1988年　ページ部分23.2×29.8　ノンブルなし　カバー無し裸本　表紙少スレ　別紙「訳者のことば」付

“…これはとても風変りな絵本です。あかるいハッビイエンドがあって、どこかにちょっぴり教訓性がひそみ、などといったいわゆる物語絵本の常識は、ここではもはや通用しません。絵本は子供のものという通念をあっさりぶちこわしてしまったのがこの一冊です。
絵本として型破りなばかりではなく、物語そのものも、エンデの作品としてはかなり異色です。登場人物はといえばたったひとり、それも女優になりそこね、どうやら結婚もしそびれたらしい、ひとり暮しのよるべない老女。オフェリアとは、もちろんシェイクスピアからいただいてきた名前のようです。それにしても彼女は、モモやエリや幼なごころの姫君といった、エンデのこれまで生みだしてきた少女たちと、いったいどういう関係があるのでしょう。…”（別紙「訳者のことば」より）

主人公の老女オフェリアさんは小さな古い町のささやかな劇場で、舞台の前の小さな箱に隠れて役者たちにこっそりとセリフを教える仕事を続けてきたが、その劇場が閉館されることになる。
最後の夜、ひとり立ち去りかねているオフェリアさんの前に一つの「影」が現われ声を掛ける。
これを端緒に次々と集まってきた「影」とオフェリアさんは芝居の一座を組んで旅に出る……。