/ボクが河童です)/3 火野葦平 (笑いとペーソス)
あとがき