蹴裂伝説と国づくり 上田篤、田中充子 鹿島出版会

2011年 四六判 P284 カバー僅イタミ、上端および内側僅時代シミ 本体表紙上端僅時代シミ

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2011年 四六判 P284 カバー僅イタミ、上端および内側僅時代シミ 本体表紙上端僅時代シミ

治水や土地開拓にまつわる伝説が残る日本各地の湖沼や河川などを旅し、地形・地史・地質学的な知見や地域の信仰、史書の記述などと照らしつつ歴史に推理をめぐらせる。

“神や巨獣が山を蹴裂き、湖水を沃野に変え、日本の国は始まった。
ヤマトタケルが谷を削り、クマが岩を砕き、カニが沢を拓き、オオクニヌシが山を裂く。
環境と共生する国土開発の姿を求めて、北海道から九州まで列島各地に残る古代の国づくり伝説を探訪する物語。”(カバー袖紹介文)

目次:
【はじめに 日本の湖はなぜなくなったか?】
 {「平地の国」と「山地の国」/国土のスリーサイズ/「海のなかの洲島に絶在」/災害が日本の国土をつくった/和御霊と荒御霊/地中は「生活資源の宝庫」だった/ひょっとすると「怪物」がいたかも/「蹴裂伝説」をかんがえる}

【1 クマが上川盆地の岩を取りのぞいた 盆地は氾濫原だった ……北海道・旭川】
 {上川盆地に「平野」はなかった/アイヌ人はサケを獲った/ササが群生しカやアブが来襲する湿地帯/上川盆地に「湖」はあったか?/カムイコタンの「魔神伝説」/「百鬼夜行」の世界/湖というより「沼沢」だった/上川盆地の客土は粘土か? 砂か?/「ビショビショの氾濫原」だった/湖は出現したり消滅したりするのだ!}

【2 カニが小国の沢を拓いた 縄文人と弥生人の争い ……山形・最上小国】
 {東北は「氷」の形/日本の地形は風水では説明できない/「富士山型」/「ウナギのセナカ型・スキマ型」/なぜウナギのスキマの水が引いたか?/氷の国の「へビ・カニ合戦」/岩木山の「オオヒト伝説」/縄文人は山の水を熟知していた/美奈志川の「水争い伝説」/「小国盆地」をたずねて/オオヤマツミの「開削伝説」/ヤマビトは縄文人である}

【3 ヤマトタケルが沼田の谷を削った エミシ征伐でなく国土開発だった ……群馬・沼田】
 {沼田の「蹴裂伝説」/ヤマトタケルは「蹴裂き」をおこなったか?/タケルは各地で祭られている!/もう一つの蹴裂伝説―オオニトリ/「地球戦争時代」の地質学はこれからだ!/群馬県になぜ前方後円墳がおおいか/綾戸渓谷は岩だらけだった}

【4 カミサマが甲府の盆地を穿った 「穴切り」と「蹴裂き」と「瀬立ち」 ……山梨・甲府】
 {ヤマトタケルは甲府にきた/盆地といっても牧歌的なものではない/信玄の霞堤/「水をもって水を制する」/川除衆・惣村→縄文人?/甲府盆地の「蹴裂伝説」/盆地に湖がなかったという理論に納得できない/いつ、どこで、だれが、なんのために蹴裂いたか?/たびたび「湖」が出現していた}

【5 ネズミが上田平の崖を咬んだ ヒナ族とアマ族の闘争か? ……長野・上田】
 {信濃は「過疎の国」か/「謎の盆地」群/マグマの塊と子餅/「難治の国」/シナは「段階地」か?/シナは種族名だ!/シナザカル・コシ/アマザカル・ヒナ/狩猟民の血が信濃人にうけつがれているか?/むかし湖だった?/上田の「唐猫伝説」/「ヒナ族」「アマ族」「天皇族」/「蹴裂伝説」と国づくり}

【6 竜の子が松本平の水を落とした 先住民の「母子心中」か? ……長野・松本】
 {信濃の「蹴裂伝説」/塩田平の「小泉小太郎伝説」/「蹴裂き」は各地でおこなわれた/松本盆地の「犀竜伝説」 /縄文人とアマ族は協力した/諏訪大社はなぜ「山」と「木」を祭るか/タケミナカタが出雲から農業をもってきた/諏訪湖はなぜ蹴裂かれなかったか?】

【7 オオクニヌシが亀岡の山を裂いた  イズモ族が「山の水稲作」をもたらした ……京都・亀岡】
 {「霧の湖」/水害の町・亀岡/亀岡の水はどこにながれていたか?/古墳の位置が「昔の湖岸線」をしめす/オオクニヌシの「蹴裂伝説」/イズモ族が湖を蹴裂き天皇族が古墳を築く/樫舟がうごく亀岡祭】

【8 アメノヒボコが津居山を切った 渡来民は鉄器をもちいた ……兵庫・出石】
 {但馬とは?/但馬の宣伝をしよう/出石の「泥海」/円山川は川ではなく入江だ!/瀬戸の水門を開創して水をながした/瀬戸の切戸は「気比の浜」開削排水路だった!/アメノヒボコはなぜあちこちまわったか?/そこに鉄があったから}

【9 ウナキヒメと力持ちが由布岳を蹴った ヒメ・ヒコが国土をつくった ……大分・湯布院】
 {由布岳と湯布院/「湯布院には雨の日にくるべきです」/瓢箪から駒がでるか/ ウナキヒメの「職裂伝説」/鎧裂権現から由布岳がのぞまれる/力持ちは蹴裂権 現になった/「ウナキヒメという神さまはいません」/ウナキヒメは速津媛か? /ヒメとヒコはいまも対面している

【10 タケイワタツが阿蘇の岩を蹴裂いた 自然陥没か? 人間の蹴裂きか? ……熊本・阿蘇】
 {カルデラ盆地がなぜ乾燥したか?/「火の国」の阿蘇/タケイワタツの「蹴裂き」/古墳の集中する里/阿蘇神社から泉が湧きでる/タケイワタツとは何者か?/タケイワタツは「茂賀の浦」にもあらわれる/景行大王が沼を干あがらせた/湖は自然陥没でなくなったか?/職裂いたところはみな岩だった!}

【むすび 「蹴裂伝説」と国づくり】
 {神功皇后の「蹴裂伝説」/火をつかって石を割る/火の根元は太陽にあり/「花綵列島」/自然災害を文化にした/枕詞をかんがえる/なぜ「崩壊地名」や「冠水地名」がおおいか?/古代地名を膠着語から解く/モモソヒメが湖を蹴裂いた/ヒミコはモモソヒメか?/稲作はヤワなものではなかった/アマテラスが稲作をすすめた/四道将軍と国土開発/「国づくり」が日本の政治/「ミッシング・ リング」をつなぐ/サムライは土地開発の先頭にたった/日本の国土が引き裂かれた/自然と方言は死に絶えた/鎮守の森はなくならない!}

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