1975年4刷 四六判 P371 カバー少汚れ、背ヤケ、上端僅イタミ 小口少ヤケ、少汚れ 両見返しヤケ
“美しくなりたい人間の気持が生みだした化粧、その手法と道具とに語らせた人間の欲望と本性、そして社会関係。アジアの歴史を遡り、全国を 踏査して書かれた類のない美と醜の文化史。”(宣伝文)
目次:
はしがき
一 化粧の起原
二 原始時代の化粧
{原始共産時代/母系氏族制時代/白粉使用の端緒/化粧料としての鉛/ナゾを 含む石器時代の抜歯}
三 大陸農業伝来時代の化粧
{米作農業時代/奴隷農業時代/鏡は宝物}
四 古代中国人の見た日本の風俗
{『魏志倭人伝』に見える鯨面文身/『隋書倭国伝』の日本風俗観}
五 上古の化粧とその流布
{赤色に対する古代人の執着/大陸におけ る化粧法/大陸美女伝/粉飾法の改新/東大寺の天平美人/わが国への大陸化粧の伝来/古代化粧法の特徴/公卿・武士にまで行なわれた黛/巴布爾とハラヤ/鉛粉の功罪/古代の櫛/古代鏡/古代にもあった歯みがきの風習/むらさき草}
六 女と髪型
{女子の長髪/男子の結髪・女子の垂髪}
七 化粧と装身具
{唐代の艶麗な化粧法/寵愛をねがう粧靨/脂粉黛黒の粧/化粧の延長としての装身具/頭髪の装飾品―櫛/美しくなるための沐浴/仏寺の浴室}
八 経済発展と化粧の累進
{化粧品が主役を演じた交易/市場と化粧品の流入/交通の発達と化粧の普及}
九 化粧の先端を行く中世女人群
{鎮魂と猿女君/神社に奉仕する采女/芸をひさぐ傀儡女/漂泊の民―遊部の婦女/仏教歌と白拍子/遊女の社会的地位/遊女と今様の流行/宿駅の発達と遊女/室町時代に地方都市に分散した遊女/鎌倉時代の鏡/柄鏡の出現/髮結い―うちぎのひと}
一〇 江戸時代の泰平と化粧
{上方文化の江戸への流入/幕府の遊女政策/化粧法度の農女/江戸時代の化粧法と化粧品/伊勢白粉/化粧の水/植物と化粧水/髪型の多様化/結髪のための用品/伽羅の油/鬠/ベニの発祥地/木曽伝統のお六櫛/櫛の老舗/櫛にまつわる迷信/浮世絵の江戸風俗/女子の元服と涅歯/「はぐろめ」から「おはぐろ」へ/歯の美化と楊枝/江戸時代における銅鏡の流行/鏡磨き/硝子鏡/鑑鏡の神異/狂言『墨塗女』/酒瓷の顔/鏡は婦女の魂/秋田の銀線細工/町人と銭湯/銭湯の看板/風呂焚きの刻限/鑑板の売買/澡浴に使われた用品}
一一 東洋人と化粧料
{麝香/芳香美を漂わす香木/『源氏物語』に見える香/衣冠の薫り}
一二 匈奴が貴んだ色彩
{身を扮する丹朱/紅粧の発達/高麗僧が携行した「ベニ」/有毒な「ベニ」「オシロイ」}
主なる参考書
あとがき