昭和63年 四六判 P181+あとがき カバー少汚れ、背少ヤケ、端少イタミ 天・小口少汚れ
“この本は、七世紀中ごろ、渡来人二世の善那が孝徳天皇に牛乳を献上したという、牛乳飲用の草分けの故事に始まり、一九三四年の「雪印北海道チーズ」の発売に至る、わが国における牛乳・乳製品の生産・流通・利用の長い歴史を二十九のエピソードで綴ったユニークな書物です。…”(本書巻頭「発刊によせて」より)
目次:
発刊によせて(金井圓)
飛鳥の昔 ―わが国牛乳飲用の始め 「延喜式」と酥の貢進
酪・酥・醍醐 ―中国典籍の酪・酥・醍醐 わが国の酥の製法
信長・家康・武蔵 ―貢酥の廃絶 小説のなかの牛乳・酥
ポルトガル人の来航 ―ポルトガル船の積荷 チーズとまちがえられた豆腐
平戸蘭館・英館 ―商館日記のなかのチーズ 洋食ファンだった平戸老侯
長崎オランダ屋敷 ―オランダ正月の料理 ツンベルグとわが国牛乳事情
江戸参府旅行 ―商館長の江戸旅行と乳製品 チーズを贈ったケンペル
安房嶺岡と徳川吉宗 ―鶴岡牧場と白牛酪製造 『白牛酪考』の発刊
長崎丸山遊女 ―遊女のもらいもの シーボルトの見たわが国牛乳事情
徳川斉昭の先見 ―牛乳・酷酥を好んだ斉昭 愛娘・八代姫と牛乳
函館と下田 ―米国貿易事務官ライス ハリス総領事と牛乳
遣米・遣欧の使節 ―遺米使節・渡欧の使節・留学生と乳製品
横浜発祥 ―わが国牛乳販売の祖 アイスクリーム販売の始め
新聞と出版 ―バターの広告 牛乳の啓蒙記事『牛乳考』の発刊
乳母いらず ―哺乳瓶販売の広告 牛乳育児法のすすめ
武家の商売 ―先覚者の牛乳奨励 士族授産と牛乳業
明治初期の官営施設 ―東京官園とアイスクリーム 下総種畜場と練乳
エドウィン・ダン ―北海道七重開業場 札幌・真駒内牧牛場
内国勧業博覧会 ―第一回内国勧業博覧会に出品された乳製品
牛酪・乳油・乾酪 ―明治時代の乳製品の語と中身
地方の先覚者 ―石川、東児島 ・岩手・山形の乳業
クラークとモース ―札幌農学校と牛乳 モースの書いたわが国牛乳事情
涼味礼賛 ―函館屋・開新堂・風月堂・鹿鳴館とアイスクリーム
北海道のリーダーたち ー町村金弥・宇都宮仙太郎・出納陽一・北村謹
トラピスト修道院 ―トラピスト男子部・女子部の乳製品づくり
明治の文学 ―『食道楽』と乳製品 文学に見るアイスクリーム
東京牧場とミルクホール ―東京市内の牧場の懐古 学生に人気のあったミルクホール
北海道遠浅物語 ―米作に追われた産乳組合 雪印チーズの生産
元イミテーション ―バターとマーガリン 真酥と酥
年表
引用文献・参考図書
あとがき