1991年 A5判 P294 カバーごく僅スレ、内側少時代シミ 天地小口僅ヤケ、僅汚れ
“現代人はあまりにも、定住、あるいは組織への固い帰属にこだわりすぎるのではないか。巡礼たち―動く人びと―の世界には、いきいきした情報ネットワークの躍動や、近代が失った多様な価値創造の場がみえてくる。それは情報時代の原点を透視する視点をあたえてくれる。”(カバー文)
「情報は生きている」をテーマとしてNTT出版が企画していたシリーズ「ブックス・イン▶フォーム」のなかの一冊。
本書では「旅」「聖地」「ネットワーク」「文化」をテーマとした四つの座談を収録。
目次:
まえがき(山折哲雄)
第1章 旅と巡礼の原点を求めて(山折哲雄、杉山二郎、大澤真幸)
1 はてしない統がはじまった
2 アウタルキーからの逸脱と贈与の文脈
3 巡礼の空間とコミュニケーション
4 巡礼はどこをめぐり、どこに行きつくのか
5 旅を時間化して近代社会が誕生した
第2章 情報装置としての聖地(青木保、井本英一、赤坂憲雄)
1 情報を求めてめぐりたい衝動がある
2 聖地は宗教以前の深層に起源している
3 死と癒しと交換の場所をめぐって
4 辺境の聖地と世のはてのめぐり
5 聖地の構造化と物語の更新
第3章 中世ネットワークと巡礼(村井康彦、篠田雄次郎、西山克)
1 インフラストラクチャがうかびあがる
2 聖地に向かうルートがみえてきた
3 巡礼が異文化を融合する
4 日本は東アジアのなかでミクロコスモス化したか
5 遊行と情報ネットワーク
6 遁世・解放・教済
第4章 巡礼に文化のコンテキストを読む(木間瀬精三、鎌田茂雄、田中優子)
1 西欧キリスト教の巡礼文化をさかのぼる
2 中国の巡礼は山岳信仰にはじまる
3 一九世紀日本、年間五〇〇万人の巡礼ツアー大流行
4 巡礼は文化を統合し、変化させる
5 道行きの風土と一坐三〇年の風土
6 死の舞踏、僧舞、京劇、歌舞伎踊り
あとがき