1992年 四六判 P263+初出一覧P5 帯僅スレ、角折れ跡 カバー少ヤケ、少スレ、少汚れ 天・小口少汚れ
“無類の本好き、読書家の1200字の書評芸
奇芸、珍芸、至芸のおたのしみ”(帯文)
目次:
【1991】
楽園としての書物 川崎寿彦『楽園のイングランド』/姿をくらますエロス アラン・コルバン『娼婦』/マダム・キラーの悪霊祓い 高田衛『江戸の悪霊祓い師』/花街という学校 明田鉄男『日本花街史』/偽書の真実 ピーター・アクロイド『チャタトン偽書』
【1990】
まっ白の本 堀内正和『坐忘録』/総合空間としての本 ウォルター・クレイン『書物と装飾』/夢想言語博物館 マリナ・ヤグェーロ『言語の夢想者』/予言する死後解剖図 クラウディオ・マグリス『オーストリア文学とハプスブルク神話』
無人称の声 岡谷公二『南海漂泊 土方久功伝』/「退屈な話」の循環 佐々木基一『私のチェーホフ』/島の入れ子構造 伊井直行『湯微島訪問記』/大福が食いたい 鹿島茂『馬車が買いたい!』/奇人伝が何だ トーマス・ベルンハルト『ヴィトゲンシュタインの甥』/旅 をする巨鳥 宮本徳蔵『相撲変幻』/狼を 待ちながら ジャック・ザイプス『赤頭巾ちゃんは森を抜けて』/とり落とした掌中の珠 スティーヴン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニー・アーケード』/裏面物のカタルシス不足 フィリップ・ヘンダースン『ウィリアム・モリス伝』/ふきんがこわい 長谷川集平『絵本未満』/のんびり世紀末散策 ホルブルック・ジャクソン『世紀末イギリスの芸術と思想』/物理人間の系譜 巖谷國士『澁澤龍彦考』/情報と輪廻 椎名誠『アド・バード』/東京の片隅へ 出口裕弘『ペンギンが喧嘩した日』『ろまねすく』/死と共生して 小池寿子『死者たちの回廊』/道草からの逆襲 ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(上・下)/コレハ本デハナイ 別役実『別役実の当世病気道楽』/美女舞姫のライン・ダンス 市川雅『舞姫物語』/だまされてみたい リチャード・D・オールティック『ロンドンの見世物I』/専門バカの葬送 M・H・ニコルソン『暗い山と栄光の山』/脱力する芸術へ 多木浩二 『それぞれのユートピア』
【1989】
ワイマールの現在完了 ヘンリー・バクター『ワイマール・エチュード』/世界言語という白痴夢 亀山郁夫『甦えるフレーブニコフ』/キノコのような女たち 村田喜代子『ルームメイト』/地中海の自伝 アミン・マフルーフ『レオ・アフリカヌスの生涯』/片隅のきらめき 飯吉光夫編訳『ヴァルザーの小さな世界』/無力な人の戦略 谷崎終平『懐しき人々』/成り上がる温泉町 小林章夫『地上楽園バース』/東西笑いくらべ 佐々木みよ子、森岡ハインツ『笑いの世界旅行』/伏せ字の戦略 木本至『「団団珍聞」「驥尾団子」がゆく』/ある戦いの記録 高橋悠治『カフカ/夜の時間』/立ち上がる平面 中西夏之『大括弧 緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置』/人類の少年時代へ 堀内誠一『堀内誠一の空とぶ絨緞』/円居のある食卓 戸板康二『食卓の微笑』『慶応ボーイ』/宇宙模型としての箱 横山正『箱という劇場』/わるい乞食の名演技 H・ベーンケ、R・ヨハンスマイアー編『放浪者の書』/軽く細く弱く 長沢節『弱いから、好き』/ひしめく静止 マルタ・モラッツォーニ『ターバンを巻いた娘』/町内のサロン 今野信雄『江戸の風呂』/あるボヘミアンの貴族 ヘルムート・フリッツ『エロチックな反乱』/人生の入門書 マレーネ・ディートリッヒ『ディートリッヒのABC』/いずれ終る芝居 増井和子 『7つの国境』/快楽グッズの自己消費 秋田昌美『倒錯のアナグラム』/あるいて出会った 中沢厚『石にやどるもの』/風水の秘密 三浦国雄『中国人のトポス』
【1988】
はじめていた場所 マーリオ・ヤコービ『楽園願望』/全部ポンコツ マルシオ・ソウザ『アマゾンの皇帝』/マゾヒズムの偽装 西成彦『マゾヒズムと警察』/裏と表の二重人 フランソワ・ヴィドック 『ヴィドック回想録』/歌を忘れたカナリア ハインツ・グロイル『キャバレーの文化史』(I・II)/石のことばは石 金森敦子『旅の石工』/多様さのなかの秩序 ワイリー・サイファー『ロココからキュビスムへ』/仮面の裏も仮面 池内紀『ザルツブルク』/顔のない皇帝 R・J・W・エヴァンズ『魔術の帝国』/非良導体のポエジー 富士正晴『富士正晴作品集 一』/歴史は顔を隠す ジル・ラブージュ『ユートピアと文明』/進歩ゆえの放浪 フレデリック・フェイエッド『ホーボー アメリカの放浪者たち』/非領域化する現場 田之倉稔『演戲都市と身体』/女庭師の帰還 室生朝子『大森 犀星 昭和』/小間物の世界横断性 原田豊『銀座百年の定点観測』/二つの世界を舞う クルツィア・フェラーリ『美の女神 イサドラ・ダンカン』/悪魔を信じたい 日影丈吉『地獄時計』
【1987】
民衆本の真実 ハンスヨルク・マウス『悪魔の友 ファウスト博士の真実』
【1985】
砂の中の動物群 伊藤立則『砂のすきまの生きものたち』/うじ虫のような天使 カルロ・ギンズブルグ『チーズとうじ虫』/虚無に立つ花火 中井英夫『金と泥の日々』『名なしの森』/目撃という証言 赤瀬川原平『いまやアクションあるのみ!』/西と非西との交換 ミゲール・セラノ『ヘルメティック・サークル』/コロンブスとは誰か A・カルペンティエール『ハーブと影』/読みとしての政治 大西巨人『天路の奈落』/周縁の食べもの 武田百合子『ことばの食卓』/うらみは深い 未来社編集部編『十代に何を食べたか』
【1984】
最後に乗る乗り物 井上章一『霊柩車の誕生』/秘密の花園の花譜 若桑みどり『薔薇のイコノロジー』/にぎやかな廃棄物王国 安部公房『方舟さくら丸』/解決なきパラドックス ジャン・アメリー『罪と罰の彼岸』/イニシエーションの島 池沢夏樹『夏の朝の成層圏』/空白のある文学史 黎波『中国文学館』/遺民としての画人 陳舜臣『中国画人伝』/当意即妙の返し技 高木護『忍術考』/毒性キノコ図鑑 山田宏一『美女と犯罪』/分水嶺の男 丸山健二『雷神、翔ぶ』/魔術的哲学のパノラマ フランセス・イエイツ『魔術的ルネサンス』/なまめかしい老年 円地文子『菊慈童』/脱自我空間の博物誌 筒井康隆『虚構船団』/病気が主役だ 立川昭二『病いと人間の文化史』/ミニアチュール風景画集 三木卓『海辺で』/水のような追想 足立巻一『親友記』/言葉に化ける器物 別役実『道具づくし』/硬派の魚河岸 尾村幸三郎『日本橋魚河岸物語』/科学派の眼 赤瀬川原平『東京ミキサー計画』/空海入唐記 陳舜臣『曼陀羅の人』(上・下) 『録外録』/不定時法の道草 角山栄『時計の社会史』/虚実を包む愛 山田風太郎『八犬伝』(上・下)/監禁のパラドックス 吉村昭『破獄』/玉の話 澁澤龍彦『ねむり姫』
【1983】
なまめきと哄笑 津島佑子『火の河のほとりで』/意外な素朴画家 岡谷公二『アンリ・ ルソー楽園の謎』/幻想の日本列島像 室賀信夫『古地図抄』/ウィーン、絢爛たる没落 カール・E・ショースキー 『世紀末ウィーン』/音楽の辺境王国 瀬川昌久『ジャズで踊って』/高木史朗『レヴューの王様』/部屋の生と死 海野弘『部屋の宇宙誌』『風俗の神話学』/脳の交換 ビオイ・カサーレス『日向で眠れ 豚の戦記』/犯罪としての教育 アリス・ミラー『魂の殺人』/庭のたのしみ 川崎寿彦『庭のイングランド』/いかにも遊びの果てに 尾辻克彦『雪野』/ビックリ絵本 ブルーノ・エルンスト『エッシャーの宇宙』/大河としての生命 エイモス・チュッオーラ『薬草まじない』/偽書という情報犯罪 高橋俊哉『ある書誌学者の犯罪』/あなたにそっくり アンドルー・J・フェナディ『ボガートの顔をもつ男』/読めなかった絵画論 磯崎康彦『ライレッセの大絵画本と近世日本洋風画家』/戦後の戯画 中井英夫『黒鳥館戦後日記』/余禄の人生 深沢七郎『ちょっと一服、冥土の道草』
【1979】
技術のファンタジー 尾崎幸男『地図のファンタジア』
【1978】
艶なる宴の方へ 窪田般彌『ロココと世紀末』/功利的な怪談 J・ミッチェル、R・リカード『フェノメナ幻象博物館』
あとがき