
1980年5刷 A5判 P324 帯・カバーヤケ、スレ、端少イタミ 天地小口ヤケ
“《生きられる空間》とはなにか?
[時間]による腐蝕に耐えつつ抗う人間存在に新たな[生の空間]の再構築を呼びかけるボルノウの希望の空間論。”(帯文)
“〈 空間の哲学〉が思想の課題として切実に求められている今日、本書はアリストテレス以来の空間概念を歴史的に検討するとともに、人間のきわめて日常的な生における空間の具体的な例――地表、垂直線と地平線、前と後、右と左、パースペクティヴ、世界の中心としての家屋、戸口、窓、寝室、敷居、道等また、聖なる空間、行動空間、夜と昼の空間、愛の空間――のもつ意味をハイデッガー、ミンコフスキー、バシュラール、エリアーデ、ビンスヴァンガー、サルトル、メルロ=ポンティを援用しつつ鋭く分析し、〈人間の生は空間的である〉ことを強く主張し、現代の危機的、疎外的状況からの脱出の指針を提示する画期的な〈空間の現象学〉の書である。”(帯裏紹介文)
目次:
日本語版への序文
【序論】
1 設問の歴史/2 数学的空間との対照/3 〈体験されている空間〉という概念/4 人間の生の空間性
【第一章 空間の基本的な内的分節】
第一節 アリストテレスの空間概念
1 自然な場所/2 容器としての空間
第二節 ことばの用法と言語史
1 日常的な言語の用法/2 言語史的示唆 {・a Raum《ラオム》〔空間〕ということば ・b いろいろな動詞形 ・c まとめ}/3 空間内の場所と位置 {・a Ort《オルト》〔場所、地点〕 ・b Stelle《シュテレ》〔位置、箇所〕 ・c Platz《
プラッツ》〔席、空地〕 ・d Fleck《フレツク》〔ひと区画の場所〕 ・e Feld《フエルト》〔野、場〕
第三節 自然の座標系
1 垂直軸と水平面−直立している人間/2 地表/3 盤の堅さと地盤喪失の諸形式/4 前方と後方―人間は「途上にある存在」である/5 右側と左側
第四節 空間の中心
1 空間の原点に関する問い/2 前へ進むこととひきかえすこと/3 中心をめぐる配列/4 世界の有限性
第五節 諸方位
1 空間における方向決定/2 神話的地理学/3 その他の方向図式/4 優先的な箇所/5 道の方向と生活領域
第六節 地平線とパースペクティヴ
1 地平線の二重相/2 パースペクティヴ/3 比喩的意味でのパースペクティヴと地平線
【第二章 広い世界】
第一節 広い土地、見知らぬ土地、遠方の土地
1 あらたな設問/2 無限なひろがりへの空間の進出/3 バロック様式の内部空間/4 狭さと広さ/5 見知らぬ土地/6 遠方の土地
第二節 道と道路
1 空間の開発/2 道の成立/3 道路の構築/4 道路網/5 空間の変化 {・a 空間の等質化 ・b 離心的な空間}/6 道路上の人間 {・a 前方への進行 ・b 横の次元の喪失 ・c 人間相互の触れあいのはかなさ}
第三節 さすらいあるきの小道
1 さすらいあるくこと/2 小道/3 目標を欠いていることと時間を欠いていること/4 出発することの幸福感/5 根源への帰還/6 さすらいあるくことがもつ機能
【第三章 家屋のやすらぎ】
第一節 家屋の意義
1 世界の中心としての家屋/2 住まうこと/3 やすらぎの空間/4 バシュラールにおける住まうことの幸福感/5 人間学的な機能/6 家屋のそこなわれやすさ
第二節 聖なるものにかかわる空間
1 神話的思考への立ちもどり/2 聖なる空間/3 世界の似姿としての家屋/4 都市/5 まとめ
第三節 住みごこちのよさ
第四節 戸と窓
1 戸/2 錠/3 敷居/4 窓/5 周囲の世界における方向づけ/6 窓のもつ物を遠ざけ移しかえるはたらき
第五節 寝台
1 家屋の中心としてのかまどと食卓/2 中心としての寝台/3 言語史ならびに文化史的示唆/4 寝台におけるやすらぎ/5 直立の姿勢/6 横たわること
第六節 目をさますことと眠りこむこと
A 目をさますこと
1 現存在のもつ不確定な感情/2 自己の置かれている状態の会得―近接空間の構築/3 場所の同一性の確認
B 眠りこむこと
1 魂の根底への帰還/2 やすらぎの感情/3 深い眠り/4 生の二重運動
【第四章 空間の諸局面】
第一節 ホドロジー的空間
1 隔たり/2 居住空間の穴ぐら的性格/3 レヴィンのホドロジー的空間/4 サルトルにおける問題の継承/5 地域のホドロジー的な内的分節
第二節 行動空間
1 ホドロジー的空間概念の拡張/2 空間のなかにある物体の「手でつかみうる」というこいう性格/3 空間の整理/4 生活空間のわかりやすい性格/5 行動の余地/6 行動空間という概念の拡張
第三節 昼の空間と夜の空間
1 両方の空間の関係/2 昼の空間/3 薄暗い空間 {・a 森 ・b 霧 ・c 降雪 ・d たそがれ}/4 夜の空間 {・a 夜間の通行 ・b ミンコフスキーとメルロ=ポンティにおける記述}
第四節 気分づけられている空間
1 狭さと広さの感情/2 〈気分づけられている空間〉という概念/3 色彩の感覚的―道義的作用/4 内部空間/5 気がかりなことをもっている心によって狭くなる空間/6 多幸症的な空間/7 詩人の裏付け
第五節 現在的空間
1 音響の空間性格/2 舞踊のもつ目的からの解放性/3 空間との変化した関係/4 現在的運動/5 シュトラウスにおける二元論的空間図式への批判
第六節 人間の共同生活の空間
1 生活空間をめぐる闘争/2 愛のある共同生活の空間/3 空間を創造する愛の力/4 ふるさとの設立/5 友好的な共同作業の共有空間
【第五章 人間の生の空間性】
第一節 空間のなかに存在することと空間を所有すること
1 志向性の概念にみられる萌芽/2 媒体としての空間/3 空間感情の諸様式/4 住まうこと/5 空間を所有すること/6 自分自身の空間
第二節 自分自身の空間の諸形式
1 住まうことの三領域/2 身体 {・a 身体と外部空間 ・b 身体の目だたなさ ・c 身体を所有する仕方としての受肉}/3 家屋 {・a 家屋における受肉―身体を所有することと、家屋に住まうこととの類比 ・b 家屋のなかでの人間の変身 ・c 動物のなわばり}/4 さえぎるもののない空間 {・a 空間の安全に庇護する性格 ・b さえぎるもののない空間に住まうこと ・c 空間と一つになることの他の諸形式}
第三節 総括と展望
1 空間性の諸変容/2 安全に庇護する空間の優位性/3 真に住まうための要請
原注
訳注
訳者あとがき