
1971年10版 四六判 P258 カバー汚れ、時代シミ、背ヤケ 帯背から端にかけてヤケ大 天地小口および両見返しヤケ、時代シミ
“文学の究極的な課題は“悪” ―悪の極限の形態― であり、その“悪”こそ至高の価値を持つものだ、とするG・ バタイユが、実存主義の立場からサド、ブレイク、ボードレール、プルースト、カフカ、ジュネなどを分析して、その永遠の課題を解明した異色ある問題作。”(帯文)
目次:
まえがき
エミリ・ブロンテ
{エロチスムとは、死を賭するほどまでの生の讃歌である/少年時と理性と悪/エミリ・ブロンテと背反/文学と自由と神秘的体験/悪の意味}
ボードレール
{人間は、みずから自分を断罪するのでないかぎり、自分を徹底的に愛することはできない/行動性の散文的な世界と詩の世界/詩は、ある意味では、つねに詩の反対物である/ボードレールと不可能の彫像/『悪の華』の歴史的な意味づけ}
ミシュレ
{供犠/呪術と黒ミサ/善と悪、「価値」、およびミシュレの生涯}
ウィリアム・ブレイク
{ウィリアム・ブレイクの生涯と作品/詩の至高性/ユングの精神分析学によるブレイクの神話世界の解明/悪の照明としての『天国と地獄との結婚』/ブレイクとフランス革命}
サド
{サドとバスティーユ占領/自己破壊の意志/サドの思想/サドの狂熱/狂奔から明晰な意識へ/サドの宿命の詩}
プルースト
{真理と正義とへの愛とマルセル・ブルーストの社会主義/道徳律への背反に結びつく道徳/罪悪としてのエロチスムに立脚する快楽/正義と真理と情熱と}
カフカ
{「カフカを焚刑に処すべきか」/カフカと「約束の地」と革命社会/カフカの完全な小児性/子供らしい状況の固持/フランツ・カフカのたのしげな世界/少年時の幸福な横溢感は、死という至高の自由の動きのなかで、ふたたび見いだされる/共産主義者《コミュニスト》たちの非難の正当化/しかしカフカ自身は協調的である}
ジュネ
{ジュネとサルトルのジュネ論/悪への無条件の献身/至高性と悪の聖性/裏切りと下劣な悪とへとむかうずれ行き/無際限な背反の袋小路/実現不可能な霊的交通/ジュネの失敗/非生産的な消費と封建的な社会/自由と悪/真正の霊的交通とすべて「存在するもの」の不可入性と至高性/裏切られた至高性}
訳者あとがき