1984年新装版1刷 A5判 P259 帯汚れ、、背少ヤケ、角折れ跡 カバーヤケ、時代シミ、端イタミ 天地小口ヤケ
“日本人の精神の奥底に潜む 神と人と妖怪の宇宙
イメージ豊かな情念のコスモロジー”(帯文)
“従来の民俗学の動物霊を中心とした憑きもの概念を乗り超え、事物に憑く精霊、異界の神霊から、鬼、山姥、式神、護法童子など人間のもつ邪悪な精神領域へと下降し、日本の神々の一属性である憑依という宗教現象をめぐるさまざまな概念と行為の体系を介して、〈意味するもの〉としての憑霊信仰から、〈意味されるもの〉としての民衆の精神構造=宇宙観を明示する。”(宣伝文)
目次:
【「憑きもの」と民俗社会 ―聖痕としての家筋と富の移動―】
一 はじめに
二 民俗学的研究の若干の問題点
三 「つき」の基礎的概念
四 「つき」と「憑依」
五 聖痕としてみた「憑きもの」
六 聖性(異常性)の形象化としての「憑きもの」
七 「憑きもの筋」と「限定された富」
八 総括と今後の問題
【説明体系としての「憑きもの」 ―病気・家の盛衰・民間宗教者―】
一 はじめに
二 高知県物部村の事例
三 説明体系としての信仰
(1)病気の説明体系と憑霊
(2)家の盛衰と神霊
(3)民間の宗教的職能者とその使役霊
四 まとめ
【《呪詛》あるいは妖術と邪術 ―「いざなぎ流」の因縁調伏・生霊憑き・犬神憑き―】
一 はじめに
二 「障り」の病
三 因縁調伏
四 生霊憑き
五 神憑き(四足憑き)
六 式王子と式法
七 若干の考察とまとめ
【式神と呪い ―いざなぎ流陰陽道と古代陰陽道―】
一 はじめに
二 土佐のいざなぎ流陰陽道
三 「呪詛」のための祭文と儀礼
四 いざなぎ流の「式神」
五 呪禁道と陰陽道の伝来
六 陰陽師の活躍
七 陰陽道の「呪い」と「式神」
八 おわりに
【護法信仰論覚書 ―治療儀礼における「物怪」と「護法」―】
一 はじめに
二 『枕草子』からの事例
三 調伏儀礼
四 「護法」 ―験者の呪力の形象
五 憑霊としての「物怪」と「護法」
六 「憑坐」と「夢」
七 おわりに
【山姥をめぐって ―新しい妖怪論に向けて―】
一 はじめに
二 柳田国男の妖怪論
三 妖怪 ―祀られぬ神々
四 《神》と《鬼》
五 土佐の「山女郎」
六 「山女郎」の両義性
七 昔話のなかの「山姥」
八 今後の課題
【熊野の本地 ―呪詛の構造的意味―】
一 呪詛・占い・殺害
二 陰謀の構造的意味
三 「うわなり打ち」の視点
【器物の妖怪 ―付喪神をめぐって―】
一 怨霊・河童・付喪神
二 器物の精の妖怪化
三 御伽草子『付喪神記』
四 中世における“もの”と“人間”
収録論文解題 ―あとがきに代えて―