
1999年 新書判 P234 帯スレ、少汚れ
“「化ける」民俗の諸相
「化ける」「変身する」ことを切り口として、さまざまな事象を民俗学の視点から読み解く。”(帯文)
“「化ける」「変身する」とは、瞬間的あるいは短期間のうちにそれまでの状態ががらりと変わることである。変化の質は外見上の問題だけではない。動機や場面もさまざまである。これらの言葉を切り口として、妖怪、怪獣、都市伝説、まちづくり、人名、儀礼などの民俗から見えてくるものは何か。刺激的な論考集。”(カバー袖紹介文)
目次:
はじめに
プロローグ 化ける民俗の諸相
{お化けと幽霊―柳田国男の妖怪論/怪異をめぐる言説/人が化ける・町が化ける}
【第1部 妖怪と現代の怪異】
第一章 股のぞきと狐の窓 ―妖怪の正体を見る方法(常光徹)
1 股のぞきと異界 {妖怪を見る/未来が見える/異国が見える/股のぞきと袖のぞき}
2 妖怪を見る方法 {狐の窓/道具の隙間からのぞく/二股の伝承と妖怪/飛行機とおまじない}
コラム(1)仮面と来訪神(赤嶺政信)
第二章 妖怪と怪獣(斎藤純)
{妖怪・怪獣をめぐって/『山海経』の怪獣/日記・瓦版の怪獣/随筆の怪獣/『故事類苑』と伝説集/水爆大怪獣ゴジラ/妖怪・怪獣・大怪獣}
コラム(2)化粧と美人(高橋典子)
{日本人と化粧/化粧と西欧化/現代の化粧と理想の美人}
第三章 現代都市の怪異 ―恐怖の増殖(宮田登)
{恐怖と不安の世相/「リング」と「己が命の早使い」/恐怖の伝染・ケガレの伝染/恐怖の増殖と見えないケガレ}
コラム(3)女装と男裝(性的倒錯)(野沢謙治)
【第二部 「化ける」という幻想と現実】
第四章 町が化ける ―まちづくりのなかの民俗文化(川森博司)
{遠野駅前の河童とザシキワラシ/ディズニーランド化するまちづくり―かわいい妖怪たち/イメージと実態の乖離/中央と地方の力関係/ふるさとイメージと遠野観光/昔話の語り手の活動/伝承園と老人クラブの人々/小学校の民話劇/『遠野物語』のもつ新しい意味遠野常民大学の活動/地域の日常と抵抗の拠点}
コラム(4)「日本人種改良論」(小熊英二)
第五章 名前と変化(植野弘子)
「悪魔ちゃん」/名前のはやりと変化/命名の民俗/祖名継承法/名を替える/国家と名前/夫婦別姓
コラム(5)外国人と異人(原尻英樹)
第六章 人の一生(岩田重則)
{国民に化ける/二つの人の一生/出稼する若者と娘/若者に化ける/女性の排除/娘の出稼/娘の「身売」/昭和恐慌下の「身売」/「貰い子」/ムラの排除の論理/被差別部落/漂泊民/人生儀礼のモデル/人生儀礼の有無/節供の有無/人の一生のレール}
コラム(6)「成人式」の誕生(田村和彦)
{成人式は「伝統」行事か/子供と大人の区分/成人式の発祥と普及}
執筆者一覧